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オウンドメディアの費用|立ち上げ・運用の内訳と、月の予算ごとにできること

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.18

この記事でわかること

  • 立ち上げ費・運用費・社内の人件費の全体像と、1年単位での見方
  • 設計・CMS・デザインなど立ち上げ費の内訳と、各社が公開している料金の例
  • 記事1本の単価の決まり方と、取材・分析・AI検索対策の費用
  • 月10万円・30万円・50万円の予算で、何本・何ができるかの組み立て方
  • 内製と外注の費用の比べ方(賃金の統計を使った計算)
  • 粗利から必要な問い合わせ数を逆算する、費用対効果の計算の仕方
目次
  1. 費用の全体像
  2. 1年単位で見る
  3. 費用が大きく変わる条件
  4. 「相場」の数字を見るときの注意
  5. 立ち上げ費の内訳
  6. 公開されている料金の例
  7. CMS・サーバーの費用
  8. 公開時の記事は何本必要か
  9. 立ち上げ費の見積書で確かめる行
  10. 立ち上げの期間と費用の関係
  11. 立ち上げ費を抑える方法
  12. 運用費の内訳
  13. 月額に含まれやすいもの・別料金になりやすいもの
  14. 記事1本の単価の決まり方
  15. 文字単価と記事単価の違い
  16. 公開されている単価の例
  17. 記事の種類ごとの費用の考え方
  18. 取材記事の費用
  19. 分析・改善の費用
  20. サイトの保守とツールの費用
  21. AI検索対策の費用
  22. AIを使うと何が安くなるか
  23. 月の予算ごとにできること
  24. 月10万円の場合
  25. 月30万円の場合
  26. 月50万円の場合
  27. 予算ごとのまとめ
  28. 目標から予算を逆算する
  29. 予算を増やすときの順番
  30. まとまった予算を一度だけ使える場合
  31. 2年目以降の予算
  32. 内製と外注の費用の比べ方
  33. 内製の費用の出し方
  34. 外注の費用に足すもの
  35. 内製と外注の比べ方の表
  36. 1年で比べた例
  37. 見落としやすい費用
  38. 社内の時間を記録しておく
  39. 半分ずつ分ける方法
  40. 費用対効果の計算の仕方
  41. 粗利から必要な問い合わせ数を逆算する
  42. 自社の数字に置き換える
  43. よく使う指標
  44. 記事ごとに見る
  45. 問い合わせの数え方を決める
  46. 広告と比べるときの注意
  47. 問い合わせ以外が目的のメディアの場合
  48. 評価の時期を決めておく
  49. 費用で失敗しないために
  50. 見積りで聞くこと
  51. 安すぎる見積りで確かめること
  52. 予算を社内で通すときの資料
  53. よくある質問
  54. まとめ

「オウンドメディアを始めたいが、いくら用意すればよいのか分からない」「見積りを取ったら、会社によって金額が何倍も違った」という方は多いのではないでしょうか。

オウンドメディアの費用は、サイトを作る「立ち上げ費」と、記事を増やし直していく「運用費」、そして社内の人が使う時間の3つでできています。
インターネットには「相場は月◯万円」という数字がたくさん出てきますが、出どころが書かれていないものも多く、そのまま予算の根拠にするのは危険です。

この記事では、費用の内訳を項目ごとに分け、各社が公式サイトで公開している料金や、調査の主体と時期が分かる数字をもとに、記事1本の単価の決まり方、月の予算ごとにできることの組み立て方、内製と外注の比べ方、費用対効果の計算の仕方までを説明します。
会社の料金は、2026年10月18日に各社の公式サイトで確認したものです。

費用の全体像

担当者が電卓とノートPCを使い、1年分の費用を項目ごとに表へまとめている

オウンドメディアにかかる費用は、大きく3つに分けられます。
見積書に出てくるのは最初の2つですが、3つ目を見落とすと、予算と実際の負担が合わなくなります。

区分中身払い方
立ち上げ費企画・設計、CMS(記事を載せる仕組み)の構築、デザイン、公開時の記事最初に一度。分割の場合もある
運用費記事の作成、取材、毎月の分析と改善、古い記事の更新、サイトの保守、ツール毎月
社内の人件費原稿の確認、取材の調整、事例の提供、報告の場への出席、社内で書く記事見積書には出ないが、毎月かかる

1年単位で見る

立ち上げ費だけを比べて会社を決めると、公開後の運用費が予算に入っていなかった、ということが起きます。
オウンドメディアは、公開したあとに記事を積み上げて読まれるようになる仕組みなので、少なくとも1年分の総額で予算を立てます。

  • 1年目=立ち上げ費+運用費×12か月+社内の人件費
  • 2年目以降=運用費×12か月+社内の人件費(記事が増えるほど、更新の費用の割合が増える)

たとえば、立ち上げ費が150万円、運用費が月30万円なら、1年目の外部への支払いは150万円+360万円で510万円です。
これに社内の人件費が加わります。
2年目は立ち上げ費がなくなり、運用費の360万円が中心になります。

費用が大きく変わる条件

同じ「オウンドメディア」でも、費用が何倍も違うのは、次の条件が会社ごとに違うからです。
自社がどちら寄りかを先に考えておくと、見積りの金額に納得しやすくなります。

条件費用が上がる方向費用が下がる方向
分野の専門性医療・お金・法律・技術など、専門家の確認が要る分野一般の読者向けで、社内の確認で足りる分野
取材の割合事例やインタビューの記事が多い社内の資料や公開情報で書ける記事が多い
本数と速さ短い期間で多くの記事をそろえたい毎月少しずつ増やす
分析の深さ記事ごとの分析と、直す作業まで頼む数字の報告だけ、または社内で見る
サイトの作り一からデザインし、独自の機能を作るテンプレートを使う、会社のサイトの中に作る
社内の関わり方社内に担当者がおらず、すべてを任せる事例の提供や原稿の確認を社内で行う

「相場」の数字を見るときの注意

「オウンドメディアの相場は月◯万〜◯万円」という数字は、制作や支援を行う会社の記事に多く載っています。
こうした数字の多くは、調査の主体や時期、対象が書かれておらず、その会社の料金体系をもとにした目安であることもあります。

