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オウンドメディアの成功事例15選|BtoB・採用・EC別に中小企業がまねできること

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.18

この記事でわかること

  • BtoB・採用・EC/店舗の目的別に、実在の企業の取り組みと公開されている成果
  • 町工場や地方の中小企業が、少ない人数でどう続けているか
  • 各事例から、中小企業がそのまままねできるやり方
  • 事例に共通する、ネタの集め方・記事の型・問い合わせへのつなぎ方
  • 事例の数字を読むときに気をつけること
目次
  1. この記事で紹介する事例
  2. BtoBの問い合わせを増やした事例
  3. ステンレスジョイント(兵庫県の町工場)
  4. 菊川工業(東京都の金属内外装工事会社)
  5. ベイジ(Web制作会社)
  6. freee「経営ハッカー」(会計ソフトの会社)
  7. LISKUL(Web広告の支援会社)
  8. 採用につなげた事例
  9. サイボウズ「サイボウズ式」
  10. メルカリ「mercan(メルカン)」
  11. イシダテック(静岡県の製造機械メーカー)
  12. MNTSQ(リーガルテック企業)
  13. サン・クレア(広島県のホテル運営会社)
  14. EC・店舗の事例
  15. クラシコム「北欧、暮らしの道具店」
  16. ほぼ日「ほぼ日刊イトイ新聞」
  17. わざわざ(長野県のパンと日用品の店)
  18. 自遊人「里山十帖」(新潟県の温泉宿)
  19. ヤッホーブルーイング(長野県のクラフトビール)
  20. 事例に共通すること
  21. 成果が出るまでの時間
  22. 自社でまねするときの進め方
  23. まねするときの手順
  24. 最初の3か月の動き方
  25. 事例を読むときの注意
  26. 事例を自分で探すときの探し方
  27. よくある質問
  28. まとめ

「オウンドメディアの成功事例を調べると、大企業の有名なメディアばかりが出てきて、自社の参考にならない」「数字が書いてあっても、どこから出た数字なのか分からない」と感じている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、オウンドメディアの事例をBtoBの問い合わせ・採用・EC/店舗の目的別に分けて紹介します。
社員数十人の町工場や地方の会社の例を多めに選び、各社の公式サイト、本人の発信、取材記事で中身を確かめたものだけを載せました。
数字は出どころに書かれているものだけを、時期とあわせて載せています。

それぞれの事例には、規模の小さい会社でもそのまままねできるやり方を書き添えました。
自社の目的に近いところから読んでください。

この記事で紹介する事例

担当者が机に他社のサイトを印刷した紙を並べ、目的ごとに分けて付箋を貼っている場面

紹介する事例を、目的と会社の規模で一覧にしました。
規模は出どころに書かれた時点のものです。

目的会社(メディア)規模・業種公開されている成果の例
BtoBステンレスジョイント社員19人の町工場(兵庫県)ネット経由の累計受注2億円(2025年1月)
BtoB菊川工業従業員179名の金属内外装工事(東京都)5年で問い合わせ10倍以上
BtoBベイジ社員28名のWeb制作会社資料ダウンロード数が3年で約2倍
BtoBfreee(経営ハッカー)会計ソフトの会社月間100万PV超(2015年)
BtoBLISKULWeb広告の支援会社問い合わせ月3件から月200件
採用サイボウズ(サイボウズ式)ソフトウェア会社キャリア入社約90名中30名が応募のきっかけと回答
採用メルカリ(mercan)フリマアプリの会社入社者の既読率100%を目標に運営
採用イシダテック製造機械メーカー(静岡県)担当1人で週1本を1年継続
採用MNTSQリーガルテック企業面接前に記事を読む求職者が増加
採用サン・クレア従業員130名のホテル運営(広島県)Wantedly経由で8名を採用
EC・店舗クラシコム(北欧、暮らしの道具店)EC・メディア企業約8割の売上がアプリ経由
EC・店舗ほぼ日出版・物販の会社ほぼ日手帳2026年版が100万部突破
EC・店舗わざわざ(よきマガ)パンと日用品の店(長野県)シュトレンが80本から9,240本(予定)に
EC・店舗自遊人(里山十帖)従業員49人の温泉宿(新潟県)リピーターとその紹介で新しい客を獲得
EC・店舗ヤッホーブルーイングクラフトビールのメーカー(長野県)メルマガから立て直し、楽天の年間賞を10年連続受賞

