補助金

デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も使える?対象条件・必要書類・申請の流れ

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.15

この記事でわかること

  • 個人事業主が対象になる根拠と、法人との違い
  • 従業員数の基準と、小規模事業者の扱い
  • 枠ごとの補助率・補助額と、個人事業主向けの計算例
  • 個人事業主の申請に必要な4種類の書類と、つまずきやすい点
  • GビズIDプライム・SECURITY ACTIONの取得と、締切から逆算した準備
  • 申請から入金までの流れ、支払い方法、申請後の義務
目次
  1. 個人事業主は対象になるか
  2. 公募要領に「個人事業主」と書かれている
  3. 法人と同じこと
  4. 個人事業主だけ違うこと
  5. 申請できるのは1個人事業主につき1回(通常枠)
  6. この記事で使う言葉
  7. 使う前に考えておきたいこと
  8. 対象になる条件
  9. 従業員数の基準
  10. 小規模事業者の基準
  11. 申請の前提になる要件
  12. 最低賃金の要件
  13. 申請できない事業者
  14. 迷いやすいケース
  15. 補助率・補助額
  16. 通常枠
  17. インボイス枠(インボイス対応類型)
  18. セキュリティ対策推進枠
  19. 補助金額の計算例
  20. 枠ごとの要件の違い
  21. どの枠を使うか
  22. 対象になるツール・経費
  23. 登録されたITツールだけが対象
  24. 商談で確認したいこと
  25. 通常枠で対象になる業務の例
  26. パソコンやレジは対象になるか
  27. 対象にならない経費
  28. 生成AIの月額料金・ホームページ制作
  29. 必要書類
  30. 提出する4種類の書類
  31. 確定申告書の注意点
  32. 納税証明書の注意点
  33. 追加で必要になる書類
  34. 提出前のチェックリスト
  35. 申請前の準備
  36. GビズIDプライムを取得する
  37. SECURITY ACTIONを宣言する
  38. 携帯電話番号・IT導入支援事業者
  39. 加点になる取り組み
  40. 締切から逆算する
  41. 申請から入金まで・申請後の義務
  42. 申請から入金までの流れ
  43. 審査・結果の通知
  44. 支払い方法の決まり
  45. 実績報告で必要な書類
  46. 補助金は後払い
  47. 申請後の義務
  48. 労働生産性の計算の考え方
  49. 不正と見なされる行為
  50. 調査・事例公開への協力
  51. 提供した情報の取り扱い
  52. 税務・会計は専門家に確認する
  53. よくある質問
  54. まとめ

「個人事業主でも、デジタル化・AI導入補助金は使えるのでしょうか」「従業員がいない一人の事業でも申請できますか」「法人と違う書類や手続きはありますか」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、個人事業主は対象です。事務局の公募要領では、対象になる事業者の定義に「会社及び個人事業主」と書かれており、申請に必要な書類も、法人は3種類、個人事業主は4種類と分けて示されています。補助率や補助額の上限は法人と同じで、個人事業主だからという理由で下がる記載は公募要領にありません。

ただし、書類、GビズIDの取得方法、支払い方法など、個人事業主ならではの確認点がいくつかあります。確定申告書の控えや納税証明書がそろわないと、申請の段階で止まってしまいます。この記事では、公募要領の記載をもとに、対象になる条件、補助率と補助額、必要書類、申請前の準備、入金までの流れを、個人事業主の立場で順に解説します。

内容は2026年10月時点で、事務局サイトと各枠の公募要領(第7回公募からの改訂版)を確認したものです。制度は公募回ごとに変わることがあるため、申請の前には必ず最新の公募要領をご覧ください。制度全体の説明は、あわせて読みたい記事の「デジタル化・AI導入補助金とは」にまとめています。この記事では、個人事業主がつまずきやすい点に絞ります。

個人事業主は対象になるか

自宅兼事務所の机でノートPCを開き、補助金の公募要領を読みながらメモを取る個人事業主

最初に、個人事業主が対象になる根拠と、法人と同じ点・違う点を整理します。

公募要領に「個人事業主」と書かれている

通常枠の公募要領には、対象になる中小企業・小規模事業者等の定義が業種ごとの表になっています。表の各行は「常時使用する従業員の数が○人以下の会社及び個人事業主」という書き方で、個人事業主が明確に含まれています。事務局サイトの「申請の対象となる方」のページでも、中小企業の基準の表に「個人事業を含む」と明記されています。

インボイス枠とセキュリティ対策推進枠の公募要領も、同じ定義を使っています。つまり、どの枠でも、条件を満たす個人事業主は申請できます。

法人と同じこと

個人事業主でも、制度のしくみは法人と変わりません。次の点は、個人事業主にもそのまま当てはまります。

  • 対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけ
  • IT導入支援事業者(ITツールを提供し、申請を手伝う会社)と共同で申請する
  • 交付決定の前に契約・発注したツールは対象外
  • 補助金は後払いで、いったん全額を自分で支払う
  • 補助率と補助額の上限は、法人と同じ
  • 採択後に、数年間の効果報告がある