予算の根拠にする数字は、次のどれかであるかを確かめてください。

  • 会社が公式サイトで公開している、自社の料金
  • 調査の主体・時期・対象・人数が書かれた調査
  • 国や公的機関の統計
  • 自社が実際に取った見積り

この記事では、この4つに当たる数字だけを使い、それぞれ出どころを書いています。

立ち上げ費の内訳

担当者がサイトの設計図とデザインの案を机に並べ、見積書の項目と一つずつ見比べている

立ち上げ費は、次の項目でできています。
どの項目にどれだけかけるかで、総額は数十万円から数百万円まで変わります。

項目中身費用を左右するもの
企画・設計目的と読者の整理、競合の調査、キーワード(狙う検索語)の設計、サイトの構成、編集ルール調査の深さ、キーワードの数、読者の聞き取りの有無
CMSの構築WordPressなどの導入と設定、記事の入力画面の作り込みCMSの種類、必要な機能(検索、タグ、資料のダウンロードなど)
デザイントップページ、記事の一覧、記事のページのデザインテンプレートを使うか、一から作るか。ページの種類の数
公開時の記事公開の時点で載せる記事の作成と入稿本数、取材の有無
計測・検索の設定Googleアナリティクス4、Search Consoleの設定、問い合わせを成果として数える設定数える操作の数
サーバー・ドメインサーバーの契約、ドメインの取得アクセスの量、会社のサイトの中に作るかどうか

公開されている料金の例

立ち上げ費の料金を公式サイトで公開している会社の例です。
どれも「〜から」の下限で、条件によって変わります。

会社(サービス)公開されている料金
株式会社GIG(LeadGrid)コンテンツ戦略の設計 75万円から/キーワード設計 20万円から/流入経路の計画 15万円から/テンプレートデザイン 15万円/オリジナルデザイン 120万円から/編集ガイドラインの策定 20万円から(税込・税別の記載なし)
株式会社ニュートラルワークスサイト制作 200万円から/調査・設計と記事作成代行を含むプラン 400万円から(税別)
クラウドロイド株式会社初期費用 20万円(税別)。目的・読者・テーマ・KPI・制作ルールなどの設計。サイトの構築は含まない

同じ「立ち上げ」でも、クラウドロイドの初期費用は運用を始めるための設計で、サイトの構築は含みません。
一方、ニュートラルワークスの金額はサイトの制作を含みます。
金額だけを並べると比べ間違えるので、何が含まれるかを必ずそろえてください。

CMS・サーバーの費用

CMSとサーバーの費用は、制作会社への支払いとは別にかかることがあります。
おもな例を挙げます(2026年10月時点の公式の料金表)。

  • WordPress:ソフトそのものは無料。動かすためのサーバーが必要
  • レンタルサーバー:たとえばエックスサーバーのスタンダードプランは、12か月契約で月1,100円(税込、通常の価格。期間限定の割引あり)
  • ヘッドレスCMS:たとえばmicroCMSは、無料のHobbyプランと、月4,900円(税抜)からのTeamプランなど
  • GoogleアナリティクスとSearch Console:無料で使える

ツールやサーバーの費用は、制作会社への支払いに比べれば小さな額です。
大切なのは金額より、契約の名義を自社にしておくことです。
制作会社の名義で契約すると、会社を変えるときに移し替えの手間が生じます。

公開時の記事は何本必要か

公開の時点で、記事を何本そろえておくべきかという決まりはありません。
本数を多くするほど立ち上げ費は増え、公開も遅れます。

考え方としては、読者が最初に訪れたときに「このメディアは自分の役に立ちそうだ」と分かる程度の本数があれば十分です。
たとえば、主な商品やサービスごとに、比べて選ぶ段階の読者に向けた記事を1〜2本ずつ用意し、残りは公開後の計画に回します。
公開を早めれば、そのぶん早く検索に載り始め、数字を見ながら次の記事を決められます。

立ち上げ費の見積書で確かめる行

立ち上げ費の見積書は、「一式」でまとめられていることが少なくありません。
次の行に分けて出してもらうと、比べやすく、削れるところも見えてきます。

  • 企画・設計(調査、キーワード、サイトの構成、編集ルール)
  • デザイン(ページの種類ごと)
  • CMSの構築(機能ごと)
  • 公開時の記事(本数×単価)
  • 計測・検索の設定
  • 進行の管理・打ち合わせ
  • サーバー・ドメイン・CMSの利用料(自社の名義で払うか、制作会社が立て替えるか)

立ち上げの期間と費用の関係

立ち上げにかかる期間も、費用に関わります。
期間が長くなるほど、打ち合わせや進行の管理の手間が増え、公開が遅れたぶん、記事が読まれ始める時期も後ろにずれます。

公式サイトに期間の目安を載せている会社の例では、株式会社ニュートラルワークスがオウンドメディアの公開まで規模によって3〜5か月、株式会社GIGのLeadGridのページでは、コンテンツ戦略の設計が6週間程度、テンプレートデザインが1週間程度、オリジナルデザインが6週間程度と示されています。
デザインを一から作るか、テンプレートを使うかで、期間も費用も大きく変わることが分かります。

立ち上げ費を抑える方法

立ち上げ費は、次の方法で抑えられます。
抑えたぶんを運用費に回すと、公開後に記事を積み上げやすくなります。

  • 会社のサイトの中に作る:今あるサイトのCMSやサーバーを使えば、構築の費用が小さくなることがある
  • デザインはテンプレートから選ぶ:たとえばLeadGridの料金表では、テンプレートデザインが15万円、オリジナルデザインが120万円からと示されている
  • 公開時の記事を絞る:公開の時点で何十本もそろえる必要はない。最初は数本で公開し、計画に沿って増やす
  • 社内でできる設計は社内で:読者像や営業でよく聞かれる質問は、社内でまとめて渡す

立ち上げに予算を使い切らない

立ち上げに予算の大半を使い、公開後に記事を増やす費用が残らないのは、よくある失敗です。
デザインにこだわったサイトでも、記事が増えなければ読まれません。
1年目の予算のうち、運用費に回す分を先に確保してから、立ち上げ費をいくらにするかを決めましょう。

あわせて読みたいオウンドメディア制作会社の選び方|比べる基準と比較表の作り方・主な支援会社オウンドメディアの制作会社を探している方向けに、頼めることと会社の種類、CMSの選び方、選ぶときの8つの基準、会社を比べる表の作り方、主な支援会社9社の対応範囲・料金の公開状況・所在地(公式サイトで確認)、依頼から公開までの流れをまとめました。