事例の数字には、支援会社やサービスの提供会社が「お客さまの事例」として公開しているものも含まれます。
その場合は、本文でどこが出した情報かを書いています。
また、成果の数字は記事だけでなく、営業や広告などほかの取り組みとあわせた結果であることが多い点にも注意して読んでください。

このページの事例の選び方

次の3つを満たすものだけを選びました。
運営している会社の公式サイトか、取材した媒体の記事で中身を確かめられること。
成果の数字を載せる場合は、出どころに書かれていること。
中小企業がまねできる具体的なやり方が読み取れること。
架空の事例や、出どころの分からない数字は載せていません。

BtoBの問い合わせを増やした事例

町工場の事務所で、社長がノートPCで技術の解説記事を書き、横に図面と製品の部品が置かれている場面

BtoBでは、買う側の担当者が仕様や業者を検索して調べてから問い合わせることが多く、オウンドメディアが効きやすい分野です。
社員数十人の会社でも成果を公開している例があります。

ステンレスジョイント(兵庫県の町工場)

ステンレスジョイントは、兵庫県尼崎市で真空チャンバー(中を真空にする容器)などを作る町工場で、会社概要では社員数19人とされています。
公式サイトの中に、業界の用語や技術の疑問に1問ずつ答える「町工場Q&A」と、納めた製品を同じ項目で紹介する「製作事例」を置き、社長のブログでも発信を続けています。

項目内容
始めた時期公式サイトの開設は2015年4月。ECサイト「真空屋」は2022年3月
記事の型Q&Aは「フランジとは何を意味していますか」のように用語を1つずつ説明する形。2026年10月時点で一覧に「全480件」と表示。製作事例は「納入領域・用途・手配範囲・主要材質・主な板厚・概略寸法・仕様・案件の特徴」の決まった項目で書く
問い合わせへのつなぎ方各ページの最後に、そのページについての問い合わせフォームを置き、図面などのファイルを添付できるようにしている
公開されている成果社長のブログによると、インターネット経由の累計受注は2022年10月に1億円、2023年10月に1.5億円、2025年1月に2億円。2015年のネット経由の売上は0円、2016年の最初の売上は1万円だった

累計受注は、インターネット経由で取引が始まった取引先からの受注を、その後もすべて足していく数え方だと説明されています。
最初の数年はほとんど売上がなく、続けた結果として積み上がった数字だという点が、中小企業にとっていちばんの参考になります。

まねできること

業界の用語や技術の疑問に「〇〇とは」の1問1答で答える記事を、少しずつ積み上げます。
1本が短くても、買う側の担当者が仕様を調べるときに見つけてもらえます。
製作事例は毎回同じ項目で書き、どのページの最後からでも図面を添えて問い合わせできるようにします。

菊川工業(東京都の金属内外装工事会社)

菊川工業は、建物の金属の内外装を手がける会社で、従業員は179名(2022年12月時点)です。
2016年に広報活動を始め、1年近くかけてコーポレートサイトと採用サイトを全面的に作り直しました。
その後、社内に「広報室Webチーム」を置き、手がけた建物の施工事例や技術の解説・動画を増やしています。

項目内容
運営のしかた広報担当の社員が、社内の担当者に話を聞いて施工事例の原稿を書く。アクセス解析をしながら、小さな改修とコンテンツの追加を続ける
記事の型施工事例をすぐに追加する。技術の解説と動画を載せ、営業がタブレットで見せる営業ツールにも使う。検索されやすい言葉を意識してページを増やす
サイトへの呼び込み社内にたまっていた顧客リストにメールマガジンを配信し、サイトへ案内する。月1〜2本のプレスリリースも出す
公開されている成果「2017年から5年で月間アクセス数は4.5倍に、問合せ数は10倍以上」と紹介されている

この事例は、ぶぎん地域経済研究所が発行する「ぶぎんレポート」(2023年8・9月号)の連載で、同社の広報を支援している会社の代表が紹介したものです。

まねできること

現場の担当者に話を聞いて、施工事例を1件ずつ足していきます。
営業がお客さんの前で見せられる技術解説のページを作れば、記事が営業の道具にもなります。
既存のお客さまのリストがあるなら、メールで新しい事例を知らせて、サイトに来てもらうきっかけを作ります。

ベイジ(Web制作会社)

ベイジは、BtoBのWebサイトや業務システムの画面を作る制作会社です。
社長の講演資料(2021年5月掲載)では、社員は28名とされ、「集客の中心となっているのがOwned Media」と説明されています。

