メディア・AI検索

オウンドメディアとは?中小企業が始めるかの判断材料と最初の1年、AI検索での役割

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.18

この記事でわかること

  • オウンドメディアの意味と、広告・SNSとの違い
  • 向く会社・向かない会社と、始めるかを決める3つの質問
  • 最初の1年の進め方と、記事1本の作り方
  • 社内でやる場合・外注する場合の手間と費用の目安
  • 段階ごとに見る数字と、見直しの線
  • AI検索で変わったことと、確かめておく設定
目次
  1. オウンドメディアとは
  2. 広告・SNSとの違い(トリプルメディア)
  3. ホームページ・ブログとの違い
  4. 目的別の種類
  5. 始めるかどうかの判断
  6. 始めるかを決める3つの質問
  7. 向いていないときの代わりの方法
  8. 最初の1年でやること
  9. 設計で決めること
  10. 記事のテーマの出し方
  11. どの記事から書くか
  12. 記事1本の作り方
  13. 手間と費用の目安
  14. 工程ごとに、誰が手を動かすか
  15. 3つのやり方と、向いている会社
  16. 外注した場合の相場
  17. AIを使うと何が変わるか
  18. 成果が出るまでの見方
  19. 段階ごとに見る数字
  20. 見直しの線
  21. 記事から来た問い合わせの数え方
  22. AI検索の時代に変わったこと
  23. クリックは減る。引用される側に回る
  24. Googleの公式の考え方
  25. 確かめておく設定
  26. 引用されやすい記事に共通する書き方
  27. AIからの訪問の測り方
  28. 目的別に読む記事
  29. よくある質問
  30. まとめ

「オウンドメディアを始めたほうがいいと言われたが、うちの規模でやる意味があるのか分からない」「AIが検索の答えを出すようになったのに、いまから記事を書いて読まれるのか」と迷っている経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか。

オウンドメディアは、自社で持って運営する情報発信の場です。
広告と違って、出した記事は止めても残り、検索やAIの回答を通じて読まれ続けます。
その一方で、成果が見えるまでに時間がかかり、途中で更新が止まってしまう会社も少なくありません。
始める前に「自社に向いているか」「1年続けられるか」を決めておくことが、いちばん大事な準備です。

この記事では、意味と種類は短く整理したうえで、中小企業が始めるかどうかを決める材料、最初の1年でやること、手間と費用の目安、成果の見方、AI検索の時代に何が変わったかを、公式情報と公開データをもとに具体的にまとめます。
内容は2026年10月時点のものです。

オウンドメディアとは

会議室で経営者と担当者が、印刷した自社サイトの記事一覧を見ながら話し合っている場面

オウンドメディア(Owned Media)は、直訳すると「自社が所有するメディア」です。
広い意味では、自社のホームページ、メールマガジン、パンフレットまで含みます。
ただ、仕事の場で「オウンドメディアを始める」と言うときは、自社サイトの中に記事やコラムのページを作り、読者の疑問に答える情報を出し続けることを指すのが一般的です。
この記事でも、この意味で使います。

広告・SNSとの違い(トリプルメディア)

企業が使うメディアは、お金を払って載せる「ペイドメディア」、第三者が話題にしてくれる「アーンドメディア」、自社で持つ「オウンドメディア」の3つに分けて考えられます。
まとめてトリプルメディアと呼ばれます。

ペイドメディアアーンドメディアオウンドメディア
例検索広告、SNS広告、求人広告、雑誌広告SNSでの口コミ、取材記事、レビュー自社サイトの記事、事例ページ、メールマガジン
内容を決める人自社(広告の決まりの範囲で)第三者自社
費用のかかり方出している間ずっと直接はかからない作るときと、更新を続ける手間
止めたらどうなるかすぐに表示が止まる話題がなくなれば消える記事は残り、読まれ続ける
成果が出るまで出した日から読めない時間がかかる

3つは取り合いではなく、組み合わせて使います。
たとえば、広告で一度サイトに来た人が記事を読んで会社を覚え、あとで指名検索で戻ってくる、SNSで紹介された記事が新しい読者を連れてくる、といった流れです。
オウンドメディアは、ほかの2つで集めた人が「最後に確かめに来る場所」にもなります。