運用費の内訳

担当者が原稿の束と取材の録音機、グラフの資料を机に並べ、毎月の費用の内訳を整理している

運用費は、毎月かかる費用です。
記事の本数と、分析や更新をどこまで頼むかで決まります。

項目中身料金の決まり方
記事の作成構成案、執筆、事実の確認、図表、入稿1本ごと、または文字数ごと
取材質問の準備、聞き取り、文字起こし、撮影1回ごと。移動費や謝礼が別になることがある
分析・改善毎月の数字の確認、報告、直す記事の提案月額
記事の更新古くなった情報の修正、内容の追加、似た記事の統合1本ごと、または月額に含む
AI検索対策AIの回答の定期的な確認、会社情報やサービスの書き方の見直し月額、または分析・改善に含む
サイトの保守CMSやプラグインの更新、バックアップ、不具合の修理月額
ツールキーワードの調査や順位の確認に使う有料のツール月額・年額

月額に含まれやすいもの・別料金になりやすいもの

月額の契約でも、すべてが含まれているとは限りません。
会社によって違いますが、次のような分かれ方がよく見られます。
契約の前に、どちらに当たるかを一つずつ確かめてください。

含まれやすいもの別料金になりやすいもの
決めた本数の記事の作成本数を超えた記事、急ぎの記事
毎月の報告と定例の打ち合わせ臨時の打ち合わせ、社内向けの説明会
決めた回数までの修正回数を超えた修正、公開後の大きな書き直し
素材サイトの写真やイラストカメラマンによる撮影、一から描くイラスト
オンラインでの取材現地での取材の移動費、取材相手への謝礼
記事の入稿サイトのデザインの変更、新しい機能の追加

記事1本の単価の決まり方

記事の単価は、文字数だけで決まるわけではありません。
1本の記事ができるまでには、いくつもの工程があり、どの工程を誰がどこまでやるかで金額が変わります。

工程中身単価を押し上げる条件
調査検索上位の記事、公的な資料、自社の資料を調べる専門的な分野、情報の変わりやすい分野
構成見出しの並びを作る構成案の段階で社内の確認が入る
執筆本文を書く文字数、その分野の経験がある書き手
事実の確認・編集数字や制度を出典で確かめ、文章を整える編集者の確認、専門家の監修
図表・画像表、図、写真、イラスト点数、一から作るかどうか
入稿CMSに入れて、見た目を整える装飾の多さ、記事どうしのリンクの設定
修正社内の確認を受けて直す回数、確認する人の多さ

見積りで単価を比べるときは、この表のどの工程が含まれているかをそろえます。
「1本3万円」と「1本7万円」を比べるとき、前者が執筆だけ、後者が構成から入稿まで、ということは珍しくありません。

文字単価と記事単価の違い

記事の料金には、1文字いくらで決める「文字単価」と、1本いくらで決める「記事単価」があります。

  • 文字単価:個人の書き手に頼むときに多い形。文字数が増えるほど高くなるので、必要以上に長い記事になりやすい
  • 記事単価:会社に頼むときに多い形。1本に含まれる工程と、文字数の目安を確かめる必要がある

検索で読まれる記事は、長ければよいわけではありません。
読者の知りたいことに過不足なく答えることが大切です。
文字単価の契約にするなら、「目安の文字数」と「水増しのない構成」を条件に入れておきましょう。

公開されている単価の例

個人に直接頼む場合と、会社に頼む場合の単価の例を並べました。

頼み先単価の例出どころ
個人(クラウドソーシング)2,000字あたり、SEO記事6,000円〜1万円、専門的な記事1〜3万円、取材記事2〜5万円クラウドワークスの解説記事(2025年1月更新)
クラウドロイド株式会社1記事3万円から(税別・記事用画像込み。構成・執筆・編集校正を含む)公式サイト(2026年10月確認)
Appmart株式会社1本5万円から(月4記事から)公式サイト(2026年10月確認)
株式会社ニュートラルワークス記事作成代行 1記事6.5万円から(税別)公式サイト(2026年10月確認)
株式会社GIG(LeadGrid)記事・ホワイトペーパーの制作代行 1本7万円から公式サイト(2026年10月確認)

個人に直接頼むと単価は低くなりますが、キーワードの設計、書き手への指示、事実の確認、入稿は自社で行うことになります。
会社の単価には、こうした編集や進行の手間が含まれていると考えると、差の理由が見えてきます。

クラウドワークスの同じ記事では、記事の料金とは別にかかる費用の例として、企画・構成5,000円〜1万円、写真撮影1枚500〜5,000円、図表1点1,500〜5,000円、ディレクション(進行の管理)1〜5万円、校正・校閲1,000〜5,000円、取材相手への謝礼3,000円〜3万円が挙げられています。
個人に頼む場合は、これらを誰が担うかも見積もりに入れておきます。

記事の種類ごとの費用の考え方

オウンドメディアの記事には、いくつかの種類があります。
種類によって、費用がかかるところと、社内で手間を減らせるところが違います。

記事の種類費用がかかるところ社内で減らせる手間
検索向けの解説記事調査、構成、事実の確認営業でよく聞かれる質問を渡し、調査の手間を減らす
比較・選び方の記事比べる相手の情報の確認、表づくり自社の商品の正確な情報を、表の形で渡す
事例の記事取材、文字起こし、撮影、お客さまの確認お客さまへの依頼と日程の調整を社内で行う
専門的な記事専門家の監修、正確さの確認社内の専門の社員が内容を確かめる
資料(ホワイトペーパー)構成、デザイン、図表社内の提案資料やデータを元にしてもらう
既存の記事の更新古い情報の洗い出し、書き直し料金や制度が変わったときに、社内から知らせる

問い合わせにつながりやすいのは、比較・選び方の記事と事例の記事です。
費用のかかる事例の記事を毎月1本、残りを解説記事にする、というように、種類の組み合わせで予算を配分すると、費用と成果の両方を見ながら調整できます。

取材記事の費用

取材記事は、ほかの記事より費用がかかります。
費用の内訳は、おおよそ次のとおりです。

  • 質問の準備と、取材相手との日程の調整
  • 取材の時間(1〜2時間ほどが多い)と、現地に行く場合の移動費
  • 録音の文字起こし
  • 撮影(カメラマンを手配する場合は別料金)
  • 原稿の作成と、話した人の確認を受けての修正

オンラインで取材する、写真は社内で撮る、社員への取材は社内で日程を調整する、といった分担で費用を抑えられます。
お客さまの事例を取材する場合は、謝礼の有無も社内で決めておきます。

分析・改善の費用

毎月の分析と改善は、記事を増やすのと同じくらい大切な仕事です。
公開されている料金の例では、株式会社GIG(LeadGrid)がレポーティングと改善提案を月7.5万円から、株式会社ニュートラルワークスがオウンドメディアのコンサルティングを月30万円から(税抜)としています。
株式会社THE MOLTSは、実行まで引き受ける運用代行を月100万円からの目安の下限として示しています。