これらの詳しい内容は「デジタル化・AI導入補助金とは」で解説しています。

個人事業主だけ違うこと

違いが出るのは、おもに「本人であることや事業の実態を確認する書類」と「支払い方法」です。公募要領の記載を、法人と並べて整理しました。

項目法人個人事業主
対象かどうかの基準資本金または従業員数のどちらかが基準以下従業員数(常時使用する従業員の数)
実在・本人の確認履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)運転免許証(有効期限内)、運転経歴証明書、または住民票(発行から3か月以内)
事業実態の確認法人税の納税証明書(その1またはその2)所得税の納税証明書(その1またはその2)と、税務署が受領した確定申告書の控え
財務状況の確認直近の貸借対照表と損益計算書青色申告決算書または収支内訳書
GビズIDプライムの取得法務局発行の印鑑証明書と代表者印マイナンバーカードによるオンライン申請、または印鑑登録証明書と実印による書類申請
クレジットカードで支払う場合法人名義の口座から決済されるカード個人事業主本人名義のカード
小規模事業者の従業員数会社役員は数えない個人事業主本人は数えない
事務局に問い合わせるとき法人名と法人番号を伝える屋号を伝える

個人事業主には資本金の基準がないため、実際には従業員数で判断することになります。詳しくは次の章で説明します。

申請できるのは1個人事業主につき1回(通常枠)

通常枠は、1つの法人・1人の個人事業主あたり、申請できるのは1回だけです。同じ期間に複数の申請を同時に出すこともできません。一度提出した申請は、結果が公表されるまで取り下げられないため、提出前に内容をよく確かめる必要があります。

不採択になった場合は、次回以降の締切で再び申請できます。また、通常枠と同時に、インボイス枠やセキュリティ対策推進枠へ申請することは認められています。ただし、同じ費用を二重に計上すると、交付決定の取り消しや補助金の全額返還になることがあるため、IT導入支援事業者とよく相談してください。

この記事で使う言葉

補助金の手続きには、聞き慣れない言葉が多く出てきます。この記事で使う言葉を、公募要領の定義にそって整理しました。

言葉意味
補助事業者補助金の交付を受ける申請者のこと。個人事業主の場合は、個人事業主本人
IT導入支援事業者ITツールを提供し、申請の共同作成や導入後のサポートを行う会社。事務局に登録申請をして、審査で採択された者
ITツールIT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称
事務局補助金の受付・審査・交付を行う窓口。TOPPAN株式会社が運営している
申請マイページ申請者が申請や各種の手続きを行うポータルサイト。事務局からの通知もここで受け取る
交付申請補助金を受けるための申請。事務局への提出は申請マイページから行う
交付決定事務局が補助の対象と決めること。ITツールの契約・発注は、この通知のあとに行う
実績報告ITツールの導入と支払いが済んだあとに、契約や支払いの証拠を添えて報告すること
効果報告導入後に、ツールの活用状況や生産性の数値などを報告すること
労働生産性(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 年間の事業者当たり総労働時間。通常枠の事業計画で使う指標
プロセスソフトが効率化する業務の種類。顧客対応・販売支援、会計・財務など

使う前に考えておきたいこと

補助金は、ツールの導入費用の一部が戻る制度ですが、受け取って終わりではありません。申請の前に、次の点を考えておくと、あとで困りにくくなります。

  • 補助金がなくても導入したいツールか:補助金が出ることを理由に、使わないツールを選ぶと、費用と報告の手間だけが残ります
  • 代金を立て替えられるか:補助金は後払いで、導入時には全額を自分で支払います
  • 実施期間に収まるか:契約・導入・支払い・実績報告までを、交付決定日から6か月程度で終える必要があります
  • 導入後も報告を続けられるか:効果報告は、数年にわたって続きます
  • 導入後に使い続けられるか:ツールを解約・利用停止すると、辞退の手続きが必要になります

通常枠の効果報告の時期は、公募要領で次のように示されています(制度内容やスケジュールは変更される場合があります)。

効果報告報告の対象になる期間報告する期間
事業計画期間前ITツール導入後〜2027年3月〜
1年度目交付申請時点の翌事業年度2028年4月〜2029年1月
2年度目前年度の対象期間の翌事業年度2029年4月〜2030年1月
3年度目前年度の対象期間の翌事業年度2030年4月〜2031年1月

個人事業主は「書類がそろうか」が最初の分かれ目

対象かどうかの条件より先に、確定申告書の控え、所得税の納税証明書、青色申告決算書または収支内訳書がそろうかを確認しておくと、準備の見通しが立ちます。書類の詳しい注意点は「必要書類」の章で解説します。

あわせて読みたいデジタル化・AI導入補助金とは?対象・補助額・申請の流れを解説デジタル化・AI導入補助金は、旧IT導入補助金が2026年に名前を変えた制度です。5つの申請枠の補助率・補助額、対象になる会社とITツール、申請までの流れ、第7次公募からの制度変更、ホームページ制作や生成AIは対象になるのかまで、2026年10月時点の公式情報で整理しました。