項目内容
運営のしかた社長のブログ(2011年〜)、社員が書く「ベイジの日報」(2014年〜)、用語集(2017年〜)、看板の記事を出すメディア(2019年〜)を分けて運営。日報は社員が本業と兼務で月5〜6本、看板の記事は全員参加で編集部が質を見て月2〜3本
記事の型テーマは「拡散しやすさ」と「専門性」が重なるところから選ぶ。看板の記事は5,000字以上、タイトルは32文字以内などの決まりがある
問い合わせへのつなぎ方会社資料、事例集、サービス別の資料のダウンロードと、問い合わせフォーム
公開されている成果講演資料によると、看板のメディアは1記事あたり平均1.8万PV、月平均10万PV(2021年)。資料ダウンロード数は2017年の374件から2020年は768件(同業者や採用目的なども含む)

講演資料では、兼務で質にこだわりすぎると運営が続かなくなるという反省も語られています。
毎日の日報を少し書き足して出す軽い記事と、質を見る看板の記事を分けているのは、そのための工夫です。

まねできること

社員がふだん書いている日報や作業のメモを少し整えて公開する「軽い記事」と、月に1〜2本だけ時間をかけて作る「看板の記事」を分けます。
軽い記事で更新を続け、看板の記事で専門性を見せる形なら、兼務でも止まりにくくなります。

freee「経営ハッカー」(会計ソフトの会社)

freeeは会計・人事労務のソフトを提供する会社で、「経営ハッカー」は会計・経理・人事労務・会社の設立などの記事を載せるメディアです。
社長の個人ブログから始まり、2013年11月の時点ですでに自社ブログとして取材を受けています。

時期運営のしかた(取材記事より)
2015年専任は責任者1人。80人以上の専門家が記事を書き、社内の公認会計士やエンジニアも書く。月間100万PVを超えていると紹介されている(ウィルゲートの取材記事、2015年7月)
2019年社内の担当は編集長1人で、外部のライターが中心。名前のない記事の量産をやめ、「顔が見える人が記事を書く」方針に変えた。ネタは法改正の情報と、カスタマーサポートがつかんだ利用者の困りごとから取る(LISKULの取材記事)

まねできること

お客さまからの問い合わせ対応で毎日聞かれる質問を、そのまま記事のネタ帳にします。
書き手は、社内の資格を持つ人や、付き合いのある税理士などの専門家に頼み、名前を出して書いてもらうと、読む人の信頼につながります。

LISKUL(Web広告の支援会社)

LISKULは、Web広告の支援会社が運営するマーケティングのメディアです。
自社のメディアの中で、問い合わせを増やした経緯を公開しています(最終更新2023年8月)。

  • 中小・ベンチャー企業向けに、60ページの無料のガイドブックを用意し、会社名と電話番号の入力と引き換えにダウンロードできるようにした
  • ダウンロードした人には、決まった順番でメールを送る仕組みを使った
  • 以前は月3件ほどだった問い合わせが「月間200件」、資料は月に500〜800件ダウンロードされるようになったと書かれている(時期の記載はない)

まねできること

記事を読んだ人に渡す「自社の得意分野の手順書」を1冊作ります。
記事だけでは問い合わせまで進まない、まだ比べている段階の読者とも、資料をきっかけにつながれます。

あわせて読みたいBtoBのオウンドメディア|問い合わせにつながる記事の型と導線【中小企業向け】BtoB(会社向けの商売)のオウンドメディアで、問い合わせや商談を増やす方法を解説します。BtoCとの違い、読まれる記事の型と並べ方、資料ダウンロード・事例・比較記事を使った導線の作り方、実在する会社のメディアの形、中小企業の進め方と成果の測り方までまとめました。

採用につなげた事例

採用担当者がノートPCで社員インタビューの原稿を書き、横で社員が原稿の内容を確かめている場面

採用のための記事は、求人票では伝わらない働き方や人柄を伝えるために使われます。
大企業の有名な例に加えて、noteやWantedlyで少人数で続けている会社の例を紹介します。

サイボウズ「サイボウズ式」

サイボウズ式は、サイボウズが2012年に始めたメディアです。
働き方や組織、家族と仕事などをテーマにしており、もともとは採用だけのためのメディアではありません。
Indeedの取材記事(2019年12月)で、人事本部の部長が次のように話しています。

