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採用オウンドメディアとは?採用サイトとの違い・記事ネタ・取材の進め方・応募導線

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.18

この記事でわかること

  • 採用オウンドメディアと、採用サイト・求人媒体の違い
  • 求職者が読みたいテーマと、企業が書いているテーマのずれ
  • 社員インタビューの質問項目、1日の流れ、数字で見る会社の作り方
  • 取材の進め方と、公開前に本人と決めておくこと
  • 記事から応募につなぐ導線と、成果の数え方
  • 求人情報の表示に関する法律上の注意
目次
  1. 採用オウンドメディアとは
  2. 採用サイト・求人媒体との違い
  3. 求職者が読みたいことと、企業が書いていることのずれ
  4. 始める前に決めること
  5. 採りたい人を1人に絞って書き出す
  6. どこに記事を置くか
  7. 社内の協力を先に取りつける
  8. 法律上の注意(職業安定法)
  9. 記事のネタの具体例
  10. 社員インタビューの質問項目
  11. 1日の流れの作り方
  12. 数字で見る会社の項目
  13. 最初の10本の公開順
  14. インタビュー記事の組み立て方
  15. 取材の進め方
  16. 録音の書き起こしにAIを使うとき
  17. 聞き方で記事が変わる
  18. 公開前に本人と決めておくこと
  19. 応募につなぐ導線
  20. 検索で見つけてもらう工夫
  21. 応募フォームと面接で聞くこと
  22. 続け方と成果の見方
  23. 無理なく続ける本数と体制
  24. 見る数字
  25. 古くなった記事の扱い
  26. 公開されている取り組み例
  27. よくある質問
  28. まとめ

「求人広告を出しても応募が来ない」「応募はあっても、入社してから『思っていた仕事と違った』と辞めてしまう」と悩んでいる採用担当者や経営者の方は多いのではないでしょうか。

求人票に書けるのは、仕事内容・給与・勤務時間などの条件です。
応募する人が本当に知りたい「どんな人と、どんな雰囲気で、どのくらい忙しく働くのか」は、求人票の枠の中ではほとんど伝わりません。
採用オウンドメディアは、その部分を自社の記事で伝えるための仕組みです。

この記事では、採用サイトや求人媒体との違いを整理したうえで、記事のネタの具体例(社員インタビューの質問項目、1日の流れ、数字で見る会社)、取材の進め方、記事から応募につなぐ導線、成果の見方までを、そのまま手を動かせる形でまとめます。

採用オウンドメディアとは

転職を考えている人が、自宅のノートPCで企業の社員インタビュー記事を読んでいる場面

採用オウンドメディアは、自社で運営する、採用のための記事や情報発信の場です。
社員インタビュー、仕事の1日の流れ、職場の数字、社長の考え方などを記事にして、応募を考えている人に会社の中の様子を伝えます。
自社サイトの中に置く場合もあれば、noteやWantedlyのストーリー機能を使う場合もあります。

採用サイト・求人媒体との違い

採用に使うWebの場所は、求人媒体、採用サイト、採用オウンドメディアの3つに分けて考えると整理しやすくなります。

求人媒体採用サイト採用オウンドメディア
役割多くの求職者に見つけてもらう募集要項と会社の基本情報を確かめてもらう働く様子や考え方を知って、自分に合うか判断してもらう
載せる内容決まった項目の求人票募集職種、条件、会社概要、選考の流れ社員インタビュー、1日の流れ、数字、仕事の失敗談など
読む人いま仕事を探している人応募を考えている人応募を考えている人と、まだ転職を決めていない人
費用のかかり方掲載している間作るときと、更新作るときと、記事を作り続ける手間
止めたらどうなるか表示が止まる残る記事は残り、読まれ続ける

3つは置き換えるものではなく、つなげて使います。
求人媒体で見つけてもらい、採用サイトで条件を確かめてもらい、採用オウンドメディアの記事で「この会社で働く自分」を想像してもらう、という流れです。
求人票から記事へリンクを張れる媒体なら、記事を読んでから応募する人が増え、面接の段階で話が早くなります。

求職者が読みたいことと、企業が書いていることのずれ

ウォンテッドリーが2025年4月にWantedlyの利用者を対象に行った調査(個人552名・採用担当者95名)では、求職者が企業の記事で読みたいテーマとして、次の項目が上位に挙がっています。