対象になる条件

小さな店舗のカウンターで、従業員名簿と公募要領を見比べながら条件を確かめる店主

対象になるかどうかは、事業規模の基準と、申請者が満たすべき要件の両方で決まります。公募要領の記載にそって確認していきましょう。

従業員数の基準

公募要領では、中小企業等の定義が業種ごとに決められています。会社には「資本金」または「従業員数」の基準がありますが、個人事業主には従業員数の基準が当てはまります。次の表は、各業種の従業員数の上限です。

業種常時使用する従業員の数
製造業(ゴム製品製造業を除く)・建設業・運輸業300人以下
卸売業100人以下
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)100人以下
小売業50人以下
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ等を除く)900人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業300人以下
旅館業200人以下
その他の業種300人以下

従業員数がこの上限以下であれば、基準を満たします。どの業種に当たるかは申請書類の入力にも関わるため、区分に迷うときは、IT導入支援事業者や事務局に確認してください。

小規模事業者の基準

小規模事業者に当たると、枠によって補助率が上がります。公募要領の定義は次のとおりです。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ここで押さえておきたいのは、公募要領の注記です。「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の「予め解雇の予告を必要とする者」を指し、会社役員と個人事業主は、これに該当しないため従業員の人数に数えません。つまり、本人だけで事業をしている場合は従業員0人として扱われ、小規模事業者に当たります。

小規模事業者として補助率の優遇を受ける場合、インボイス枠とセキュリティ対策推進枠では、実績報告のときに事務局が指定する様式の「従業員一覧」を提出します。また、交付決定の後に従業員が増えて小規模事業者の定義に当てはまらなくなると、補助率が下がることがあります。インボイス枠では50万円以下の部分が4/5から3/4に、セキュリティ対策推進枠では2/3から1/2に下がり、補助対象経費の上限は申請時の金額のままです。

申請の前提になる要件

事業規模のほかに、申請者が満たす要件があります。個人事業主に関わるものを、公募要領から抜き出しました。

  • 日本国内に、補助事業を実施する場所を持っていること
  • 交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上であること
  • GビズIDプライムを取得していること
  • SECURITY ACTIONの「一つ星」または「二つ星」を宣言していること
  • 申請者自身が管理する携帯電話番号を1つ登録すること
  • 国や中小企業基盤整備機構などの他の補助金と、重複する事業を含まないこと
  • 製品・サービスの生産・提供など、生産活動に資する事業を行っていること

通常枠では、このほかに労働生産性を向上させる3年間の事業計画を作ることが条件です。インボイス枠は、この事業計画ではなく、ITツールの継続的な活用状況を報告する形です。賃上げに関する要件は、補助額や過去の交付歴によって変わります。申請後の義務の章で説明します。

最低賃金の要件

申請要件の1つに、「交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が、法令上の地域別最低賃金以上であること」があります。事業場内最低賃金とは、事業場内で最も低い賃金のことです。

従業員を雇っている個人事業主は、パートやアルバイトを含めた全員の賃金が、事業所の所在する都道府県の地域別最低賃金を下回っていないかを、申請の前に確認しておきます。賃金台帳などで事実を確かめられるようにしておくと、効果報告のときにも役立ちます。

従業員を雇っていない個人事業主の場合に、この要件をどう確認するかは、公募要領に個別の記載を確認できませんでした。申請マイページに入力する内容については、IT導入支援事業者や事務局に確認してください。

申請できない事業者

対象の規模であっても、公募要領は次のような事業者を申請の対象外としています。個人事業主に当てはまりそうなものを挙げます。

  • 確定している直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • 発行済株式の2分の1以上を同じ大企業が所有している、など大企業との関係が深い事業者
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する営業を営む事業者(旅館業法の許可を受けた旅館業を除く)
  • 経済産業省または中小機構から、補助金交付等の停止措置や指名停止措置を受けている事業者
  • IT導入支援事業者として登録されている、または登録しようとしている事業者(補助事業者との重複は不可)

このほか、同じ人が複数の会社の議決権を50%超ずつ持っている場合などは「みなし同一法人」として、1社しか申請できません。配偶者・親子・生計を同一にしている人は、同じ個人として扱われます。過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人も、同様に扱うと公募要領に書かれています。法人化を考えている場合は、事前に事務局へ確認してください。

迷いやすいケース

個人事業主は、事業の形が人によって大きく違います。次のようなケースについて、公募要領でどこまで確認できたかを表にまとめました。

ケース公募要領で確認できること確かめる先
従業員がいない一人の事業個人事業主本人は「常時使用する従業員」に数えない。従業員0人でも、従業員数が上限以下という条件には当てはまる賃上げや労働生産性の数値の扱いは、IT導入支援事業者に確認
副業・フリーランス副業やフリーランスに関する個別の記載は確認できない。事業を営み、必要書類を提出できることが前提事務局
開業したばかり開業後の年数に関する条件は確認できない。確定申告書の控えなど、4種類の書類が必須書類をそろえられない場合は事務局
家族を雇っている常時使用する従業員は、労働基準法の「予め解雇の予告を必要とする者」で判断する数え方に迷うときは事務局
屋号で事業をしている申請書類は、個人事業主本人の名義で出す。事務局への問い合わせでは屋号を伝える-