  • 2019年にキャリア採用で入社した約90名へのアンケートで、30名が「サイボウズ式が応募を決めたきっかけ」と答えた
  • 採用に効果が出てきたのは、おそらく2014〜2015年ごろ(始めて2〜3年たったころ)

まねできること

入社した人へのアンケートに「応募を決めたきっかけ」の1問を足すだけで、記事が採用にどれだけ役立ったかを数えられます。
効果が出るまでに2〜3年かかったという話は、始める前に経営者と共有しておきたい点です。

メルカリ「mercan(メルカン)」

mercanは、メルカリが2016年5月に始めた、採用を目的としたメディアです。
広報部ではなく採用チームが立ち上げ、立ち上げのときは「毎日更新。
最悪一人でも回せる」形を目指したと、取材記事(THE BRIDGE、2018年5月)で語られています。

  • 目標は「入社した方のメルカン既読率100%」。PVは共有するが追わない方針
  • メディアの編集長だった人を人事として採用し、運用している(SmartHR Mag.の取材記事、2018年2月)

まねできること

目標をアクセス数ではなく「入社する人が全員読んでいる」に置きます。
読まれる数が少なくても、選考中の人が読んで入社を決めていれば、記事は役目を果たしています。

イシダテック(静岡県の製造機械メーカー)

イシダテックは、静岡県焼津市で食品や医薬品の製造機械を作るメーカーです。
「就職を考えている人に知られていない」という課題から、2021年8月にnoteとX(旧Twitter)を始めました。
本人がnoteに書いた1年の振り返りによると、運営のしかたは次のとおりです。

  • 広報部はなく、総務部の担当者が1人で書いて校正する
  • 「毎週水曜日に必ず1本記事を公開する」と決めて、1年間続けた
  • 約3か月先までネタを決めておき、社内のことを「知らないふり」をして、背景を省かずに書く
  • 採用候補者へのメールや、インターンの募集要項に記事のリンクを入れて使う

1年間で、会社のホームページのユーザー数が19.92%、PVが10.02%増えたと書かれています。
採用については、数字は出していないものの、募集に反応がもらえるようになってきたと振り返っています。

まねできること

更新する曜日を決め、3か月分のネタを先に決めておきます。
書いた記事は、候補者に送るメールや募集要項に貼って、選考の中で読んでもらいます。

MNTSQ(リーガルテック企業)

MNTSQは、契約書の管理などのサービスを提供する会社です。
noteの法人向けサービスの導入事例(2026年3月)で、採用の記事の作り方が紹介されています。

  • 採用担当者が採用代行の会社と組んで、企画から制作・運用までを進める
  • 社員インタビューは、質問項目と構成を共通にしたシリーズにして、読む人が比べやすいようにしている
  • 構成や文字数が決まった記事は、文字起こしから初稿までをAIで作る。評判を損ねる表現がないかの確認にもAIを使う
  • 求人票と記事のURLをセットで、求職者や人材紹介会社に送っている

事例では、2025年に全社で50名、エンジニアで20名を採用したこと、面接の前に記事を読んでくる求職者が増えたことが紹介されています。
採用数は記事だけの成果ではなく、採用の取り組み全体の結果として読むのが自然です。

まねできること

インタビューの質問と構成をそろえ、下書きにAIを使って作る時間を短くします。
記事は公開して終わりにせず、求人票と一緒に送って選考の材料にしてもらいます。

サン・クレア(広島県のホテル運営会社)

サン・クレアは、広島県福山市でホテルを運営する会社で、従業員は130名(2023年9月時点)です。
Wantedlyのストーリー機能を採用の中心にしています。

  • 採用は担当者1人で行っている(Wantedlyの導入事例)
  • 社員が仕事への思いを書く記事は、書き方を指示せず、当番制で義務的に書かせることもしていない。Wantedlyの担当者が書き手を後押ししている(厚生労働省のサイトの事例)
  • インターンに参加した学生の報告書を「学生インターン日記」として公開し、面接の段階で応募者の理解が深まったと紹介されている(同上)
  • Wantedlyの導入事例では、1年少しでWantedly経由8名の採用、うち6名がスカウトから、スカウトの返信率は20%を超えていると紹介されている
  • 厚生労働省のサイトの事例では、以前は一人も採用できない年もあったが、いまは会社が求める志向の若者をエリアを問わず採用できていると紹介されている