順位読みたいテーマ割合
1具体的な働き方のスタイル、忙しさなど62%
2会社のミッション、ビジョン54%
3代表的な働き方の社員のインタビュー48%
4社員のキャラクター、価値観44%
5X年後に目指す未来41%
6社員のやりがいインタビュー34%
10会社のレクリエーションや懇親会などの取り組み16%

同じ調査では、いちばん読まれたい「働き方のスタイル、忙しさ」を発信している企業は42%にとどまっていました。
企業は「やりがい」や「社内イベント」を書きがちですが、応募する人がまず知りたいのは、毎日どのくらい忙しく、どんな働き方をしているかです。
この調査では、Wantedlyで転職した人の91%が転職のときに企業の記事を参考にし、40%が「決め手になった」と答えています。

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始める前に決めること

採用担当者と現場の責任者が、ホワイトボードに採りたい人の経歴や今の悩みを書き出して話し合っている場面

記事を書き始める前に、誰に読んでほしいのか、どこに置くのか、何を約束しないのかを決めておきます。
ここが決まっていないと、誰にでも当てはまる記事が増え、読まれても応募につながりません。

採りたい人を1人に絞って書き出す

「若くて元気な人」のような言い方ではなく、実在しそうな1人の姿として書き出します。
次の項目を、現場の責任者と一緒に埋めてください。

項目書き出す内容の例
職種と経験法人営業の経験3年ほど。業界は問わない
いまの職場での迷いノルマが厳しく、1社と長く付き合う営業がしたい
転職で重視すること残業の少なさより、仕事の裁量と評価のわかりやすさ
不安に思っていること業界未経験で、専門知識についていけるか
情報を探す場所転職サイト、企業名での検索、社員のSNS
合わない人短期間で成果を出して、すぐに次へ移りたい人

最後の「合わない人」まで書いておくのが大切です。
採用オウンドメディアの役割は、応募の数を増やすことだけではなく、合わない人に応募前に気づいてもらうことでもあります。
入社後の「思っていたのと違う」を減らせれば、採り直しの費用と手間が減ります。

どこに記事を置くか

置き場所よいところ気をつけること
自社サイトの中募集要項へ案内しやすい。記事が自社の資産として残る。会社名で検索した人に見つけてもらいやすいサイトに記事を追加できる仕組み(CMS)が必要。最初は読者が少ない
noteすぐに始められる。ウォンテッドリーの調査記事では、1000万人を超える利用者がいて、広く届けやすいとされている読者に直接スカウトは送れない。募集ページへのリンクは張れる
Wantedly(ストーリー)記事を読んだ人に直接スカウトを送れる。転職を考えている人が多いWantedlyの利用料がかかる。サービスの決まりの中で書く

中小企業なら、まず自社サイトかWantedlyのどちらかに絞るのがおすすめです。
応募をすぐ増やしたいなら、求職者が集まっている場所に置き、記事を自社の資産として積みたいなら自社サイトに置きます。
ウォンテッドリーの調査記事では、noteで幅広く発信し、採用の記事はWantedlyに載せる組み合わせ方も紹介されています。

社内の協力を先に取りつける

採用オウンドメディアは、現場の社員に取材を受けてもらわないと続きません。
始める前に、次の3つを社内で決めておくと、取材を頼むたびに気をつかわずに済みます。

  • 経営者から全社に「採用のために記事を作る。取材に協力してほしい」と一言伝えてもらう
  • 取材は業務時間の中で行い、1回1時間までと決める
  • 公開した記事を社内にも知らせ、協力してくれた社員と上司にお礼を伝える

現場の責任者には、採りたい人の書き出しに参加してもらうのが近道です。
自分の部署の採用に関わる記事だと分かれば、取材する社員を選ぶときにも協力が得やすくなります。

法律上の注意(職業安定法)

2022年10月に施行された改正職業安定法で、求人企業にも、求人情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、正確・最新の内容に保つことが求められています。
厚生労働省のリーフレットでは、募集を終えたり内容を変えたりしたら速やかに情報を直すこと、いつの時点の求人情報かを明らかにすることが挙げられています。

記事の中の数字と条件も見直しの対象に

社員インタビューの中で「残業は月10時間くらい」「年収は〇〇万円になった」と書くと、読む人は求人の条件として受け取ります。
記事に条件や数字を書くときは、募集要項と食い違わないか、いつ時点の数字かを確かめてください。
募集要項を変えたら、関係する記事も一緒に見直します。