公募要領にないことは、事務局に確認する

上の表のように、公募要領に個別の記載がないケースがあります。ネット上の解説は、制度が変わる前の内容や、書き手の推測が混ざっていることがあります。判断に迷うときは、事務局のコールセンター(0570-666-376、平日9時30分〜17時30分)に確認してください。締切の前日と当日は電話が混み合います。

補助率・補助額

机の上で電卓と見積書を並べ、補助金でいくら戻るかを計算する個人事業主

個人事業主が使える枠と、補助率・補助額を整理します。数字は第7回公募からの改訂版の公募要領をもとにしています。

枠補助率補助額個人事業主が使う場面
通常枠1/2以内(最低賃金に近い賃金の従業員が多い事業者は2/3以内)5万円以上150万円未満(1プロセス以上)
150万円以上450万円以下(4プロセス以上)
顧客管理・勤怠・給与など、業務全般のツール
インボイス枠(インボイス対応類型)50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内。PC・タブレット等とレジ等は1/2以内ソフトは50万円まで(会計・受発注・決済のうち1機能)または350万円まで(2機能以上)。PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機は20万円まで会計・請求書・受発注・決済のソフトと、それに付随する機器
セキュリティ対策推進枠1/2以内(小規模事業者は2/3以内)5万円〜150万円サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用料(最大2年分)

このほか、複数の事業者が連携して取り組む「複数者連携デジタル化・AI導入枠」と、取引先に受発注ソフトのアカウントを無償で提供する側のための「インボイス枠(電子取引類型)」があります。個人事業主が自分の業務のためにツールを入れる場合は、上の3つの枠が中心になります。

通常枠

業務の効率化のために、顧客管理、在庫管理、勤怠管理、給与計算といったソフトを入れるときの基本の枠です。補助率は1/2以内で、補助額は5万円以上150万円未満(1プロセス以上)と、150万円以上450万円以下(4プロセス以上)の2段階になっています。

「プロセス」とは、ソフトが効率化する業務の種類のことです。顧客対応・販売支援、会計・財務、総務・人事・給与などが、それぞれ1つのプロセスになります。補助額が150万円以上になる場合は、4プロセス以上のソフトが必要になり、賃上げに関する要件も必須になります。150万円未満の範囲で申請する場合は、プロセスは1つ以上あれば足ります。

補助率が2/3以内になるのは、令和7年10月から令和8年9月までの間に、地域別最低賃金に近い賃金で雇っている従業員が全従業員の30%以上いる月が3か月以上ある場合です。従業員を雇っていない個人事業主には、この条件を満たす月がありません。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトを導入するための枠です。通常枠より補助率が高く、会計や請求書、決済のツールを入れたい個人事業主には、補助率の面で有利な枠です。

  • 補助率:補助額50万円以下の部分は3/4以内、小規模事業者は4/5以内。50万円を超える部分は2/3以内
  • 補助額:会計・受発注・決済のうち1つの機能を持つソフトは50万円まで、2つ以上は350万円まで
  • 機器:PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は10万円まで、レジ・券売機は20万円まで(いずれも補助率は1/2以内)
  • 補助額の下限:なし

補助額に下限がないため、小さな金額のツールでも申請できます。また、通常枠のように労働生産性を向上させる3年間の事業計画は求められず、導入したITツールの継続的な活用状況を報告する形になっています。

この枠には、申請日の時点でインボイスの登録(適格請求書発行事業者の登録)をしておらず、実績報告日までに登録することを約束する場合は、加点されるという項目があります。ただし、この加点を受けたのに、実績報告日までに登録できなかった場合は、原則として交付決定が取り消されます。インボイスに登録するかどうかは、税金や取引先との関係に関わる判断です。税理士に相談したうえで決めてください。

セキュリティ対策推進枠

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定める基準を満たした「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料が対象です。サービス利用料は最大2年分、補助率は1/2以内で、小規模事業者は2/3以内です。補助額は5万円以上150万円以下です。

SECURITY ACTIONは、この枠でも「一つ星」または「二つ星」の宣言が要件です。公募要領では、「二つ星」を宣言していることが加点項目になっています。宣言の手続きは、後述の「申請前の準備」で説明します。

補助金額の計算例

補助金額は「補助対象経費 × 補助率」で決まります。消費税は補助対象外で、補助額の1円未満は切り捨てです。次の金額は、考え方を示すための仮の例で、実際の価格ではありません。

例補助対象経費(税抜)補助率補助額自己負担(消費税10%の場合)
インボイス対応類型。会計ソフト(2年分の利用料と導入設定)。従業員がいない個人事業主20万円4/516万円4万円 + 消費税2万円 = 6万円
同じ内容。小規模事業者に当たらない事業者20万円3/415万円5万円 + 消費税2万円 = 7万円
インボイス対応類型。会計ソフト20万円と、あわせて買うタブレット6万円ソフト20万円
タブレット6万円
ソフト4/5
タブレット1/2
16万円 + 3万円 = 19万円7万円 + 消費税2.6万円 = 9.6万円
通常枠。顧客管理ツール(2年分の利用料と導入設定)40万円1/220万円20万円 + 消費税4万円 = 24万円
通常枠。小さなツール8万円1/24万円(下限の5万円に届かず、申請できない)-