まねできること

インターンの報告や、社員が日頃感じていることを、そのまま記事の材料にします。
記事を書く人を割り当てるより、書きたい人に声をかけるほうが続きやすくなります。

あわせて読みたい採用オウンドメディアとは?採用サイトとの違い・記事ネタ・取材の進め方・応募導線採用オウンドメディアの意味と、採用サイト・求人媒体との違いを整理したうえで、社員インタビューの質問項目、1日の流れ、数字で見る会社などの記事ネタ、取材の進め方、応募につなぐ導線、成果の見方までを、すぐ手を動かせる形で解説します。

EC・店舗の事例

小さな店の店主が、焼き上がったパンの写真を撮り、ノートPCで読みものの記事を書いている場面

EC(ネット通販)や店舗、宿の事例では、商品や場所の背景にある話を記事や動画で伝え、読んだ人に買ってもらう、来てもらう流れを作っています。
上場企業の例は決算資料で数字を確かめられるので、まず2社を紹介し、そのあとに地方の小さな会社の例を紹介します。

クラシコム「北欧、暮らしの道具店」

北欧、暮らしの道具店は、2007年に始まった雑貨・衣類のネットショップです。
読みもの、オリジナルのドラマやドキュメンタリー、ポッドキャスト、YouTubeなどのコンテンツを自社で作り、同じサイトとアプリで商品を売っています。
新商品の記事は「〜ができました」、スタッフが実際に使ってみた記事は「着用レビュー」のように、型を決めて出しています。

項目2026年7月期 決算説明資料(2026年9月)の記載
売上連結売上高は103.4億円(前期比21.9%増)。20期連続の増収・増益
コンテンツの位置づけ記事・動画・SNSなどの登録の合計(エンゲージメントアカウント数)を「売上の先行指標」とし、約1,200万規模
買う人累計会員は約90万人、年間購入者は約28万人(前期比14.5%増)
売る場所約8割の売上がアプリ経由
広告広告の運用の内製化を進め、直近の月では内製の割合が95%

中小企業がそのまま同じ規模をまねすることはできませんが、コンテンツへの登録を「売上の手前の数字」として毎月見ている点は参考になります。

まねできること

新商品が出るたびに「できました」「スタッフが使ってみました」の型で記事を書き、記事と商品ページを同じサイトに置きます。
売上だけでなく、メールマガジンやLINEの登録者数を「売上の手前の数字」として毎月記録します。

ほぼ日「ほぼ日刊イトイ新聞」

ほぼ日は、1998年に始まった読みもののサイトから生まれた会社です。
サイトの読みものや連載から生まれた商品を、自社のオンラインストアや店舗で売っています。
代表的な商品の「ほぼ日手帳」について、FASHIONSNAPは、2026年版が発売から5か月(2026年1月末時点)で100万部を突破したと報じています。
同じ記事では、直近5年で海外の販売部数が約2倍、国内でも販売部数が約10%、売上が約30%増えたことが紹介されています。
手帳という1つの商品を、読みものと同じ場所で長く売り続けてきた例です。

まねできること

店主や代表が書く短いコラムを、曜日を決めて休まず続けます。
読者からの反応が多かった話題を、商品づくりや品ぞろえのヒントにします。

わざわざ(長野県のパンと日用品の店)

わざわざは、長野県東御市の山の上で2009年に開業したパンと日用品の店です。
オンラインストアと同じサイトに読みもの「よきマガ」を置き、エッセイ、人物インタビュー、代表のレシピの連載、店の裏側の記録などを載せています。
マネー現代の記事(2023年7月)では、年間3万人以上が訪れ、3億円の売上がある会社になったと紹介されています。

2026年9月の記事「80→9,240。
わざわざのシュトレン、増産の記録」では、2009年に初めて焼いたシュトレンが80本、2025年は7,867本、2026年は9,240本を予定していることを、増産の苦労とあわせて書いています。
記事の下には、シュトレンの商品一覧と予約販売の案内が並んでいます。

まねできること

「80本から9,240本へ」のように、自社の仕事の裏側を数字つきで記録して記事にします。
記事の下に、その記事に出てきた商品と予約の案内を置き、読んだ流れで買えるようにします。

自遊人「里山十帖」(新潟県の温泉宿)

里山十帖は、雑誌「自遊人」を編集していた会社が2014年に新潟県南魚沼市で開いた宿です。
観光庁の事例資料では、従業員49人、客室13室の会社として紹介されています。
宿そのものを「リアルメディア」と位置づけ、衣・食・住・農・芸・遊・環・癒・健・集の10のテーマで地域の魅力を伝えています。