ホームページ・ブログとの違い

会社案内やサービス紹介のページは、すでに会社名を知っている人や、比べる候補に入れた人が見るページです。
オウンドメディアの記事は、まだ会社を知らない人が、自分の悩みや疑問を検索して入ってくる入口です。
「工場の床 塗装 費用」「採用 応募が来ない 原因」のように、社名ではなく悩みで検索した人に会社を見つけてもらうのが役割です。

社長の日記や社内行事の報告のブログも自社の発信ですが、検索されることを考えて書かれていないため、新しい読者はほとんど来ません。
オウンドメディアとブログの違いは、置き場所や見た目ではなく、誰のどんな疑問に答えるかを決めてから書いているかどうかです。

目的別の種類

オウンドメディアは、何のために作るかで中身も成果の数え方も変わります。
中小企業でよくある目的は、次の4つです。

目的載せる記事の例成果の数え方
問い合わせを増やす(BtoB・サービス業)費用の考え方、選び方、他の方法との違い、導入事例記事を読んだ人からの問い合わせ・資料請求の数
採用社員インタビュー、1日の流れ、数字で見る会社、仕事の失敗談応募数、面接で「記事を読んだ」と言われた数、内定承諾の率
販売(EC・店舗)商品の使い方、選び方、手入れの方法、作り手の話記事から商品ページへ進んだ数、購入数、来店予約
既存のお客さまのサポートよくある質問、使い方の手順、トラブルの対処問い合わせ電話の減り方、解約の減り方

最初から全部を狙うと、読者がぼやけて誰の役にも立たない記事が増えます。最初の1年は目的を1つに絞るのが基本です。
採用に絞るなら採用向けの記事だけ、問い合わせに絞るならお客さんの疑問に答える記事だけを書きます。

あわせて読みたいオウンドメディアの成功事例15選|BtoB・採用・EC別に中小企業がまねできることオウンドメディアの成功事例を、BtoBの問い合わせ・採用・EC/店舗の目的別に紹介します。町工場や地方の中小企業を中心に、各社の公式サイトや取材記事で確かめた取り組みと公開されている数字を出どころつきで載せ、自社でまねできることを具体的に抜き出しました。

始めるかどうかの判断

経営者が机でノートを広げ、お客さんからよく聞かれる質問を一つずつ書き出している場面

オウンドメディアは、どの会社にも効く方法ではありません。
お客さんの買い方や、社内の体制によって、向き不向きがはっきり分かれます。
始める前に、次の表で自社がどちらに近いかを見てください。

見るところ向いている会社向いていない会社
お客さんの買い方買う前に調べて比べる(高額、初めて買う、説明が必要)紹介・指名・店頭でその場で決まる
1件の受注の大きさ1件の粗利が大きく、年に数件増えるだけで元が取れる1件の粗利が小さく、たくさん売らないと元が取れない
社内の知識お客さんの疑問に答えられる人が社内にいる商品の違いを説明しにくく、他社と書くことが同じになる
検索されているか自社の商品や、お客さんの悩みに関する言葉が検索されている新しすぎる商品で、まだ誰も検索していない
続ける体制毎月、確認や取材に時間を割ける人がいる担当者が兼務で手いっぱい、経営者も関わらない
急ぎ具合1年先の問い合わせや採用を増やしたい来月の売上をすぐに増やしたい

右の列に当てはまる項目が多い場合は、無理に始めないほうが結果的に安く済みます。
特に「急ぎ具合」が右に当てはまるなら、先に広告や営業で目の前の売上を作り、余裕ができてから始めるほうが続きます。

始めるかを決める3つの質問

表で迷ったときは、次の3つの質問に答えてみてください。
3つとも答えられれば、始める準備はできています。

  1. お客さんによく聞かれる質問を20個書き出せるか営業や電話で毎回聞かれること、見積もりのときに必ず説明していること、断られたときの理由を書き出します。20個出れば、それがそのまま最初の20本の記事のテーマになります。10個も出ない場合は、お客さんとの接点が少ないか、商品の説明が要らない買われ方をしている可能性があります。
  2. 問い合わせ1件にいくらまで払えるか受注1件の粗利と、問い合わせが受注になる割合から計算します。たとえば受注1件の粗利が60万円で、問い合わせ3件のうち1件が受注になるなら、問い合わせ1件の価値は約20万円です。年間の運用に240万円かけるなら、年に12件の問い合わせで釣り合う計算になります。
  3. 1年間、誰がどの時間を使うか決められるか担当者の名前と、毎月使える時間を決めます。記事を外注する場合でも、テーマ決め、取材への協力、事実の確認は社内でしかできません。経営者が月に一度、数字を見て判断する時間も必要です。