最後の例のとおり、通常枠は、補助額が5万円以上でないと申請できません。補助率が1/2なら、補助対象経費が10万円以上あることが目安です。金額の小さいツールなら、下限のないインボイス枠や、別の補助金のほうが合う場合があります。

計算例は目安。実際の金額は見積りで確認する

実際の補助対象経費は、IT導入支援事業者の見積りと、登録されたITツールの内容で決まります。クラウドの利用料は最大2年分までで、3年目以降は自己負担です。補助金が出るから導入する、ではなく、補助金がなくても必要なツールかどうかを先に考えてください。

枠ごとの要件の違い

補助率のほかに、事業計画や賃上げの要件も枠によって違います。個人事業主の申請に関わる部分を、公募要領から並べました。

項目通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)セキュリティ対策推進枠
補助額の下限5万円なし5万円
事業計画(労働生産性)1年後に3%以上、年平均で3%以上(過去に交付決定を受けた事業者は4%以上)求められない。ITツールの継続的な活用状況を報告する年平均で1%以上
賃上げの要件補助額150万円以上は必須。150万円未満は加点。過去に交付決定を受けた事業者は150万円未満でも必須過去(2022〜2025)に交付決定を受けた事業者は必須。ほかは加点過去(2022〜2025)に交付決定を受けた事業者は必須。ほかは加点
補助率が上がる条件最低賃金に近い賃金の従業員が一定割合以上いる場合に2/3小規模事業者は50万円以下の部分が4/5小規模事業者は2/3
機器の購入対象外PC・タブレット等、レジ等が対象対象外(サービス利用料のみ)

どの枠を使うか

枠は、「何の仕事を楽にしたいか」で選ぶと迷いません。導入したいものごとの目安を表にしました。

導入したいもの使う枠の目安補足
会計ソフト、請求書の発行、受発注、決済(POSレジなど)インボイス枠(インボイス対応類型)補助率が高く、補助額に下限がない。インボイス制度に対応したツールが対象
顧客管理、営業支援、在庫管理、勤怠管理、給与計算、ワークフローなど通常枠補助額が5万円以上であること。3年間の事業計画が必要
サイバー攻撃への備え(お助け隊サービス)セキュリティ対策推進枠IPAのお助け隊サービスリストに掲載されたサービスのうち、登録されたもの
ホームページの制作、広告、SNS運用これらの枠の対象になりにくい登録されたITツールかどうかを確認。別の補助金も検討する

次の4つは、個人事業主によくある状況を想定した仮の例です。実際の枠や金額は、IT導入支援事業者の見積りと公募要領で確認してください。

ケース(仮の例)考え方
従業員のいない個人事業主が、会計と請求書発行のツールを入れたいインボイス枠(インボイス対応類型)が候補。小規模事業者に当たり、50万円以下の部分は4/5。労働生産性の事業計画は求められない
従業員3人の小さな店舗が、POSレジを入れたいインボイス枠(インボイス対応類型)が候補。「決済」機能のソフトと、登録されたPOSレジのパッケージが対象で、レジ等は20万円まで1/2。実績報告のときに従業員一覧を出す
営業を中心とした個人事業主が、顧客管理ツールを入れたい通常枠が候補。補助率は1/2以内。補助額5万円以上が条件。3年間の事業計画(労働生産性)を作る
従業員を数名雇う事業者が、勤怠管理と給与計算を入れたい通常枠が候補。どちらも「総務・人事・給与など」のプロセスに当たるため、1プロセスとして申請。150万円未満なら賃上げは加点項目。最低賃金に近い賃金の従業員が一定割合以上なら補助率が2/3

通常枠とインボイス枠の同時申請は、審査で減点がある

通常枠とインボイス枠は、同じ期間に同時に申請できます。ただし、公募要領には、他方の枠で申請している事業者を審査で減点する項目があります。同じ機能(会計・受発注・決済)のツールを選ぶと、さらに減点されます。複数の枠に申請するときは、IT導入支援事業者に相談してください。

あわせて読みたいデジタル化・AI導入補助金2026のスケジュールと第7次からの変更点デジタル化・AI導入補助金2026の締切と交付決定日を、1次から7次まで一覧にしました。12月1日締切の第7次公募から変わる賃上げ要件、IT導入補助金2025から変わった点、これまでの申請数と交付決定数、締切から逆算した準備の進め方まで、2026年10月15日時点の公式情報で整理しています。

対象になるツール・経費

ITツール検索の画面を開いたノートPCの前で、候補のツールを見比べる個人事業主(画面は本人の側を向いている)

補助金で買えるのは、好きなソフトではなく、登録されたITツールです。何が対象で、何が対象外なのかを確認します。

登録されたITツールだけが対象

ITツールは、IT導入支援事業者が事務局に事前に登録したものです。申請者は、登録されたITツールの中から導入するものを選びます。自分で見つけたソフトを買ってから、あとで補助金を申請することはできません。