記事のネタの具体例

採用担当者が机に記事のネタを書いたカードを並べ、公開する順番を考えている場面

採用オウンドメディアの記事は、型を決めておくと続けやすくなります。
最初の10本は、次の型から選ぶと、応募する人が知りたいことをひととおり押さえられます。

記事の型答えている疑問タイトルの例
社員インタビューどんな人が働いているか前職は飲食店の店長。入社2年目の設計担当に、転職の理由を聞きました
1日の流れ毎日どのくらい忙しいか現場監督の1日。朝7時半の朝礼から、事務所に戻るまで
数字で見る会社働く環境は実際どうか平均年齢・残業時間・有給の取得日数を数字で紹介します
仕事の失敗談入社してからつまずくのはどこか入社3か月で見積もりを間違えたとき、先輩がしてくれたこと
入社後の流れ未経験でもついていけるか入社後3か月の研修の中身と、ひとり立ちまでの流れ
社長・責任者の考え会社はどこへ向かうのか社長に聞く、これからの5年でやめること・続けること
選考の流れ・よくある質問応募したら何が起きるか面接は何回?服装は?応募前によく聞かれる質問にまとめて答えます

ウォンテッドリーの調査で読みたいテーマの上位にあった「働き方・忙しさ」に答えるのは、1日の流れと数字で見る会社の記事です。
社員インタビューも、やりがいだけでなく、忙しい時期や大変な場面を必ず聞いて書きます。

社員インタビューの質問項目

インタビューは、次の質問から10〜15個を選んで聞くと、1時間ほどで1本の記事になる材料がそろいます。
「やりがいは何ですか」のような大きな質問より、具体的な場面を思い出してもらう質問のほうが、本人らしい話が出てきます。

聞く順番質問の例
入社前前の仕事では何をしていましたか/転職しようと思ったきっかけの出来事は何ですか/ほかにどんな会社を受けていましたか/最後にこの会社に決めた理由は何ですか
入社直後入社して最初の1か月で驚いたことは何ですか/入社前に聞いていた話と違ったことはありますか/最初につまずいたのはどんな場面でしたか
いまの仕事先週の月曜日は何をしていましたか/1日のうち、いちばん時間を使っている作業は何ですか/最近いちばん手応えがあった仕事を教えてください
忙しさ・働き方いちばん忙しい時期はいつで、そのときは何時ごろ帰りますか/休みはどのくらい取れていますか/困ったときは誰に相談していますか
大変なことこの仕事で、正直きついと思うのはどんなときですか/それをどうやって乗り切っていますか
これから3年後にどんな仕事をしていたいですか/この会社に向いている人、向いていない人はどんな人だと思いますか

特に「入社前に聞いていた話と違ったこと」「向いていない人」の2つは、応募する人がいちばん知りたい本音につながります。
本人が答えにくそうなら、無理に記事に載せる必要はありませんが、質問はしておくと話が深まります。

1日の流れの作り方

1日の流れの記事は、本人に実際のある1日を時間ごとに思い出してもらうのがコツです。
理想の1日ではなく、先週のある日を選んでもらうと、読む人が想像しやすい記事になります。

時間やっていること(施工管理の例)書き添えること
7:30現場で朝礼。職人さんと当日の作業を確認現場には直行することが多い
9:00工事の進み具合を写真で記録し、タブレットで報告使っている道具・アプリ
12:00昼休み。職人さんと一緒に食べることも休憩の取り方
13:00お施主さんと打ち合わせ。追加の工事の相談を受ける判断に困ったときの相談先
16:00事務所に戻り、翌日の段取りと発注事務作業にかかる時間
18:00退社忙しい時期は何時ごろになるか

最後の「忙しい時期は何時ごろになるか」を必ず書き添えます。
いつも定時に帰れるように見える書き方をすると、入社後のずれの原因になります。

数字で見る会社の項目

数字の記事は、1つずつの数字に「なぜそうなっているか」の一言を添えると、ただの一覧ではなく会社の説明になります。
載せる数字の候補は次のとおりです。

  • 社員数、男女の比率、平均年齢、年齢の分布
  • 平均勤続年数、中途入社の割合、前職の業界
  • 月の平均残業時間、有給休暇の平均取得日数
  • 育児休業の取得者数、子育て中の社員の数
  • 職種ごとの人数、拠点ごとの人数
  • 研修の時間、資格の取得者数、会社が負担した資格の費用