  • 公式サイトには、宿の考え方を伝える物語のページと、季節や温泉、館内のアートなどを伝える日記のような記事があり、同じサイトから宿泊の予約ができる
  • 田植えや稲刈りなどの農作業体験を用意し、泊まる以外の関わり方も作っている
  • 観光庁の資料では、開業当初は雑誌の読者が多かったが、いまはリピーターや、その紹介による新しいお客さまも獲得していると紹介されている

まねできること

店や宿を「何を伝える場所か」をテーマとして言葉にし、そのテーマに沿った季節の短い記事を写真つきで続けます。
予約や来店の入口は、記事と同じサイトに置きます。

ヤッホーブルーイング(長野県のクラフトビール)

ヤッホーブルーイングは、1997年に楽天市場に店を開きましたが、Business Insider Japanの記事(2020年3月)によると、約7年間は「開店休業状態」が続いていました。
立て直しのきっかけになったのが、2004年に始めたメールマガジンです。

  • 中身は、商品とはほぼ関係のない社内の話が中心だった。スタッフのニックネームの発表や、みんなで遊びに行った話などを、飾らない言葉で書いた
  • 少しずつ熱心なファンが増え、父の日のキャンペーンでは月1,000万円の売上を記録した
  • 2007年に楽天市場の「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を初めて受賞し、以後10年連続で受賞した

いまは自社のオンラインストアに読みものを置き、定期便やファンイベントで、続けて買ってくれる人とのつながりを作っています。

まねできること

メールマガジンやLINEでは、商品の宣伝より、社内の小さな出来事や働く人の顔が見える話を書きます。
読んでくれる人が増えてきたら、定期便やイベントなど、続けて関われる仕組みにつなげます。

事例に共通すること

担当者がホワイトボードに各社の事例の共通点を書き出し、線で結んでいる場面

業種も規模も違う事例ですが、続けて成果を公開している会社には、共通するやり方があります。

共通点事例に見られるやり方どの事例か
ネタは日々の仕事から拾うお客さんからの質問、施工の記録、社員の日報、サポートへの問い合わせ、店の裏側を記事の材料にするステンレスジョイント、菊川工業、ベイジ、freee、わざわざ
記事の型を決めている製作事例の項目、インタビューの質問、新商品の記事の見出しを毎回そろえるステンレスジョイント、MNTSQ、北欧、暮らしの道具店
少ない人数で回している社長や担当者1〜2人で書く。社内の専門家や外部の書き手の力も借りるステンレスジョイント、イシダテック、サン・クレア、freee
更新の決まりがある曜日や月の本数を決めて続ける。軽い記事と力を入れる記事を分けるイシダテック、ベイジ、ほぼ日
読んでもらう場面を自分で作るメールマガジン、選考の連絡、営業の場で記事を見せる菊川工業、MNTSQ、イシダテック、ヤッホーブルーイング
売る・申し込む場所が近い記事と同じサイトに、問い合わせフォーム、募集要項、商品、予約の入口を置くステンレスジョイント、わざわざ、里山十帖、北欧、暮らしの道具店
成果の数え方を決めているネット経由の累計受注、入社時のアンケート、資料ダウンロード数、コンテンツの登録者数ステンレスジョイント、サイボウズ、ベイジ、クラシコム

反対に、どの事例にも見られないのは「とりあえず記事を書いた」「流行りの話題をまとめた」というやり方です。
どの会社も、自社にしか書けないことを、決まった型で、続けられる人数で出している点が共通しています。

成果が出るまでの時間

時期が書かれている事例を見ると、成果は始めてすぐには出ていません。
ステンレスジョイントは2015年のサイト開設から最初の数年はネット経由の売上がほとんどなく、サイボウズ式は採用に効果が出てきたのが始めて2〜3年たったころだと語られています。
菊川工業も、問い合わせが10倍以上になったのは5年の取り組みの結果として紹介されています。