登録されているツールは、事務局サイトの「ITツール検索」で探せます。気になるツールが見つかったら、そのツールを登録しているIT導入支援事業者に問い合わせて、どの枠で使えるのか、価格はいくらかを確認する流れになります。

商談で確認したいこと

IT導入支援事業者との商談では、機能や価格のほかに、補助金に関わる次の点を確かめておくと安心です。

確認すること理由
登録されたITツールか。ITツール検索で見つかるか登録されていないツールは、補助の対象外
どの枠で登録されているか枠によって、補助率・補助額・要件が変わる
見積りの内訳(ソフト・オプション・役務・機器)導入するツールに比べて、役務の費用が著しく高額であってはならない
利用料の期間と、3年目以降の料金クラウドの利用料は最大2年分までで、その先は自己負担
導入設定・研修・サポートの範囲役務として補助される範囲と、自己負担の範囲を区別する
契約の時期契約は、交付決定のあとに行う
請求書の発行と支払いの手順請求書の発行より前に支払うと、補助を受けられないことがある
効果報告のサポート導入後も、数年にわたって報告がある
ポイント還元やキャッシュバックの提案がないか自己負担額を減らす還元は、不正な行為として扱われる

通常枠で対象になる業務の例

通常枠では、ソフトが効率化する業務を「プロセス」に分けています。公募要領に載っている機能の例を、個人事業主の業務に近いものを中心にまとめました。

プロセス公募要領にある機能の例注意点
顧客対応・販売支援営業支援(SFA)、顧客管理(CRM)、マーケティングの自動化、予約受付台帳顧客情報を保有・表示するだけの機能は対象外。予約の顧客側の画面を新規に作る費用は対象外
決済・債権債務・資金回収POSレジ、発注・仕入管理、受注・売上請求管理、売掛・回収管理-
供給・在庫・物流入出庫管理、実地棚卸管理、在庫分析、納品管理-
会計・財務・経営仕訳・帳簿・財務三表、資金繰り計画、固定資産台帳、経費精算、法定調書・税務申告書の作成、経営分析仕訳機能や会計ソフトとの連携機能がなく、経費の項目と金額を入力・表示するだけの経費精算は対象外
総務・人事・給与など出退勤の管理、シフト作成、給与計算・年末調整、電子契約、ワークフロー、ノーコードのアプリ作成ツール、BI-
業種固有建設業の積算・施工管理、製造業の生産管理・原価計算など業種ごとに機能が決まっている

業種や業務を限定しない「汎用プロセス」のツールだけでは、単独で申請できません。上の業務プロセスのいずれかと組み合わせて申請します。

パソコンやレジは対象になるか

通常枠の補助対象経費は、ソフトウェアの購入費と導入関連費です。パソコンなどの機器は、通常枠では対象に入っていません。

機器が対象になるのは、インボイス枠(インボイス対応類型)で、会計・受発注・決済のソフトとあわせて導入する場合です。公募要領には、次の条件が書かれています。

  • PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機:10万円まで。ソフトを購入するIT導入支援事業者から買うこと。価格が市場価格を逸脱していないこと
  • POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機:20万円まで。「決済」機能のソフトに登録されたパッケージの中から選ぶこと。キャッシュドロワ、レシートプリンタ、カードリーダ、バーコード・QRコードリーダ、Wi-Fiルータ、運搬費などの付属品が対象
  • ハードウェアだけの申請はできない(ソフトウェアとあわせて申請する)

対象にならない経費

公募要領では、次の費用は補助の対象外とされています。個人事業主が見落としやすいものを中心に表にしました。

対象外の経費個人事業主が気をつけること
交付決定前に購入したITツール先に契約して、あとから申請することはできない
補助金の申請・報告に係る申請代行費申請を代行してもらった費用は、補助されない
消費税などの公租公課消費税は自己負担
交付申請時に利用金額が定められないもの使った分だけ請求される従量課金は対象外
対外的に無償で提供されているもの無料プランのあるツールの無料部分は対象外(通常枠の公募要領)
リース・レンタル契約のITツールお助け隊サービスを除き、対象外
中古品パソコンやレジの中古品は対象外
顧客が実質的に負担する費用が代金に含まれるもの売上原価にあたると事務局が判断したものは対象外
交通費・宿泊費導入のための出張費などは対象外

生成AIの月額料金・ホームページ制作

公募要領では、ITツールとは「ソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェア」のことと定義されています。補助金の名前にAIが入りましたが、対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけという基本は変わっていません。

ChatGPTやClaudeなどを自分で直接契約したときの月額料金が対象になるかについて、公式に個別の案内はありません。使いたいサービスが、登録ツールとしてITツール検索で見つかるかどうかで判断することになります。また、使った分だけ請求される従量課金のサービスは、「利用金額が定められないもの」として対象外になります。

ホームページの制作費も、同じように登録ツールに当てはまらなければ対象になりません。公募要領には、予約システムについて「顧客側の画面を新規に制作する費用は、スクラッチ開発に該当するため対象外」という注意書きがあります。ホームページ制作を補助金で進めたい場合は、小規模事業者持続化補助金など、別の補助金を検討するのが現実的です。詳しくは「持続化補助金でホームページを作るには」で解説します。