2つ目の計算は、オウンドメディアにいくら使ってよいかの上限を決めるためのものです。
この数字がないまま始めると、「月20万円は高いのか安いのか」を判断できず、成果が見えない時期に不安になってやめてしまいます。

向いていないときの代わりの方法

判断の結果「いまはやらない」となっても、できることはあります。
オウンドメディアより手間が少なく、効果が早く見えやすい方法です。

こんな状況なら代わりにやること
地域のお客さんが中心Googleビジネスプロフィールを整え、写真と口コミへの返信を続ける
サービスページが薄い記事を増やす前に、サービスページに料金の考え方・流れ・よくある質問を足す
実績はあるが見せていない事例ページを5〜10件作る。記事より先に、問い合わせの直前に読まれるページを固める
採用だけが課題求人票の書き方を見直し、社員インタビューを3本だけ作って求人票から案内する

この4つは、オウンドメディアを始めたあとでも必要になる土台です。
先に整えておくと、記事を読んだ人がそのまま問い合わせまで進みやすくなります。

よくある失敗の始まり方

「競合がやっているから」「SEOに強いと言われたから」で始めると、目的が「アクセスを増やすこと」になりがちです。
業界ニュースのまとめや用語解説ばかりが増え、読まれても問い合わせにつながりません。
担当者1人に任せきりにして、半年で数字が出ずにやめる流れもよく見られます。
始める前に、目的・上限の金額・担当者の時間の3つを経営者が決めておきましょう。

最初の1年でやること

担当者が壁に貼った年間カレンダーに、記事の公開予定と見直しの日を書き込んでいる場面

始めると決めたら、最初の1年を4つの時期に分けて進めます。
1年目のゴールは、問い合わせの数を大きく伸ばすことではなく、「どんな記事が読まれ、どんな記事が問い合わせにつながるか」が分かる状態を作ることです。

時期やることできあがるもの
1か月目目的・読者・書く範囲・確認の流れを決める。サイトの置き場所と、問い合わせまでの導線を作る設計書(1〜2枚)、記事テーマの一覧(30個ほど)
2〜3か月目問い合わせに近いテーマから10〜15本を公開する。Search Consoleを設定する最初の記事のまとまり、計測の準備
4〜6か月目検索で表示され始めた記事を確かめ、タイトルや中身を直す。新しい記事も続ける表示されている言葉の一覧、直した記事の記録
7〜12か月目事例や社内の数字など、自社にしか書けない記事を増やす。記事から問い合わせへの案内を直す問い合わせにつながった記事の一覧、2年目の計画

本数の目安は会社によって違いますが、月に2本を確実に出し続けるほうが、最初に30本出して止まるより成果につながります。
更新が止まると、料金や制度が変わっても古い情報が直されないまま残り、読者の信頼を失うからです。

設計で決めること

1か月目の設計では、次の6つを決めて紙1〜2枚にまとめます。
担当者が変わっても、この紙を見れば同じ方針で続けられる状態にしておきます。

  • 読者:どんな立場の人が、どんな場面で検索するか(例:工場の設備担当、導入を上司に説明する立場)
  • 目的と数え方:問い合わせなのか、資料請求なのか、応募なのか。何を1件と数えるか
  • 書く範囲・書かない範囲:自社の商品に関係ない一般的な話題は書かない、などの線
  • 記事の型:費用の記事、選び方の記事、事例の記事など、型ごとの見出しの流れ
  • 確認の流れ:誰が事実を確かめ、誰が公開のOKを出すか
  • 問い合わせへの道:記事の最後にどのページへ案内するか(相談フォーム、資料、事例)