金額の幅が大きいのは、範囲が違うからです。
数字をまとめて報告するだけか、直す記事を選んで指示するところまでか、実際に直すところまでかで、金額は大きく変わります。

サイトの保守とツールの費用

見落としやすいのが、サイトの保守の費用です。
WordPressなどのCMSは、本体やプラグイン(追加の機能)の更新を続けないと、不具合や不正なアクセスの原因になります。
制作会社に保守を頼む場合は月額になることが多く、たとえば株式会社ニュートラルワークスは、保守・運用のライトプランを月4万円、アップデートプランを月6万円(いずれも税別)と公開しています。

ツールでは、Search ConsoleとGoogleアナリティクス4は無料で使えます。
キーワードの検索数を調べたり、狙った言葉の順位を毎日確かめたりするには、有料のツールを使うこともあります。
依頼先が自社の契約しているツールで調べてくれる場合は、自社で契約する必要はありません。
社内で運用する場合は、どのツールを使うかを決め、その費用を運用費に入れておきます。

AI検索対策の費用

ChatGPTやGoogleのAIの回答で、自社の情報が取り上げられるようにする対策(LLMO対策などと呼ばれます)を外部に頼む会社も増えています。
株式会社PRIZMAが2026年7月に、LLMO対策を外注している企業(従業員30人以上・年商5億円以上)の担当者418人に行った調査では、毎月の支払い総額は「月額40万円程度」が18.4%、「月額50万円程度」が17.2%、「月額30万円程度」が15.1%でした。
この調査の対象は、従業員30人以上・年商5億円以上の企業です。
小さな会社がこの金額をそのまま予算にするより、どの施策にお金が使われているかを、頼む範囲を考える参考にするのがよいでしょう。

同じ調査で、依頼している施策(複数回答)は、専門コンテンツの作成が46.4%、AIの回答での引用状況の定点観測が44.3%、既存のコンテンツの書き直しが40.7%でした。
中身を見ると、記事づくりと分析の延長にある仕事が中心です。
Googleも、AIによる概要やAIモードに表示されるための特別な最適化はないと案内しています。
オウンドメディアの運用を頼んでいるなら、別の契約にせず、運用の中で行ってもらえるかを相談してみる価値があります。

あわせて読みたいLLMO対策の費用相場は?外注の料金の内訳と、見積りで聞くべき質問を解説LLMO対策を外注すると、いくらかかるのか。2026年の調査と公開料金の集計をもとに、月額・診断・記事作成などの相場、費用の内訳、契約の形、自社でやる場合にかかるもの、見積りで聞くべき質問と、見積書で気をつけたい点までをまとめました。

AIを使うと何が安くなるか

生成AIを記事づくりに使う会社が増え、AIを使うことで単価を抑えるサービスもあります。
ただし、すべての工程が安くなるわけではありません。

工程AIで手間が減りやすいか理由
調査の下書き減りやすい資料を集めて要点をまとめる作業は、AIが得意
構成・本文の下書き減りやすいたたき台を早く作れる
古い記事の点検減りやすい多くの記事から、古い数字や制度を探す作業を任せられる
事実の確認減りにくいAIの出力には誤りが含まれることがあり、人が出典で確かめる必要がある
取材減りにくい話を聞く、許可を取る、といった人どうしのやりとりが中心
社内の確認・判断減らない自社の考えや出してよい情報は、社内の人にしか判断できない

AIを使う依頼先を選ぶときは、単価の安さだけでなく、事実の確認と自社の情報を入れる工程に、どれだけ人の手をかけているかを確かめてください。
当社が運営するメディア「AI・Web実務研究所」でも、調べる、構成を作る、書く、点検する、古い情報を更新する、という流れのうち、AIで速くなるところと、人が確かめるところを分けて記事を作っています。

月の予算ごとにできること

担当者と上司がホワイトボードに書いた3つの予算案の前で、どれにするかを話し合っている

毎月の予算が決まっている場合、何本の記事が作れて、何まで頼めるかは、次の手順で組み立てられます。

  1. 毎月決まってかかる費用を引くサイトの保守、ツール、分析・報告など、本数に関係なくかかる費用を、予算から先に引きます。
  2. 残りを記事の単価で割る残った金額を、1本の単価で割ると、作れる本数の目安が出ます。単価は、含まれる工程をそろえた見積りの金額を使います。
  3. 取材記事と更新を混ぜる取材記事は単価が高いので、月に何本入れるかを決めます。記事が増えてきたら、更新に回す分も取っておきます。
  4. 社内の時間を確かめるその本数を、社内の確認者が毎月確かめられるかを見ます。確認が追いつかないなら、本数を減らして、そのぶんを取材や更新に回します。

ここからは、たとえば記事1本の単価を、構成から入稿まで含めて5万円、取材記事を10万円、分析・報告を月7.5万円と置いて、予算ごとの組み立てを計算してみます。
単価は、前の章で挙げた公開されている料金の幅を参考にした置き方です。
実際の単価は、見積りで確かめた金額に置き換えて計算してください。

月10万円の場合

月10万円では、分析まで外部に頼むと記事の予算がほとんど残りません。
記事づくりを外部に頼み、分析は社内で行う形が現実的です。

  • 記事 2本(5万円×2本)=10万円
  • 分析・報告:社内でSearch ConsoleとGA4を見る
  • サーバーやツールの費用は、会社の通信費などから出す

個人の書き手に直接頼む場合は、単価が下がるぶん本数を増やせますが、キーワードの設計、書き手への指示、事実の確認、入稿を社内で行うことになります。
社内に記事の編集ができる人がいるかどうかで、選ぶ形が変わります。

月2本でも、問い合わせに近い言葉に絞って書けば、1年で24本の記事がたまります。
最初の数か月は、商品やサービスを比べて選ぶ段階の人が使う言葉(「〇〇 費用」「〇〇 選び方」「〇〇 業者」など)から書くのがおすすめです。
本数が少ないぶん、1本ごとに自社の事例や現場の数字を入れ、ほかの会社の記事にはない中身にすることが、限られた予算を生かす近道です。

月30万円の場合

月30万円あれば、記事づくりと毎月の分析・報告をまとめて外部に頼めます。

  • 分析・報告:7.5万円
  • 記事 4本(5万円×4本)=20万円
  • 残り 2.5万円:記事の更新や、写真・図表の追加に使う

月4本なら1年で48本です。
報告の中で、表示回数は多いのにクリックが少ない記事や、順位が2ページ目で止まっている記事を見つけてもらい、毎月1〜2本を直すと、新しい記事を書くより早く数字が動くことがあります。
取材記事を入れたい月は、通常の記事を2本減らして取材記事1本にする、といった入れ替えで調整します。