交付決定より前に契約しない

交付決定の前に契約・発注したITツールは、補助の対象になりません。「先に契約して、あとから申請する」ことはできないため、IT導入支援事業者との商談では、契約は交付決定の通知を受けてから、と覚えておいてください。

あわせて読みたい持続化補助金でホームページ制作は対象?上限30万円の条件と申請の流れ【第20回】小規模事業者持続化補助金でホームページの制作費はいくら補助されるのか。第20回公募の公募要領(第8版)をもとに、補助率・上限額、対象になる経費、発注の時期、申請の流れ、業者に頼むときの注意までを整理しました。

必要書類

机に確定申告書の控えや納税証明書を並べ、書類がそろっているか一枚ずつ確かめる個人事業主

個人事業主が交付申請で添付する書類は、公募要領で4種類と決められています。「代替書類は一切認められない」と書かれているため、そろえる書類を間違えると、申請が進まなくなります。

提出する4種類の書類

用途必要な書類ポイント
本人を確認する運転免許証(有効期限内のもの)、運転経歴証明書、または住民票(発行から3か月以内のもの)住民票を使う場合は、発行日に注意する
事業の実態を確認する(その1)税務署で発行された、直近分の所得税の納税証明書(「その1」または「その2」)納税の領収書ではなく、税務署が発行する証明書
事業の実態を確認する(その2)税務署が受領した、直近分の確定申告書の控え申告書第一表の控え。税務署が受け取ったことが分かること
財務状況を確認する所得税の青色申告決算書、または収支内訳書確定申告のときに作成した書類

インボイス枠とセキュリティ対策推進枠の公募要領でも、個人事業主の書類は同じ4種類です。条件を満たす場合に限って、補助率や加点のための追加書類(後述)が加わります。

確定申告書の注意点

公募要領には、確定申告書の控えについて細かい決まりがあります。申請の直前に慌てないよう、ここを先に確認してください。

  • 対象の年分:令和7年(2025年)分の確定申告書。やむを得ない事情がある場合は、令和6年分も提出できます
  • 税務署が受領したと分かること:次のどちらかが必要です。(1) 第一表の控えに、受付番号と受付日時が印字されている。(2) 第一表の控えと、受信通知(メール詳細)の両方を添付できる
  • 受領を確認できない場合:提出する第一表の控えと、同じ年分の納税証明書(その2 所得金額用)を提出すれば、必要な書類を満たせます
  • 税理士の印だけでは不可:税理士の印のみが押された書類は、適切な添付資料として扱われません
  • 個人情報の扱い:マイナンバーや保険者番号などが書かれている場合は、その部分を黒塗りにして提出します

電子申告(e-Tax)で確定申告をした方は、受信通知のメール詳細を保存しているかを確認しておきましょう。受付番号や受付日時が分かる状態で控えを残しておくと、後から書類を探す手間が減ります。

納税証明書の注意点

納税証明書は、税金を納めたときの領収書ではありません。税務署が「納税の事実」を証明するために発行する書類です。個人事業主の場合は、税目が「所得税」で、直近の年分のものを提出します。

税務署に請求して発行してもらう書類のため、申請の締切の直前ではなく、早めに手配するのが安全です。「その1」と「その2」のどちらでもよいと公募要領には書かれていますが、確定申告書の受領を確認できない場合は、「その2(所得金額用)」が必要になります。迷う場合は、先に「その2」を取っておくと確実です。

追加で必要になる書類

条件に当てはまる場合は、次の書類を追加で提出または準備します。

書類必要になる場合提出のタイミング
賃金状況報告シート通常枠で補助率2/3以内の適用を受ける場合や、賃金に関する加点を受ける場合交付申請
IT戦略マップ(IT戦略ナビwithの実施結果のPDF)「IT戦略ナビwith」の実施による加点を受ける場合交付申請
従業員一覧小規模事業者として補助率の優遇を受けるインボイス枠・セキュリティ対策推進枠実績報告
適格請求書発行事業者の登録通知書インボイス枠で、実績報告までにインボイス登録を行う約束で加点を受けた場合実績報告

提出前のチェックリスト

書類の不備があると、事務局から訂正を求められ、審査が遅れます。提出の前に、次の点を一つずつ確かめてください。

書類・情報確かめること
運転免許証・運転経歴証明書・住民票有効期限内か。住民票の場合は、発行から3か月以内か
所得税の納税証明書税務署が発行した証明書か(領収書ではない)。税目が所得税で、直近分か
確定申告書の控え令和7年分の第一表か。受付番号と受付日時が印字されているか、受信通知(メール詳細)があるか
青色申告決算書・収支内訳書確定申告書とあわせて、同じ年分のものを用意したか
個人情報の記載マイナンバーや保険者番号が見える状態で提出していないか
税理士の印税理士の印だけが押された書類を、確定申告書の控えとして出していないか
携帯電話番号申請者本人が管理する番号か。他の人の申請や、IT導入支援事業者の番号と重なっていないか
メールアドレス第三者が管理するアドレスやエイリアスではなく、本人が管理するものか
GビズIDプライムとSECURITY ACTION申請に使うGビズIDで宣言したか。宣言IDが2026年4月以降のものか