記事のテーマの出し方

テーマは、机の上で考えるより、お客さんとのやりとりから拾うほうが確実です。
次の場所に、記事になる質問がたまっています。

拾う場所見るところ記事にしたときの例
問い合わせメール・フォーム最初の1通に書かれた質問「〇〇は何日で終わりますか」→ 工期と、短くできる条件の記事
見積もり・商談のメモ毎回説明している項目、値引きを求められた理由「〇〇の費用の内訳」「安い見積もりとの違い」の記事
失注の理由他社に決まった理由、見送りになった理由「〇〇と△△の違い」「自社でやる場合との比べ方」の記事
現場・作業の担当者お客さんがよく勘違いしていること「〇〇でよくある失敗」「事前に準備しておくこと」の記事
検索の候補Googleの検索窓に商品名を入れたときに出る言葉、Search Consoleの検索語句実際に検索されている言い回しに、見出しと言葉を合わせる

拾った質問は、1つの質問に1本の記事で答えるのが基本です。
似た質問をまとめて1本にすると、どの検索にも中途半端な答えになります。

どの記事から書くか

同じ商品についての記事でも、読者がどの段階にいるかで、問い合わせへの近さが違います。
最初は問い合わせに近い記事から書きます。

読者の段階検索する言葉の形優先度
頼む先を比べている「〇〇 費用」「〇〇 業者 選び方」「〇〇 事例」最初に書く
やり方を比べている「〇〇 と △△ 違い」「〇〇 自社でやる」最初に書く
困りごとの原因を探している「〇〇 原因」「〇〇 失敗」2番目に書く
言葉を調べている「〇〇 とは」「〇〇 意味」余裕ができてから

「〇〇とは」の記事は検索数が多く見えますが、大手のメディアや辞書サイトが上位にいて、AIの回答だけで用が済むことも増えています。
中小企業が最初に力を入れる場所ではありません。

記事1本の作り方

記事1本は、次の流れで作ります。
外注する場合も、社内の担当者が関わる工程は同じです。

  1. 答える質問を1つ決めるテーマの一覧から1つ選び、「この記事を読んだ人が、何を決められるようになるか」を1文で書きます。
  2. 検索上位の記事を読む同じ言葉で検索して上位の記事を数本読み、すでに書かれていることと、書かれていないことを分けます。書かれていないことが、自社の記事の価値になります。
  3. 社内の人に聞く現場や営業の担当者に15〜30分話を聞きます。「実際にあった相談」「よくある勘違い」「費用が増えるときの理由」など、自社の経験から出てくる話を集めます。
  4. 構成を作って書く見出しの並びを先に決め、結論を先に書きます。料金・期間・数字は、社内の実際の範囲か、出どころのある公開データだけを使います。
  5. 事実を確かめて公開する書いた内容を、その分野に詳しい社員が読んで確かめます。公開したら、問い合わせへの案内が正しく動くかも確かめます。
  6. 3か月後に見直す検索で表示されている言葉を確かめ、タイトルや見出しを合わせます。料金や制度が変わったら、その都度直します。

当社が運営するメディア「AI・Web実務研究所」でも、調べる、構成を作る、書く、点検する、古くなった情報を直す、という流れで記事を作っています。
どの工程を省いても、読者が迷う記事になりやすいためです。

手間と費用の目安

担当者が机に外注先の見積書と電卓を並べ、社内でやる場合の手間と見比べている場面

オウンドメディアの費用は、お金だけでなく社内の人の時間で考える必要があります。
外注しても社内の手間はゼロにならず、社内でやってもお金がかからないわけではありません。

工程ごとに、誰が手を動かすか

工程社内でしかできないこと外に任せられること
設計目的と予算の決定、書かない範囲の判断検索の言葉の調査、競合の調査、記事の型づくり
テーマ決めお客さんの質問の提供、優先順位の最終判断検索数の確認、テーマ一覧の作成
取材・情報集め取材を受ける、社内の数字や事例を出す取材の進行、質問の準備、録音の書き起こし
執筆(社内で書く場合)構成、執筆、図表の作成
確認事実と表現の確認、公開の判断誤字や表記ゆれの点検、公式情報との照合
改善数字を見て方針を決めるSearch Consoleの分析、リライト、レポート