数字は、給与計算や勤怠の記録から出し、いつ時点の数字かを記事に書きます。
毎年同じ時期に更新すると決めておけば、古い数字が残り続けるのを防げます。

最初の10本の公開順

型がそろっても、どれから出すかで迷う場合は、次の順番がおすすめです。
応募を考えている人が「まず確かめたいこと」から順に並べています。

順番記事先に出す理由
1選考の流れ・よくある質問応募の手前で迷っている人の不安を、すぐに減らせる
2数字で見る会社働き方・忙しさの疑問にまとめて答えられ、ほかの記事からもリンクしやすい
3〜5いちばん採りたい職種の社員インタビュー3本年次や経歴の違う3人を並べると、入社後の姿を想像しやすい
6同じ職種の1日の流れインタビューで語られた仕事を、時間の流れで具体的に見せられる
7入社後の流れ・研修未経験の人や、業界を変える人の不安に答える
8社長・責任者の考え会社の方向に共感できるかを判断してもらう
9〜10仕事の失敗談、ほかの職種のインタビュー記事の幅を広げ、会社全体の様子を伝える

1と2は、社員に取材しなくても人事の担当者だけで作れます。
取材の日程を調整している間に先に公開しておくと、最初の1か月で形ができます。

インタビュー記事の組み立て方

インタビュー記事は、毎回同じ組み立てにしておくと、書く人が変わっても質がそろい、読む人も比べやすくなります。

  1. 冒頭の紹介どんな経歴の人が、いま何の仕事をしているかを2〜3文で書きます。読む人が自分と比べられるよう、入社年と前職の業界は必ず入れます。
  2. 転職のきっかけと決め手前の職場で何に迷っていたか、ほかにどんな会社を見ていたか、最後に何が決め手になったかを書きます。
  3. いまの仕事先週のある日の仕事を例に、何をしているかを具体的に書きます。
  4. 大変なことと乗り切り方きつい場面と、それをどう乗り切っているか、誰が助けてくれるかを書きます。
  5. これからと、向いている人本人が考える、この仕事に向いている人・向いていない人で締めます。
  6. 次に読む記事と募集要項同じ職種の1日の流れの記事と、募集要項へのリンクを置きます。

取材の進め方

小さな会議室で、採用担当者がICレコーダーを置いて社員に話を聞き、メモを取っている場面

社員インタビューは、準備と公開前の確認で記事の質が決まります。
次の流れで進めると、本人の負担を少なくしながら、読み応えのある記事になります。

  1. 話を聞く人を選ぶ採りたい人に経歴が近い社員を選びます。中途で採りたいなら中途入社の人、未経験者を採りたいなら未経験で入った人です。話がうまい人より、入社して1〜3年の人のほうが、応募する人に近い目線で話せます。
  2. 目的と質問を先に送る取材の3日ほど前に、記事の目的、質問の一覧、公開する場所、写真を撮るかどうかを本人に伝えます。答えを準備してもらう必要はありませんが、何を聞かれるか分かっていると話しやすくなります。
  3. 上司のいない場で1時間聞く上司が同席すると、本音の話が出にくくなります。録音の許可をとり、質問の一覧にこだわらず、面白い話が出たら深掘りします。
  4. 原稿にする話した順ではなく、読む人が知りたい順に並べ替えます。言い回しは本人の言葉を残し、社内の言葉や略語は分かる言葉に直します。
  5. 本人に確認してもらう原稿を本人に読んでもらい、事実の間違いと、載せたくない話がないかを確かめます。条件や数字が出てくる場合は、人事の担当者も確かめます。
  6. 公開して、本人にも知らせる公開したら本人と部署に知らせます。社内で読まれると、次に取材を頼むときに協力を得やすくなります。

録音の書き起こしにAIを使うとき

取材の録音を書き起こしたり、下書きを作ったりするのにAIを使うと、原稿づくりの時間を大きく減らせます。
ただし、録音には社員の個人的な話や、社外に出せない仕事の話も入っています。
使う前に、次のことを確かめておきます。

  • 会社として、そのAIサービスを業務で使ってよいと決めているか
  • 入力した内容がAIの学習に使われない設定やプランになっているか
  • 録音をAIに入れることを、取材の前に本人へ伝えているか