月50万円の場合

月50万円になると、取材記事やAI検索対策まで含めた運用が組めます。

  • 分析・報告とAIの回答の確認:10万円(分析・報告7.5万円に、AIの回答の確認と直す提案を足した置き方)
  • 取材記事 1本:10万円
  • 記事 5本(5万円×5本)=25万円
  • 記事の更新:5万円

この規模になると、記事の本数よりも「どの記事を書き、どれを直すか」の判断が成果を左右します。
毎月の報告の場に社内の担当者が出て、問い合わせの中身や営業の現場の声を伝え、次の企画に生かせるかが大切になります。

予算ごとのまとめ

月の予算記事の本数の目安外部に頼めること社内に残ること
10万円月2本ほど(単価5万円の場合)記事の作成キーワードの選び方、分析、原稿の確認
30万円月4本ほど+更新記事の作成、分析・報告、直す記事の提案目的の決定、事実の提供、原稿の確認
50万円月5本+取材記事1本+更新記事・取材・分析・AIの回答の確認目的の決定、事実の提供、原稿の確認、公開の判断

どの予算でも、社内の仕事はなくなりません。
予算を増やすときは、記事の本数を増やす前に、社内の確認の時間が足りているかを確かめてください。

月50万円を超える予算になると、記事のほかに、資料請求のための資料づくり、メールでのお知らせ、セミナーとの連携など、読者を問い合わせまで案内する仕組みづくりまで頼めるようになります。
ただ、記事がまだ少ないうちは、こうした仕組みより記事の本数と質を優先したほうが、費用が生きやすくなります。

目標から予算を逆算する

予算が決まっていない場合は、目標から逆算して決める方法もあります。
必要なのは、自社の数字で置き換えられる3つの見込みです。

  1. 目標の問い合わせ数を決める費用対効果の章の計算で、費用を回収するのに必要な問い合わせ数を出し、それを目標にします。
  2. 記事1本あたりの問い合わせを見込むすでに記事がある会社は、GA4で記事から来た問い合わせ数を記事の本数で割ります。記事がない会社は、同じ業界の事例や、依頼先の見立てを参考にします。
  3. 必要な本数と期間を出す目標の問い合わせ数を、記事1本あたりの見込みで割ると、必要な本数の目安が出ます。それを毎月の本数で割れば、達成までの期間の目安になります。

たとえば、目標が月4件で、記事1本あたり月0.1件の問い合わせを見込むなら、必要な記事は40本です。
月4本なら10か月、月2本なら20か月かかる計算になります。
この期間を短くしたいなら本数を増やす、本数を増やせないなら1本あたりの問い合わせを増やすために、問い合わせに近い言葉の記事や取材記事を優先する、という判断ができます。

見込みの数字は、はじめは当たらないことも多いものです。
3か月ごとに実際の数字で置き換え、計画を直していきましょう。

予算を増やすときの順番

成果が見え始めて予算を増やすときは、本数を増やす前に、次の順で考えると無駄が出にくくなります。

  1. 読まれている記事を直す表示回数が多いのにクリックが少ない記事や、順位が2ページ目で止まっている記事を直します。新しい記事より早く数字が動くことがあります。
  2. 問い合わせにつながった記事の近くを増やす問い合わせのきっかけになった記事と近い言葉の記事を増やします。
  3. 取材記事を増やす事例やインタビューの記事を増やし、ほかの会社には書けない記事の割合を上げます。
  4. 新しい分野に広げるここまでが回ってから、まだ書いていない分野の記事に広げます。

まとまった予算を一度だけ使える場合

毎月の予算ではなく、「今年度に100万円」のように、まとまった予算を一度だけ使える場合もあります。
この場合は、立ち上げに使い切らず、次のように分けるのがおすすめです。

  • 立ち上げは、会社のサイトの中に作る、テンプレートを使うなどで小さくする
  • 問い合わせに近い言葉の記事を、できるだけ多く外部に頼む
  • 編集ルールとキーワードの計画を受け取り、翌年からは社内で書き足せるようにする

一度だけの予算でも、問い合わせに近い記事がたまっていれば、翌年以降も読まれ続けます。
予算を使い終えたあとも、社内で月1本でも書き足せる体制を残しておくことが大切です。

2年目以降の予算

記事がたまってくると、古くなった記事の更新に使う費用の割合が増えていきます。
料金や制度、ツールの画面は変わるので、1年前に書いた記事の情報がそのままでは古くなっていることがあります。

2年目以降は、毎月の予算のうち、新しい記事と更新に使う割合を決めておきます。
たとえば、1年目は新しい記事が中心でも、2年目は新しい記事と更新を半分ずつにする、といった配分です。
よく読まれている記事や、問い合わせにつながっている記事ほど、優先して新しい状態に保ちます。

内製と外注の費用の比べ方

担当者がノートPCで、社内の作業時間の表と外注の見積書を左右に並べて見比べている

「外注は高いので、社内でやろう」と考えることもあるでしょう。
ただし、社内で行う場合も、担当者の給与という形で費用はかかっています。
比べるときは、内製の費用も同じ物差しで計算します。

内製の費用の出し方

内製の費用は、次の式でおおよそ出せます。

  • 内製の費用(月)=担当者の月給×(1+会社が負担する社会保険料などの割合)×オウンドメディアに使う時間の割合+ツールの費用

月給の目安として、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、一般労働者の賃金(6月分の所定内給与額)は男女計で34万600円です。
会社は給与のほかに社会保険料を負担していて、たとえば厚生年金の保険料率は18.3%で、会社と従業員が半分ずつ負担するため、会社の負担は給与の9.15%です。
これに健康保険や雇用保険なども加わります。

たとえば、月給34万600円の担当者が、仕事の時間の半分をオウンドメディアに使い、会社が負担する社会保険料などの割合を15%と置くと、次のようになります。

  • 34万600円×1.15×0.5=約19万6,000円(月)

この担当者が月に4本の記事を書くなら、1本あたり約4万9,000円です。
前の章で挙げた会社の単価と、それほど変わらない水準になります。
賞与や残業代、パソコンや教育の費用を入れれば、1本あたりの費用はさらに上がります。