全部を外注しても、表の中央の列は社内に残ります。
社内の時間の目安を出すときは、記事1本あたりに社内でかかる時間を決め、本数をかけて計算します。
たとえば取材と確認で1本あたり2時間かかるなら、月4本で8時間です。
この8時間を誰が出すのかを先に決めておかないと、外注先から原稿が届いても確認が止まり、公開が遅れます。

3つのやり方と、向いている会社

やり方お金社内の手間向いている会社
全部社内少ない(サイトの維持費とツール代が中心)大きい。書く人の時間が毎月かかる書くことに慣れた社員がいて、時間を確保できる
設計と編集は外、取材と確認は社内中くらい中くらい。取材に答え、原稿を確かめる知識はあるが書く時間がない。中小企業で多い形
ほぼ全部外注大きい小さいが、確認と判断は残る予算があり、早く本数をそろえたい

外注した場合の相場

発注のマッチングサービスを運営するPRONIアイミツは、取引のデータをもとに、オウンドメディアの費用の目安を公開しています(2026年6月更新)。

項目目安(PRONIアイミツの掲載値)
構築費小規模で30万円〜、中規模以上は100万円〜
運用費月額10万〜50万円程度
記事の制作費1記事あたり2万〜10万円程度
運用費の内訳サイト維持費 月1万〜10万円、マーケティング費 月10万〜30万円、コンテンツ制作費 月2万〜30万円、分析・改善費 月10万〜30万円

幅が大きいのは、取材の有無、記事の長さ、設計や分析をどこまで頼むかで金額が変わるためです。
見積もりを比べるときは、月の本数、1本の文字数、取材の回数、リライトの有無、レポートの中身をそろえてから比べてください。
詳しい内訳は、費用の記事で解説しています。

あわせて読みたいオウンドメディアの費用|立ち上げ・運用の内訳と、月の予算ごとにできることオウンドメディアの費用を、立ち上げ費(設計・CMS・デザイン)と運用費(記事・取材・分析)に分けて解説します。記事1本の単価の決まり方、月10万・30万・50万円の予算の組み立て方、内製と外注の比べ方、費用対効果の計算の仕方まで、出どころのある数字でまとめました。

AIを使うと何が変わるか

生成AIを使うと、検索上位の記事の整理、構成案、下書き、表記の点検にかかる時間は大きく減ります。
一方で、Googleは生成AIを使ったコンテンツについて、ユーザーにとっての価値を加えずに大量のページを作ると、スパムポリシーの違反になるおそれがあると案内しています。
AIは事実を調べるのではなく言葉の並びを予測するため、公開前に人が事実を確かめるようにとも書かれています。

つまり、AIで減らせるのは「調べる・まとめる・書く」の時間で、「社内の経験を出す・事実を確かめる・判断する」の時間は減りません。
AIを使って本数を増やすより、浮いた時間を取材と確認に回すほうが、他社と同じにならない記事になります。

社内に残しておくべき3つの仕事

何を書くかを決めること、書いた内容が正しいかを確かめること、自社にしかない経験や数字を出すことの3つは、外注してもAIを使っても社内に残ります。
逆に言えば、この3つに時間を使えるなら、残りは外に出しても記事の質は落ちにくくなります。

成果が出るまでの見方

担当者がノートPCで検索の表示回数のグラフを見ながら、手元のノートに数字を書き写している場面

オウンドメディアは、記事を出した翌月に問い合わせが増えるものではありません。
Googleも、検索で成果が出るまでの期間を約束していません。
SEO業者を選ぶときのガイドでは、「期待される結果とその時期、成果はどのように測定するのか」を事前に確認するよう案内しています。
自社でやる場合も同じで、どの時期に何の数字を見るかを、始める前に決めておきます。

段階ごとに見る数字

成果は、いきなり問い合わせに出るのではなく、手前の段階から順に動きます。
最初の数か月は、後ろの段階の数字が動かなくても当然です。
いま、どの段階の数字が動いているかを見ます。

段階見る数字どこで見るか
1. 見つけてもらえているか検索結果に表示された回数、表示された検索語句の種類Search Console(検索パフォーマンス)
2. 選ばれているかクリック数、クリック率Search Console
3. 読まれているか記事から別のページへ進んだ数、よく読まれている記事Googleアナリティクス
4. 行動につながるか記事を読んだ人の問い合わせ・資料請求・応募の数Googleアナリティクス、フォームの記録
5. 売上・採用につながるか記事を読んで問い合わせた人の受注・入社営業の記録、採用の記録