AIが作った下書きは、本人の言い回しが整えられすぎて、誰が話しても同じような文章になりがちです。
印象に残った言葉は録音から拾い直し、本人の言葉のまま残します。

聞き方で記事が変わる

答えが浅くなる聞き方具体的な話が出る聞き方
仕事のやりがいは何ですか最近、仕事で「やってよかった」と思ったのはどんな場面でしたか
職場の雰囲気はどうですか困ったとき、最初に誰に声をかけますか。そのとき、どんな返事が返ってきましたか
成長できる環境ですか入社したときにはできなくて、いまはできるようになったことは何ですか
休みは取れますかこの半年で、有給を使って何をしましたか

公開前に本人と決めておくこと

社員インタビューは、社員の名前や顔、経歴を社外に出す記事です。
あとで困らないよう、公開の前に次のことを本人と決めて、記録に残しておきます。

  • 名前をフルネームで出すか、名字だけか、イニシャルか
  • 顔写真を載せるか、後ろ姿や手元の写真にするか
  • 前職の会社名を出すか、業界だけにするか
  • 本人が退職したとき、記事を消すか、名前を外して残すか

写真は「仕事中の場面」を1枚入れる

正面からの笑顔の写真だけでなく、図面を見ている、お客さんと話している、道具を使っているなど、仕事中の場面を1枚入れると、読む人が働く姿を想像しやすくなります。
顔を出したくない人でも、手元や後ろ姿の写真なら協力してもらいやすくなります。

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応募につなぐ導線

求職者がスマートフォンで記事を読み終え、記事の下にある募集職種の案内を開こうとしている場面

記事を読んで「この会社いいな」と思った人が、その場で次の一歩を踏み出せるようにしておかないと、記事は読まれて終わります。
記事と応募の間に、次のような案内を置きます。

置く場所案内の中身ねらい
記事の最後その社員と同じ職種の募集要項へのリンク読んだ直後に、条件を確かめてもらう
記事の最後カジュアル面談(選考の前に話を聞ける場)の申し込みまだ応募まで決めていない人を取りこぼさない
記事の途中関連する記事(同じ職種の1日の流れ、数字の記事)何本か読んで、判断の材料をそろえてもらう
求人票・採用サイト職種ごとの社員インタビューへのリンク条件を見に来た人に、働く様子も見てもらう
選考の連絡面接の案内メールに、読んでおいてほしい記事を2〜3本面接で同じ説明をくり返さずに済み、話が深まる

中小企業では、カジュアル面談の案内が特に効きます。
転職を決めていない人にとって、いきなり応募するのは心理的な負担が大きいためです。
「話を聞くだけでも大丈夫です」「履歴書はいりません」と書き添えると、申し込みの心理的なハードルが下がります。

検索で見つけてもらう工夫

応募を考えている人の多くは、求人を見たあとに会社名で検索します。
会社名に「評判」「年収」「残業」などを付けて調べる人もいます。
そのときに、自社の記事が答えを出していれば、口コミサイトの情報だけで判断されずに済みます。

  • 「数字で見る会社」や「よくある質問」の記事のタイトルに、会社名と、残業・休み・給与などの言葉を入れる
  • 募集要項のページに、Googleの求人検索に表示されるための構造化データ(JobPosting)を入れる。Googleの案内では日本も対象で、募集を終えたら構造化データを外すかページを削除する必要がある
  • 職種名で検索する人向けに、「〇〇(職種)の仕事内容」「未経験から〇〇になるまで」のような記事も用意する

会社名での検索やAIへの質問で、自社の記事が答えとして使われる状態を作っておくことは、採用でも問い合わせでも同じように役立ちます。

応募フォームと面接で聞くこと

記事がどれだけ応募につながったかは、アクセス解析だけでは分かりにくいので、応募する人に直接聞きます。

  • 応募フォームに「応募の前に読んだ記事があれば教えてください」という任意の欄を作る
  • 面接の最初に「当社のことは、どこで知りましたか」「読んだ記事はありますか」と聞いて記録する
  • 内定を承諾した人に、決め手になった情報を聞く

面接で記事の話が出てくるようになったら、記事が判断の材料として使われている証拠です。
どの記事の名前がよく出るかを記録しておくと、次に作る記事を決めるときの手がかりになります。