外注の費用に足すもの

外注の場合も、見積りの金額だけが費用ではありません。
社内で原稿を確かめる時間、取材の調整、毎月の報告の場の時間がかかります。

たとえば、月4本の記事の確認や報告の場などに社内で月7時間使うとします。
月の所定の労働時間を160時間と置くと、月給34万600円の人の1時間あたりの給与は約2,100円なので、社会保険料なども含めて月1万7,000円ほどの人件費が、外注の費用に上乗せされます。
金額は大きくありませんが、確認する人の時間が取れないと原稿が止まるという意味で、見逃せない費用です。

内製と外注の比べ方の表

項目内製外注
毎月の費用担当者の人件費+ツール見積りの金額+社内の確認の時間
立ち上がりの速さ担当者が慣れるまで時間がかかる経験のある会社なら早く始められる
自社の情報の入れやすさ入れやすい。現場の言葉で書ける取材や資料の提供が必要
止まりやすさ担当者の異動や退職で止まる依頼先の担当の交代で質が変わることがある
ノウハウ社内にたまる契約しだいで、文書として受け取れる
本数の増やしやすさ担当者の時間に限られる予算に応じて増やせる

1年で比べた例

ここまでの計算を、1年分で並べてみます。
内製は、担当者が仕事の時間の半分を使って月4本を書く場合、外注は、月30万円で記事4本と分析・報告を頼み、社内で月7時間の確認を行う場合です。

内製外注
外部への支払いツールなど(自社で選ぶ)30万円×12か月=360万円
社内の人件費約19万6,000円×12か月=約235万円約1万7,000円×12か月=約20万円
1年の合計約235万円+ツールなど約380万円
1年でできること記事48本。分析と改善は担当者の時間の中で行う記事48本と、毎月の分析・報告・直す記事の提案
前提担当者が書き方と分析の仕方を身につけている社内の確認者が毎月時間を取れる

金額だけを見れば内製のほうが安く見えますが、担当者が慣れるまでの期間や、分析・改善の時間をどう確保するかで、実際の成果は変わります。
担当者が初めてオウンドメディアに取り組むなら、最初の1年は外部の力を借りて立ち上げ、2年目から内製の割合を増やす、という順番も考えられます。

見落としやすい費用

内製を選ぶ場合は、次の費用も見込んでおきます。

  • 教える費用:キーワードの選び方や分析の仕方を担当者が学ぶ時間と、研修や本の費用
  • 止まったときの費用:担当者が異動・退職したとき、引き継ぐ人が慣れるまでの間、記事が止まる
  • ツールの費用:キーワードの調査や順位の確認に使う有料のツール
  • サイトの保守:CMSの更新や不具合の修理を、社内でできるか

外注を選ぶ場合は、依頼先を選ぶ手間と、契約の確認、毎月のやりとりの時間がかかります。
どちらが安いかは、本数と、社内の担当者がどれだけ時間を使えるかで変わります。

社内の時間を記録しておく

内製と外注を正しく比べるには、社内の人がオウンドメディアに実際にどれだけ時間を使っているかを知る必要があります。
最初の1〜2か月だけでも、次のように記録しておくと、比べる材料になります。

  • 記事1本を書くのにかかった時間(調査・構成・執筆・直し)
  • 原稿の確認にかかった時間と、確認した人
  • 取材の調整や、資料を集めるのにかかった時間
  • 数字を見て、次の記事を決めるのにかかった時間

記録してみると、書く時間より、調べる時間や社内で確認を回す時間のほうが長い、ということもよくあります。
どの工程に時間がかかっているかが分かれば、その工程だけを外部に頼む、という選び方もできます。

半分ずつ分ける方法

内製と外注のどちらか一方に決める必要はありません。
社内の強みと外部の強みを組み合わせると、費用と成果のバランスが取りやすくなります。

  • 設計と分析は外部、記事は社内:書ける社員がいる場合。外部にはキーワードの計画と毎月の分析を頼む
  • 記事は外部、取材記事と事例は社内:社内の人にしか書けない記事を社内で書き、検索向けの記事は外部に頼む
  • 最初は外部、徐々に社内へ:最初の1年は外部に任せ、編集ルールや分析のやり方を受け取って、社内に移していく

費用対効果の計算の仕方

経営者と担当者がノートPCのグラフを見ながら、記事から来た問い合わせの数を数えている

オウンドメディアにいくらかけるかは、そこから得られる利益と比べて決めます。
ここでは、問い合わせから受注につなげる会社を例に、計算の仕方を説明します。

粗利から必要な問い合わせ数を逆算する

まず、受注1件あたりの粗利(売上から原価を引いた額)を出します。
そのうえで、毎月の費用を回収するのに、何件の問い合わせが必要かを逆算します。

  • 必要な受注数(月)=毎月の費用÷受注1件あたりの粗利
  • 必要な問い合わせ数(月)=必要な受注数÷(問い合わせから商談になる割合×商談から受注になる割合)

たとえば、毎月の費用が30万円、受注1件あたりの粗利が60万円、問い合わせの半分が商談になり、商談の3割が受注になる会社なら、次のようになります。

  • 必要な受注数=30万円÷60万円=0.5件(2か月に1件)
  • 必要な問い合わせ数=0.5件÷(0.5×0.3)=約3.3件(月)

つまり、記事から月に3〜4件の問い合わせが来るようになれば、毎月の費用を回収できる計算です。
この数字を、オウンドメディアの目標を決めるときの出発点にします。

自社の数字に置き換える

上の計算に使う数字は、社内の記録から集められます。
どこで調べればよいかをまとめました。

使う数字調べる場所記録がないときの考え方
毎月の費用見積り、社内の作業時間の記録外部への支払いに、社内の確認の時間を足す
受注1件あたりの粗利会計の記録、過去の受注の一覧主な商品の、1件あたりの平均的な粗利を使う
問い合わせから商談になる割合営業の記録、問い合わせの一覧直近の問い合わせ数と商談の数から出す
商談から受注になる割合営業の記録営業の担当者に、おおよその割合を聞く

取引が何年も続くお客さまが多い会社は、1回目の受注の粗利だけでなく、取引が続く期間の粗利の合計で計算すると、実態に近づきます。

よく使う指標

指標式使いどころ
問い合わせ1件あたりの費用毎月の費用÷記事から来た問い合わせ数広告など、ほかの集客のやり方と比べる
受注1件あたりの費用毎月の費用÷記事がきっかけの受注数受注1件の粗利と比べ、採算を見る
投資に対する利益の割合(記事がきっかけの粗利−費用)÷費用1年単位で、続けるかどうかを判断する
記事1本あたりの成果その記事から来た問い合わせ数÷その記事にかけた費用どの種類の記事を増やすかを決める