最初の半年は、アクセス数(PV)より、表示回数と、表示されている検索語句の種類が増えているかを見ます。
表示されている言葉が増えていれば、Googleが記事の中身を理解し、検索結果に出す候補に入れ始めています。

見直しの線

数字を見て「続ける・直す・やめる」を決める線を、先に決めておきます。
決めておかないと、成果が見えない時期に感覚でやめてしまいます。

こうなっていたら考えられること見直すこと
公開から3か月たっても、表示回数がほとんどない検索結果に登録されていない、または誰も検索しない言葉を選んでいるSearch Consoleで登録状況を確かめる。テーマを実際に検索される言葉に合わせる
表示はされるが、クリックされないタイトルが検索した人の疑問に合っていない表示されている検索語句に合わせて、タイトルと最初の段落を直す
読まれるが、問い合わせがない読者が問い合わせから遠い段階にいる、または案内先が合っていない比べる段階の記事を増やす。記事の最後に、内容に合った事例や資料を置く
問い合わせはあるが、受注にならない記事が想定と違う読者を集めている問い合わせの中身を見て、読者の設定と書く範囲を見直す

記事から来た問い合わせの数え方

中小企業の場合、問い合わせの数は月に数件ということも多く、アクセス解析だけでは「どの記事が効いたか」が分かりにくくなります。
数え方を2つ用意しておくと確実です。

  • 問い合わせフォームに「当社を知ったきっかけ」の欄を作り、「記事・コラム」を選べるようにする
  • 商談や面接の最初に「どのページを読んで連絡をくださいましたか」と聞き、営業の記録に残す

実際に、お客さんの言葉で「費用の記事を読んで、見積もりの見方が分かったので連絡した」と分かると、次に書くべき記事も見えてきます。
数字だけでなく、この記録を毎月の振り返りで読み上げるのがおすすめです。

AI検索の時代に変わったこと

担当者がノートPCでAIの回答を読みながら、回答の下に並ぶ引用元に自社の記事があるか確かめている場面

いまは、Googleの検索結果の上に「AIによる概要」が出たり、ChatGPTやClaudeに質問して答えをもらったりするのが当たり前になりました。
オウンドメディアにとっての変化は、検索した人が記事を開く前に、AIが答えをまとめてしまう場面が増えたことです。

クリックは減る。引用される側に回る

米国の調査機関Pew Research Centerは、米国の成人900人の2025年3月の閲覧データを分析し、次の結果を公表しています。

見たもの結果
AIの要約が出た検索で、通常の検索結果のリンクをクリックした割合訪問の8%
AIの要約が出なかった検索で、リンクをクリックした割合訪問の15%
AIの要約の中に示された出典のリンクをクリックした割合訪問の1%
調査した検索のうち、AIの要約が出た割合18%

米国の調査ですが、方向ははっきりしています。
用語の意味のように「答えだけ分かればよい」質問は、記事を開かれずに済むことが増えます。
一方で、AIの回答は出典として記事を示します。AIの回答に名前と記事が出ること自体が、会社を知ってもらう機会になります。
クリックの数だけで記事の価値を測れなくなった、というのが大きな変化です。

この変化は、中小企業にとって悪い話ばかりではありません。
「〇〇とは」のような言葉の記事は、もともと大手のメディアが強い分野でした。
比べる段階の記事や、自社の経験にもとづく記事は、AIが要約しても「くわしくはこの会社の記事」と示される余地が残ります。
前の章で、問い合わせに近い記事から書くようにすすめたのはこのためです。

Googleの公式の考え方

Googleは「AI機能とウェブサイト」というページで、AIによる概要やAIモードに表示されるために追加の要件はなく、特別な最適化を行う必要もないと案内しています。
条件は、ページがインデックスに登録されていて、検索結果でスニペット(説明文)を表示できる状態にあることです。
AI向けの特別なファイルや、特別な構造化データも必要ないと書かれています。

そのうえで、引き続き大切なこととして、クロールを妨げないこと、内部リンクで記事を見つけやすくすること、重要な内容を文字で書くこと、構造化データを画面の文章と一致させることなどが挙げられています。
結局、検索で読まれるための基本を守ることが、AIの回答に使われるための前提です。