続け方と成果の見方

採用担当者が月に一度の振り返りで、応募数と面接で話題に出た記事の記録を見比べている場面

採用オウンドメディアは、何本か記事がそろってから効き始めます。
ウォンテッドリーの同じ調査では、Wantedlyのストーリーの累計投稿数が11本を超えると約半数、21本以上では回答した企業のすべてが「カルチャーフィット人材との出会いを実感」と答えています。
Wantedlyを使う採用担当者95名への調査なので、どの会社にも同じ結果が出るとは限りませんが、数本で止めずに、20本ほどまでは続けることが一つの目安になります。

無理なく続ける本数と体制

中小企業の場合、月に1〜2本を続けられれば、1年で12〜24本になります。
担当者が1人で全部を抱えると止まりやすいので、役割を分けておきます。

役割担当やること
企画・進行採用担当者記事の予定を決め、取材の日程を調整する
話す人現場の社員月に1回、1時間の取材を受ける
書く人採用担当者、または外部のライター録音から原稿を作る
確認本人、現場の責任者、人事事実・条件・公開してよい範囲を確かめる
判断経営者四半期に一度、応募の数と質を見て方針を決める

書く作業は、録音の書き起こしや下書きにAIを使うと短くできます。
ただし、本人の言葉を残すこと、事実を本人と確かめることは人が行います。

見る数字

見る数字どう数えるか分かること
記事を読んだ人の応募数応募フォームの任意欄、面接での聞き取り記事が応募のきっかけになっているか
面接で記事の話が出た割合面接の記録記事が判断の材料として使われているか
選考の途中の辞退選考の記録応募前に会社のことを理解してもらえているか
内定の承諾率選考の記録入社を決める後押しになっているか
入社1年以内の退職人事の記録入社前の期待と実際のずれが減っているか

アクセス数は、記事が読まれているかを確かめる程度に見れば十分です。
採用オウンドメディアの成果は、応募の数よりも、選考の途中の辞退と、入社後の早い退職が減ったかに表れやすいからです。

古くなった記事の扱い

  • インタビューした社員が異動したら、記事の最後に「取材時点の部署です」と取材日を書き添える
  • 退職した社員の記事は、公開前に決めた扱い(削除、名前を外す)に従う
  • 数字の記事は年に1回、同じ時期に更新する
  • 募集要項を変えたら、関係するインタビューの中の条件の記述も見直す

公開されている取り組み例

採用担当者がノートPCで他社の採用記事を読み比べ、まねしたい点をノートに書き出している場面

採用に記事を使っている会社のうち、運営のしかたや成果を公開している例を紹介します。
数字は、それぞれの出どころに書かれているものだけを載せています。

会社(媒体)規模・置き場所公開されているやり方・成果まねできること
サイボウズ(サイボウズ式)大企業・自社メディア(2012年〜)2019年にキャリア採用で入社した約90名へのアンケートで、30名が「サイボウズ式が応募を決めたきっかけ」と回答(Indeedの取材記事、2019年)入社時のアンケートに「応募のきっかけ」の1問を足して、記事の効果を数える
メルカリ(mercan)大企業・自社サイト(2016年〜)目標を「入社した人のメルカン既読率100%」に置き、PVは追わない方針と取材で説明(THE BRIDGE、2018年)アクセス数ではなく「入社する人が読んでいるか」を目標にする
イシダテック(公式note)静岡県の製造機械メーカー・note(2021年〜)広報部はなく、総務部の担当者1人が「毎週水曜日に必ず1本」を決めて1年続けた。約3か月先までネタを決めておく(本人の振り返り記事、2022年)更新の曜日を決め、3か月分のネタ帳を先に作る。記事は候補者へのメールや募集要項に貼って使う
MNTSQ(note)リーガルテック企業・noteメンバーインタビューの質問と構成を共通にして比べやすくし、決まった形の記事は文字起こしから初稿までAIで作成。求人票と記事のURLをセットで求職者や紹介会社に送っている(note pro導入事例、2026年3月)インタビューの質問をそろえ、下書きにAIを使う。選考の連絡に記事を添える
サン・クレア(Wantedly)広島県福山市のホテル運営会社・Wantedly採用担当1人で運用し、インターンに参加した学生の報告書や社員の思いを記事として公開。1年少しでWantedly経由8名の採用、うち6名がスカウトから(Wantedlyの導入事例、厚生労働省のサイトの事例)インターンの報告や社員の日頃の思いを、そのまま記事の材料にする