記事ごとに見る

メディア全体の数字だけでは、どこにお金をかけるべきかが分かりません。
GA4で、問い合わせの前に読まれていた記事を調べ、記事ごとの成果を出します。

記事は一度書けば、公開後も読まれ続けます。
そのため、記事1本の費用対効果は、公開した月だけでなく、1年など一定の期間の累計で見ます。
たとえば5万円で書いた記事が、1年間に3件の問い合わせのきっかけになったなら、問い合わせ1件あたり約1万7,000円です。
同じ言葉で広告を出した場合の問い合わせ1件あたりの費用と比べると、記事の価値が分かりやすくなります。

問い合わせの数え方を決める

費用対効果を計算するには、記事から来た問い合わせを正しく数える必要があります。
始める前に、次のことを決めておきます。

  • GA4で数える操作:問い合わせフォームの送信、資料請求、電話番号のタップなど、どの操作をキーイベント(成果として数える操作)にするか
  • 記事との結びつけ方:問い合わせの前に、どの記事が読まれていたかを、GA4で確かめる方法
  • フォームの質問:問い合わせのフォームに「何をご覧になって知りましたか」という質問を入れる
  • 電話や紹介の扱い:電話の問い合わせや、記事を読んだ人からの紹介は、営業が聞き取って記録する
  • 受注までの追いかけ方:問い合わせが商談・受注になったかを、営業の記録と照らし合わせる

ここが決まっていないと、記事が問い合わせにつながっていても数字に表れず、費用対効果が実際より低く見えてしまいます。

広告と比べるときの注意

記事の費用対効果を、検索広告と比べることもよくあります。
比べるときは、次の違いに気をつけます。

  • 費用のかかり方:広告は出している間だけ費用がかかり、止めれば訪問も止まる。記事は書いたときに費用がかかり、公開後も読まれ続ける
  • 効果が出るまでの時間:広告はすぐに訪問が来る。記事は検索に載るまで時間がかかる
  • 読者の段階:広告は買う直前の言葉に出すことが多い。記事は、調べ始めたばかりの読者にも届く
  • ほかの使い道:記事は、営業の説明資料や、お客さまへのメールでも使い回せる。広告にはこうした使い道がない

そのため、1か月だけで比べると広告のほうが効率よく見えがちです。
記事は1年など長めの期間の累計で、広告は同じ期間にかかる費用の合計で比べると、公平な比べ方になります。

問い合わせ以外が目的のメディアの場合

採用や、すでに取引のあるお客さまとの関係づくりが目的のメディアでは、問い合わせ数の代わりに、目的に合った数字で費用対効果を見ます。

目的見る数字の例比べる相手
採用記事を読んでからの応募数、面接で記事に触れた応募者の数求人広告や人材紹介にかかる費用
既存のお客さまとの関係記事を読んだお客さまの追加の注文、問い合わせの減り方営業やサポートにかかる時間
会社の知名度会社名での検索数、取材の依頼や講演の依頼広告やイベントの費用

採用が目的なら、1人を採用するのに求人広告や紹介会社にかけている費用と比べると、記事にかけてよい費用の目安が出ます。

評価の時期を決めておく

記事は公開してすぐに検索で読まれるわけではありません。
Googleも、変更が検索結果に反映されるまでには、数時間で済むものから数か月かかるものまであると案内しています。
公開して間もない時期に問い合わせ数だけで判断すると、続ければ成果の出る企画をやめてしまうことがあります。

始める前に、「最初の3か月は公開本数と表示回数」「半年からはクリック数と問い合わせ」「1年で費用対効果」のように、時期ごとに見る数字と、判断するタイミングを決めておきましょう。

問い合わせ以外の効果も記録しておく

記事は、問い合わせのほかにも役立つことがあります。
営業がお客さまに記事を送って説明に使う、採用の面接で応募者が記事を読んできていた、などです。
こうした効果は数字に出にくいので、営業や採用の担当者に聞いて、毎月の報告に書き添えておくと、費用対効果を判断するときの材料になります。

あわせて読みたいオウンドメディアの運用代行|任せる範囲の切り分けと依頼先・契約の決め方オウンドメディアの運用代行を検討している方向けに、戦略・記事・取材・CMS・分析・AI検索対策のどこを任せ、何を社内に残すか、依頼先5種類の向き不向き、見積りで聞く質問、記事の権利やアカウントの持ち主など契約で決めること、毎月の報告で見る数字までをまとめました。

費用で失敗しないために

担当者が見積書の細かい条件の欄に蛍光ペンで印をつけ、ノートに確認事項を書き出している

費用のことで後悔しないために、見積りと契約の段階で確かめておきたいことをまとめました。

よくある失敗起きること避け方
下限の金額だけで比べる必要な作業が別料金で、最終的な費用がふくらむ同じ依頼文で見積りを取り、工程ごとの内訳で比べる
税込と税別を混ぜて比べる1割ほどの差を見落とすどちらかにそろえてから比べる
立ち上げに予算を使い切る公開後に記事が増えず、読まれない1年分の運用費を先に確保する
本数だけで単価を下げる確認が追いつかず、誤りや一般論の記事が増える社内で確かめられる本数に合わせる
更新の費用を見込まない2年目以降、古い記事が増えて信用を落とす2年目からは更新に回す割合を決める
最低契約期間を見落とす合わないと分かっても、すぐにやめられない契約期間と解約の条件を、見積りの段階で聞く
記事の権利を決めていない依頼先を変えたとき、記事を自由に直せない著作権の譲渡と、アカウントの名義を契約で決める

見積りで聞くこと

費用について、見積りの段階で聞いておきたいことです。

  • 1本の単価に含まれる工程(構成案、画像、入稿、修正の回数)
  • 文字数の目安と、超えたときの扱い
  • 取材の費用と、移動費・撮影・謝礼の扱い
  • 分析・報告に含まれる作業と、報告書の見本
  • 更新の費用(1本ごとか、月額に含まれるか)
  • 最低の発注本数と、最低の契約期間
  • 税込か税別か
  • 途中で範囲や本数を変えるときの扱い

見積りが「一式」になっている場合は、工程ごとの内訳を出してもらってください。
内訳が出れば、予算に合わせて、どの工程を社内に戻すかも相談できます。

安すぎる見積りで確かめること

ほかの会社より明らかに安い見積りが届いたら、次の点を確かめます。
安いこと自体が悪いわけではありませんが、必要な工程が抜けていないかは見ておく必要があります。

  • キーワードの設計や構成案が含まれているか、こちらで用意する前提か
  • 事実の確認や編集を、誰が行うか
  • 修正は何回まで含まれるか
  • 入稿は含まれるか
  • AIで作った下書きを、人がどこまで確かめるか
  • 同じような記事を、ほかの会社向けにも量産していないか