事例を読むときは、数字の大きさより、何年続けた結果なのかを見てください。
自社で始めるときに、経営者と「何年で判断するか」を決めておく材料になります。

自社でまねするときの進め方

経営者と担当者が会議室で、事例を参考に自社の最初の記事のテーマを書き出している場面

事例をそのまま自社に当てはめるのではなく、目的に合った事例から「最初の一歩」だけを借りるのが現実的です。

目的参考にしたい事例最初の一歩
技術・専門性で問い合わせを増やしたいステンレスジョイント、ベイジお客さんがよく使う専門用語を20個書き出し、1語1本で解説を書く
施工・制作の実績で選ばれたい菊川工業、ステンレスジョイント過去の実績から10件を選び、同じ項目の型で事例ページを作る
見込み客との接点を増やしたいLISKUL、ベイジ自社の得意分野の手順書を1冊作り、記事の最後で配る
採用の応募を増やしたいイシダテック、MNTSQ、サン・クレア更新の曜日を決め、採りたい職種の社員インタビューを3本作る
入社後のずれを減らしたいサイボウズ式、メルカン入社時のアンケートに「応募のきっかけ」「読んだ記事」を足す
ネットで商品を売りたい北欧、暮らしの道具店、わざわざ新商品や仕込みの裏側を、決まった型で記事にし、記事の下に商品を置く
店や宿に来てもらいたい里山十帖、ヤッホーブルーイング伝えたいテーマを決め、季節の短い記事とメールマガジンを続ける

まねするときの手順

  1. 目的を1つに決める問い合わせ、採用、販売のうち、最初の1年で成果を出したいものを1つ選びます。事例も、その目的のものだけを参考にします。
  2. 事例から「型」を1つ借りる用語の1問1答、施工事例の決まった項目、社員インタビューの共通の質問など、事例の中で使われている記事の型を1つ選び、自社の言葉で作り直します。
  3. 続けられる量を決める事例の多くは、担当者1〜2人で続けています。週1本、月2本など、最初から無理のない量を決め、曜日や担当を固定します。
  4. ネタの出どころを決めるお客さんからの質問、施工の記録、社員の日報など、ネタが自然にたまる場所を1つ決めて、毎月そこから拾います。
  5. 記事を営業・採用の場で使う記事のURLを、見積もりの返信、選考の連絡、メールマガジンに入れて、読んでもらう場面を自分から作ります。
  6. 数え方を決めて振り返る問い合わせフォームや入社時のアンケートに「何を見て知ったか」を聞く欄を作り、四半期ごとに数えます。

最初の3か月の動き方

たとえば、社員20人ほどの部品加工の会社が、ステンレスジョイントと菊川工業の型を借りて始める場合を考えます。
担当は社長と事務の社員の2人で、使える時間は週に3時間ほどです。

時期やること借りている型
1か月目営業と現場から、お客さんによく聞かれる用語・質問を30個集める。過去の製作実績から、公開してよいものを10件選び、取引先に掲載の了承をとる用語の1問1答(ステンレスジョイント)
2か月目用語の解説を週2本ずつ公開する。製作事例は「用途・材質・寸法・特徴」の同じ項目で5件作り、各ページの最後に図面を添付できる問い合わせフォームを置く決まった項目の製作事例(ステンレスジョイント)
3か月目既存の取引先へのメールで新しい事例を知らせる。営業が商談で見せられるよう、加工方法の解説ページを1つ作る。問い合わせフォームに「何を見て知ったか」の欄を足すメールでの呼び込み、営業ツールとしての記事(菊川工業)

3か月で記事は30本ほどになります。
この時点で問い合わせが増えていなくても、事例を見るかぎり普通のことです。
Search Consoleで、どの用語の記事が検索に表示され始めたかを確かめ、次の3か月のテーマを決めます。

当社が運営するメディア「AI・Web実務研究所」でも、調べる、構成を作る、書く、点検する、古くなった情報を直す、という流れを決めて記事を作っています。
事例の会社と同じく、型と流れを先に決めておくと、担当者が少なくても止まりにくくなります。

事例を読むときの注意

担当者がノートPCで事例記事の数字に印をつけ、出どころのページを開いて見比べている場面

インターネット上には「〇〇選」の事例記事がたくさんありますが、数字の出どころや時期が書かれていないものも少なくありません。
事例を参考にするときは、次の点を確かめてください。

確かめること理由
数字の出どころ運営する会社の発表か、取材記事か、支援会社の宣伝か。出どころが書かれていない数字は、参考にとどめる
数字の時期数年前の数字が、いまも同じとは限らない。検索の仕組みやAIの回答の広がりで、状況は変わっている
何の数字かPV(読まれた回数)と、問い合わせ・受注・採用の数は別物。PVが多くても事業の成果とは限らない
ほかの取り組みとの関係広告、展示会、スカウトなど、記事以外の取り組みとあわせた結果であることが多い
会社の規模と知名度大企業のメディアは、もともとの知名度や予算が違う。自社に近い規模の事例のほうが参考にしやすい