確かめておく設定

AIの検索に記事を使ってもらうには、各社の検索用のプログラム(クローラー)がサイトを読める状態にしておく必要があります。
学習用と検索用でクローラーが分かれている会社もあるので、整理しておきます。

サービス検索の回答に使うクローラーAIの学習に使うクローラー公式の案内
GoogleGooglebot(通常の検索と同じ)Google-Extended で制御AIによる概要もインデックス登録とスニペット表示が前提
ChatGPTOAI-SearchBotGPTBotGPTBotを拒否しても、OAI-SearchBotを許可していれば検索の掲載には影響しない
ClaudeClaude-SearchBot、Claude-UserClaudeBotClaude-SearchBotを拒否すると、Claudeの検索結果に出にくくなる

制作会社やサーバーの設定で、知らないうちにこれらのクローラーが拒否されていることがあります。
サイトの robots.txt(クローラーへの指示を書くファイル)に、上の名前の拒否が書かれていないかを確かめてください。
学習には使われたくないが検索には出たい、という場合は、学習用だけを拒否する設定ができます。

引用されやすい記事に共通する書き方

どんな記事がAIに引用されるかについて、各社から細かい基準は公表されていません。
ただ、Googleが案内している基本と、読者の役に立つ書き方は一致しています。
当社がすすめているのは次の書き方です。

  • 見出しの直後の1〜2文で、その見出しの問いに答える(結論を先に書く)
  • 料金・期間・件数などの数字は、出どころか社内の実際の範囲を書く
  • 比べる情報は文章で並べず、表にする
  • 誰が書いたか、どんな会社が出している情報かを、記事とサイトの中で分かるようにする
  • 料金や制度が変わったら直し、更新した日を記事に出す
  • 他の記事に書いてあることの言い換えではなく、自社の経験や事例を入れる

AIからの訪問の測り方

Googleの案内では、AIによる概要やAIモードからの訪問は、Search Consoleの検索パフォーマンスの「ウェブ」に含めて集計されます。
ChatGPTについては、OpenAIのヘルプで、検索結果から来た訪問のURLに utm_source=chatgpt.com が付くと案内されています。
Googleアナリティクスでこの値を見れば、ChatGPTから来た訪問を数えられます。

AIからの訪問は、まだ数が少ない会社がほとんどです。
それでも、どの記事が読まれているかを見ると、AIがどんな質問の答えとして自社の記事を使っているかの手がかりになります。
AI検索への対策をさらに進めたい場合は、LLMOの記事でくわしく解説しています。

あわせて読みたいLLMO対策とは?AI検索に自社が出るための設定例・確かめ方・やることを解説LLMO(大規模言語モデル最適化)は、ChatGPTやGoogleのAI Overviewなど、AIの回答に自社の情報が正しく使われるようにする取り組みです。公式が言っていること、robots.txtでAIのクローラーを許可・拒否する書き方、構造化データやllms.txtの例、AIの回答に自社が出ているかを毎月確かめる手順までをまとめました。

目的別に読む記事

担当者が机に並べた複数の資料の中から、次に読む一冊を手に取っている場面

オウンドメディアとAI検索について、テーマごとに記事を分けて解説しています。
いまの状況に合わせて、次に読む記事を選んでください。

いまの状況読む記事
他社がどう成果を出したか知りたいオウンドメディアの成功事例
始めると決めた。何から作るか知りたいオウンドメディアの立ち上げ
始めたが、続け方や数字の見方に迷っているオウンドメディアの運用
予算を決めたい、見積もりを比べたいオウンドメディアの費用
運用を外に頼みたいオウンドメディアの運用代行、オウンドメディアの制作会社
BtoBの問い合わせを増やしたいBtoBのオウンドメディア
採用に使いたい採用オウンドメディア
記事だけ外に頼みたい記事作成代行、AIでの記事作成
AIの回答に出るための対策を知りたいLLMO、AIO対策、GEO対策
SEOを外に頼む費用を知りたいSEO対策の費用、SEOの外注

読む順番の目安

まだ始めるか決めていない場合は、この記事の「始めるかどうかの判断」と事例の記事を読んでから決めると迷いが減ります。
始めると決めた場合は、立ち上げ、費用、運用の順に読むと、必要な準備が抜けにくくなります。

よくある質問

ホームページを作ったばかりですが、オウンドメディアも必要ですか?