5つの例に共通しているのは、記事を「公開して終わり」にせず、選考の連絡や面接の前に読んでもらう使い方をしていることです。
また、サイボウズの例では、効果が出てきたのは始めて2〜3年たったころと、取材で語られています。
数本で効果を判断せず、続ける前提で体制を作ることが大切です。

noteやWantedlyの導入事例は、各サービスが自社のサービス紹介として公開しているものです。
成果の数字は、記事だけでなく、スカウトや紹介会社の利用などを含めた採用全体の結果として読んでください。
業種や目的ごとの事例は、事例の記事でまとめています。

あわせて読みたいオウンドメディアの成功事例15選|BtoB・採用・EC別に中小企業がまねできることオウンドメディアの成功事例を、BtoBの問い合わせ・採用・EC/店舗の目的別に紹介します。町工場や地方の中小企業を中心に、各社の公式サイトや取材記事で確かめた取り組みと公開されている数字を出どころつきで載せ、自社でまねできることを具体的に抜き出しました。

よくある質問

社員が少ない会社でも、採用オウンドメディアは作れますか?

作れます。
社員が10人ほどでも、全員に1回ずつ話を聞けば10本の記事になります。
社員が少ない会社ほど、一人ひとりの顔と仕事が見えることが応募する人の安心につながります。
社長の考えや、1日の流れの記事も組み合わせてください。

採用サイトがないのですが、先に作るべきですか?

募集要項と会社の基本情報がまとまったページは、先に用意しておくのがおすすめです。
記事を読んだ人が条件を確かめる場所がないと、応募の手前で離れてしまいます。
立派な採用サイトでなくても、自社サイトの中の1ページで足ります。

ネガティブなことを書くと、応募が減りませんか?

応募の数は減ることがあります。
ただ、忙しい時期や大変な場面を知ったうえで応募した人は、入社後のずれが小さくなります。
大変なことだけを書くのではなく、それをどう乗り切っているか、会社がどう支えているかをあわせて書くのがポイントです。

記事は外注してもいいですか?

取材と原稿づくりは外注できます。
ただし、誰に話を聞くか、どこまで公開するか、条件の記述が正しいかの判断は社内で行います。
外注する場合も、最初の2〜3本は採用担当者が取材に同席し、聞きたいことのすり合わせをしておくと、記事の方向がずれにくくなります。

取材を嫌がる社員がいます。
どうすればいいですか?

無理に頼む必要はありません。
名前を出さない、顔写真を使わない、文章ではなく一問一答にするなど、本人が受けやすい形を選べるようにします。
社内で公開された記事を見て、あとから「自分も話してみたい」という人が出てくることもあります。

文章の記事と動画は、どちらから始めればいいですか?

まずは文章の記事から始めるのがおすすめです。
文章は検索で見つけてもらいやすく、あとから直すのも簡単です。
動画は、職場の雰囲気や1日の流れのように、文章では伝えにくい内容と相性がよいので、記事がそろってから、いちばん読まれている記事の内容を動画にする順番が無理なく進められます。

求人媒体の掲載はやめてもいいですか?

すぐにやめるのはおすすめしません。
記事が読まれるようになるまでには時間がかかり、その間は求人媒体で見つけてもらう必要があります。
記事がそろい、記事経由の応募が増えてきた段階で、媒体の掲載の量を見直すのが現実的です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 採用オウンドメディアは、求人票では伝わらない働き方・人・考え方を、自社の記事で伝える仕組み
  • 求職者がいちばん読みたいのは「働き方のスタイル、忙しさ」。やりがいや社内行事より先に、1日の流れと数字の記事を作る
  • 社員インタビューは、具体的な場面を思い出してもらう質問で、入社前・入社直後・いまの仕事・大変なこと・これからの順に聞く
  • 公開前に、名前・顔写真・前職・退職時の扱いを本人と決めておく
  • 記事の最後に募集要項とカジュアル面談の案内を置き、求人票や面接の案内からも記事へつなぐ
  • 成果は応募数だけでなく、選考の辞退・内定承諾・入社後の早い退職で見る。記事の中の条件や数字は正確・最新に保つ

採用オウンドメディアは、立派なサイトから始める必要はありません。
まずは採りたい人に近い社員1人に1時間話を聞き、1本目の記事を作るところから始めてみてください。

INTERCREATE JAPANでは、採用向けを含むオウンドメディアの設計・取材記事づくり・運用と、会社名や仕事の内容で検索した人やAIの回答に自社の情報が正しく出るための対策をお手伝いしています。
社内でどこまで担い、どこを任せるかの整理からご相談いただけます。

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INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

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