事例を自分で探すときの探し方

  • 気になる会社のサイトで、記事・コラム・事例のページがどのくらいの量で、どんな型で書かれているかを見る
  • 上場企業なら、決算説明資料や有価証券報告書で、メディアやコンテンツについての記述を探す
  • noteやWantedly、CMSの会社などの「導入事例」のページを見る(サービスの宣伝を兼ねていることを前提に読む)
  • 業界紙や地域の経済誌、金融機関のレポートで、地元の会社の取り組みを探す
  • 社長や担当者が自分のブログやnoteで、取り組みを振り返っていないか探す
  • 観光庁や厚生労働省など、国の機関がまとめた事例集で、同じ業種・同じ地域の会社を探す

同じ業界の会社がどんな記事を出しているかを見るときは、検索上位に出てくる記事を数本読み、すでに書かれていることと、まだ誰も書いていないことを分けて書き出すと、自社で書くべきテーマが見えてきます。
事例は、まねする対象であると同時に、自社が書くべきことを探す材料にもなります。

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よくある質問

小さな会社でも、オウンドメディアで成果は出ますか?

社員19人の町工場や、採用担当者1人で運用している会社でも、取り組みと成果を公開している例があります。
共通しているのは、自社にしか書けない内容を、続けられる量で出していることです。
規模より、目的と続け方が合っているかのほうが影響します。

事例のように成果が出るまで、どのくらいかかりますか?

事例を見ると、成果がはっきり出るまでに数年かかっている会社が多くあります。
ステンレスジョイントは最初の数年ネット経由の売上がほとんどなく、サイボウズ式は採用への効果が出るまでに2〜3年かかったと語られています。
始める前に、何年で判断するかを決めておくことをおすすめします。

事例の会社は、記事を外注していますか?

事例によって違います。
社長や社員が自分で書いている会社もあれば、外部のライターや採用代行の会社と組んでいる会社もあります。
共通しているのは、テーマ決めや社内への取材、事実の確認は社内の人が担っていることです。

BtoBの会社は、何の記事から始めればいいですか?

事例では、業界の用語や技術の疑問に答える記事と、決まった項目で書く製作・施工事例のページがよく使われています。
お客さんがよく使う専門用語を書き出し、1語ずつ解説する記事から始めると、ネタに困りにくくなります。

小さな店でも、北欧、暮らしの道具店のようなやり方はできますか?

同じ規模や本数は難しくても、型を借りることはできます。
わざわざのように、店の裏側や仕込みの記録を数字つきで書き、記事の下に商品や予約の案内を置くやり方は、少人数の店でも始めやすい方法です。
まずは月に2本、新商品や季節の仕込みの記事から始めてみてください。

事例の数字をそのまま目標にしてもいいですか?

おすすめしません。
業種、会社の規模、始めた時期、ほかの取り組みが違うため、同じ数字になるとは限りません。
事例からは数字ではなく、記事の型や続け方を借り、目標は自社の受注1件の粗利や採用したい人数から決めてください。

AIで検索する人が増えても、事例のようなやり方は通用しますか?

用語の意味のように答えだけで済む記事は、AIの回答で用が済むことが増えています。
一方で、自社の製作事例や現場の経験は、AIの回答の出どころとして示される余地があります。
事例の会社のように、自社にしか書けないことを積み上げるやり方は、AI検索の時代でも土台になります。

まとめ

この記事のまとめ

  • 社員十数人〜数十人の会社でも、オウンドメディアの取り組みと成果を公開している例がある
  • BtoBでは、用語の1問1答や、決まった項目で書く製作・施工事例が、問い合わせの入口になっている
  • 採用では、記事を選考の連絡に添え、入社した人へのアンケートで効果を数えている
  • どの事例も、自社にしか書けないことを、決まった型で、続けられる人数で出している
  • 成果がはっきり出るまでに数年かかっている例が多い。数字の大きさより、何年続けた結果かを見る
  • 事例の数字は出どころと時期を確かめ、まねするのは数字ではなく型と続け方にする

事例から借りるのは、記事の型と続け方の2つだけで十分です。
まずは自社の目的に近い事例を1つ選び、その会社の記事を何本か読むところから始めてみてください。

INTERCREATE JAPANでは、オウンドメディアの設計・記事づくり・運用と、AIの回答に自社の情報が使われるための対策をお手伝いしています。
どの事例の型が自社に合うかの整理からご相談いただけます。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典