すぐに必要とは限りません。
先にサービスページ、料金の考え方、事例、よくある質問を整えるほうが、問い合わせにつながるまでが早いことが多いです。
そのうえで、お客さんからの質問が20個ほど書き出せるなら、記事として出していく準備ができています。

記事は何本あれば成果が出ますか?

決まった本数はありません。
本数より、問い合わせに近いテーマを選んでいるか、自社にしか書けない内容が入っているかのほうが影響します。
最初は問い合わせに近い10〜15本を出し、検索で表示され始めた言葉を見ながら増やしていくのが現実的です。

成果が出るまで、どのくらいの期間を見ておけばいいですか?

Googleは、検索で成果が出るまでの期間を示していません。
期間で区切るより、「表示回数が増えているか」「クリックされているか」「問い合わせにつながっているか」の順に、いまどの段階の数字が動いているかで判断してください。
始める前に、半年後と1年後にどの数字がどうなっていれば続けるかを決めておくと、途中で迷わずに済みます。

ブログサービス(noteなど)で始めてもいいですか?

採用や会社の考え方を知ってもらう目的なら、手軽に始められる選択肢です。
ただし、検索から自社サイトへの問い合わせを増やしたい場合は、自社のドメインの中に記事を置くほうが、記事から問い合わせページへ案内しやすく、サービスを移ったときも記事を自社に残せます。

AIで記事を書いてもGoogleに評価されますか?

Googleは、AIを使うこと自体を禁止していません。
ただし、読者にとっての価値を加えずに大量のページを作ると、スパムポリシーの違反になるおそれがあると案内しています。
AIは下書きや整理に使い、事実の確認と、自社の経験を加える作業は人が行ってください。

AI検索が広がると、オウンドメディアは意味がなくなりませんか?

用語の意味のように答えだけで済む記事は、読まれにくくなっています。
一方で、AIは回答の出典として記事を示すので、自社の経験や事例にもとづく記事は、AIの回答を通じて会社を知ってもらう入口になります。
何を書くかの選び方が、これまで以上に大切になりました。

担当者が1人しかいません。
続けられますか?

1人でも続けている会社はあります。
続けるためには、月の本数を無理のない数に決めること、テーマを営業や現場から定期的にもらう仕組みを作ること、経営者が月に一度数字を見る時間をとることの3つが欠かせません。
書く作業だけを外に出す方法もあります。

地方の会社でも効果はありますか?

お客さんが買う前に検索して比べる商品であれば、地域に関係なく効果は期待できます。
地域のお客さんが中心の場合は、記事に地域名や、その地域の気候・制度に合わせた内容を入れると、検索した人の役に立ちやすくなります。
Googleビジネスプロフィールとあわせて使うのが基本です。

まとめ

この記事のまとめ

  • オウンドメディアは、自社サイトの記事で、まだ会社を知らない人の疑問に答え、問い合わせや採用につなげる仕組み
  • 向くのは、お客さんが買う前に調べて比べる商品を扱い、社内に答えられる人がいて、1年続ける体制を作れる会社
  • 始める前に「質問を20個書き出せるか」「問い合わせ1件にいくら払えるか」「誰の時間を使うか」を決める
  • 最初の1年は、問い合わせに近い記事から書き、表示回数と検索語句の増え方を見ながら直す
  • 外注しても、テーマを決める・事実を確かめる・自社の経験を出す仕事は社内に残る
  • AI検索ではクリックが減る一方、引用元として名前が出る。クローラーの設定を確かめ、自社にしか書けない記事を増やす

オウンドメディアは、始める前の判断と最初の1年の進め方で、続くかどうかがほぼ決まります。
まずはお客さんからよく聞かれる質問を書き出すところから始めてみてください。

INTERCREATE JAPANでは、オウンドメディアの設計・記事づくり・運用と、AIの回答に自社の情報が使われるための対策をあわせてお手伝いしています。
社内でどこまでやり、どこを外に任せるかの整理から相談いただけます。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典