試しに1〜2本頼んでみて、社内の確認にかかる手間も含めて比べると、本当の費用が見えます。

見積りを比べるときは、税と期間をそろえる

会社によって、税込で示すところと税別で示すところがあります。
また、月額で示す会社と、6か月や1年の総額で示す会社もあります。
比べるときは、税別か税込のどちらかにそろえ、1年分の総額に直してから並べてください。

予算を社内で通すときの資料

オウンドメディアの予算を社内で通すときは、金額だけでなく、何にいくら使い、何をもって成果とするかを1枚にまとめると、判断してもらいやすくなります。

  • 目的と、見る数字(例:記事から月◯件の問い合わせ)
  • 1年分の費用の内訳(立ち上げ費、運用費、社内の時間)
  • 費用を回収するのに必要な問い合わせ数(前の章の逆算)
  • 時期ごとに見る数字と、続けるかどうかを判断するタイミング
  • 依頼先と、選んだ理由

よくある質問

オウンドメディアは、最低いくらから始められますか?

会社のサイトの中に記事のコーナーを作り、社内で記事を書くなら、外部への支払いはほとんどかけずに始められます。
ただし、担当者の時間という費用はかかります。
外部に頼む場合は、記事の単価×本数が最低の目安になります。
公開されている料金では、記事1本3万円から(税別)としている会社もあります。

立ち上げ費と運用費は、どちらにお金をかけるべきですか?

迷ったら運用費を優先してください。
オウンドメディアは、公開後に記事を積み上げ、直していくことで読まれるようになります。
立ち上げはテンプレートのデザインや少ない記事数で始め、浮いた予算を1年目の記事づくりと分析に回すほうが、成果につながりやすくなります。

AIを使えば、費用はどのくらい下がりますか?

調査や下書き、古い記事の点検などの手間は減りますが、事実の確認、取材、社内の確認は減りません。
どれだけ下がるかは、記事のうちどの工程の割合が大きいかで変わります。
AIで単価を下げたサービスを選ぶときは、人が事実を確かめる工程が入っているかを必ず確かめてください。

費用対効果が出るまで、どのくらいかかりますか?

狙う言葉の競争の強さ、記事の本数、もともとのサイトの状態によって大きく変わるため、一律には言えません。
Googleも、変更が検索結果に反映されるまで数か月かかることがあると案内しています。
始める前に、時期ごとに見る数字と、続けるかどうかを判断するタイミングを決めておきましょう。

AI検索対策は、別の予算で考えるべきですか?

オウンドメディアの運用を頼んでいるなら、同じ依頼先に、運用の中でAIの回答の確認と直しを入れてもらえないか相談するのがおすすめです。
依頼される施策の中心は、専門的な記事の作成、AIの回答の定期的な確認、既存の記事の書き直しで、記事づくりや分析と重なる部分が大きいからです。

サイトは今のままで、記事だけを外部に頼んでも意味はありますか?

あります。
会社のサイトにすでに記事を載せられる仕組みがあるなら、立ち上げ費をかけずに記事づくりから始められます。
その場合は、記事から問い合わせのページへ進めるか、スマホで読みやすいかを先に確かめておきましょう。
仕組みに不便があっても、記事が増えて成果が見えてから直す、という順番でもかまいません。

月額の契約と、記事ごとの契約は、どちらが得ですか?

本数と範囲が毎月ほぼ決まっているなら、月額の契約のほうが、分析や更新もまとめて頼みやすくなります。
本数が月によって変わる、まずは試したい、という段階なら、記事ごとの契約のほうが無駄が出にくくなります。
始めは記事ごとに頼み、範囲が固まったら月額に切り替える方法もあります。

途中で予算を減らすと、どうなりますか?

すでに公開した記事は残るので、予算を減らしても、それまでの記事は読まれ続けます。
ただし、記事の追加や更新が止まると、情報が古くなった記事から順に読まれにくくなることがあります。
減らすときは、新しい記事の本数を減らし、よく読まれている記事の更新は続ける、という順番がおすすめです。

毎月の費用は、いつまで続ければよいですか?

あらかじめ決めた判断のタイミングで、費用対効果を見て決めます。
費用を回収できる問い合わせ数に届いていれば続け、届いていなければ、狙う言葉や記事の種類を見直すか、予算を減らして社内に移すかを検討します。
記事がたまってくれば、外部への支払いを減らして、更新を中心に社内で続ける形に移る会社もあります。

記事の費用は、会計上どう扱えばよいですか?

記事の作成費やサイトの制作費の会計・税務上の扱いは、契約の中身や金額によって変わることがあります。
判断に迷う場合は、顧問の税理士などに確かめてください。

見積りの金額が会社によって何倍も違うのはなぜですか?

多くの場合、含まれる工程の違いです。
片方は構成から入稿・修正まで、もう片方は執筆だけ、ということがあります。
書き手の経験、編集者の確認や専門家の監修の有無、取材の有無でも変わります。
工程ごとの内訳を出してもらい、同じ条件にそろえて比べてください。

まとめ

この記事のまとめ

  • オウンドメディアの費用は、立ち上げ費・運用費・社内の人件費の3つ。少なくとも1年分の総額で予算を立てる
  • 相場の数字は、公開されている料金、調査の主体と時期が分かる調査、公的な統計、自社の見積りに当たるかを確かめる
  • 記事1本の単価は、調査・構成・執筆・確認・図表・入稿・修正のどこまで含むかで決まる。比べるときは工程をそろえる
  • 月の予算は、決まってかかる費用を引き、残りを単価で割り、社内で確かめられる本数に合わせて組み立てる
  • 内製も人件費がかかる。月給×(1+会社負担の割合)×使う時間の割合で計算し、外注と同じ物差しで比べる
  • 費用対効果は、粗利から必要な問い合わせ数を逆算し、記事ごとに一定の期間の累計で見る

オウンドメディアの費用は、何にいくらかけ、何をもって成果とするかを決めてから組み立てると、無理のない予算になります。
まずは1年分の総額と、費用を回収するのに必要な問い合わせ数を出してみてください。

INTERCREATE JAPANでは、オウンドメディアの記事づくりと毎月の改善、ChatGPTやGoogleのAIの回答に自社の情報が正しく取り上げられるための対策を、ご予算に合わせた範囲でお手伝いしています。
どこまで外部に頼むかを決める段階からご相談ください。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典