開業直後などで確定申告書がない場合

公募要領には、確定申告書の控えが必須の書類として書かれており、代替書類は認められないとされています。開業したばかりで直近の確定申告をしていない場合の扱いについては、公募要領に個別の記載を確認できませんでした。この場合は、IT導入支援事業者や事務局のコールセンター(0570-666-376)に、申請できるかどうかを確認してください。

申請前の準備

自宅の机でパソコンに向かい、GビズIDの申請画面とチェックリストを見比べる個人事業主

申請の前に、すべての申請者が済ませておくことが2つあります。GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言です。どちらも発行まで日数がかかるため、書類の準備と並行して早めに進めます。

GビズIDプライムを取得する

GビズIDは、行政サービスにログインするための共通のアカウントです。交付申請には「GビズIDプライム」が必要です。利用に料金はかかりません(公募要領には「将来にわたって無料であることを約束するものではない」との注記があります)。個人事業主は、次の2つのどちらかの方法で取得します。

方法必要なもの発行までの目安
オンライン申請(マイナンバーカード)申請用のパソコンとメールアドレス、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォン(GビズIDアプリを入れる)、SMSを受信できる電話番号最短で即日(GビズID公式サイトの案内)
書類申請地方公共団体が発行した印鑑登録証明書の原本(発行から3か月以内)、実印を押した申請書(GビズIDのサイトで作成して印刷)、本人のメールアドレス、本人のSMSを受信できる電話番号事務局の案内ではおおむね2週間。GビズID公式サイトは、書類申請の審査期間が最大1か月になったと案内している

マイナンバーカードをお持ちで、読み取れるスマートフォンがあれば、オンライン申請のほうが早く済みます。書類申請の場合は、事務局の案内する「おおむね2週間」より長くかかる可能性があるため、余裕を見て申し込んでください。

SECURITY ACTIONを宣言する

SECURITY ACTIONは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する、中小企業や個人事業主が情報セキュリティ対策に取り組むことを自分で宣言する制度です。補助金の申請では、「一つ星」または「二つ星」のどちらかの宣言が要件です。

  • 一つ星:「情報セキュリティ6か条」に取り組むことを宣言するもの。対策を実施する前でも申し込めます。6か条は、OSやソフトの更新、ウイルス対策ソフトの導入、パスワードの強化、共有設定の見直し、バックアップ、脅威や攻撃の手口を知ること、です
  • 二つ星:「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」に取り組み、「情報セキュリティ基本方針」を作成して外部に公開したうえで宣言するもの。公開の方法は、自社のウェブサイトへの掲載、会社案内やパンフレットへの掲載などから選びます

注意したいのは、2026年4月からの手続きの変更です。IPAの案内では、補助金の申請には、補助金で使うGビズIDで、SECURITY ACTIONの管理システムから申し込むことになっています。次の点に当てはまる宣言は、交付申請に使えません。

  • 2026年3月以前に申し込んだ自己宣言
  • 第2次公募(2026年5月12日17時)以降の申請で、先頭が「4」で始まる11桁の自己宣言ID
  • 補助金の申請に使うものとは別のGビズIDで申し込んだ宣言

すでにSECURITY ACTIONを宣言している個人事業主でも、2026年3月以前の宣言のままでは申請に使えません。GビズIDを取得してから、新しく宣言し直す必要があります。宣言IDは事務局の案内ではおおむね2〜3日で発行されるとされています。IPAの案内では、申込フォームの入力が終わると自己宣言IDがメールで届くとされていますが、システムのメンテナンスなどで使えない期間もあるため、余裕を持って進めてください。

宣言IDをなくさない・登録内容を変えたら再宣言

IPAの案内によると、2026年4月以降、事務局は自己宣言IDを回答しません。IDが分からなくなったら、再度申し込む必要があります。また、事業者名や住所を変更したときも改めて申し込む必要があり、その際に自己宣言IDも変わります。

携帯電話番号・IT導入支援事業者

交付申請の際は、申請者自身が管理する携帯電話番号を1つ登録します。申請に必要なパスワードなどがSMSで届き、事務局から連絡があった場合には応じる必要があります。この番号を、他の人の申請や、IT導入支援事業者の電話番号として使うことはできません。

申請マイページのログインIDとパスワードは、IT導入支援事業者を含む第三者に渡してはいけません。申請を手伝ってもらう場合も、本人が自分のIDでログインして内容を確認し、宣誓して提出する流れです。

IT導入支援事業者は、ITツールの提供から申請の共同作成、導入後のサポートまで関わる相手です。ツールの機能や価格だけでなく、どの枠で登録されているツールか、導入後の設定や研修のサポートはどこまであるか、効果報告も一緒に進めてもらえるかを確認しておくと安心です。申請の代行にかかる費用は、補助の対象外です。

加点になる取り組み

申請の審査では、一定の取り組みを行っていると加点されます。通常枠の公募要領にある主な項目のうち、個人事業主が取り組める可能性のあるものを表にしました。

加点項目内容と注意点
クラウド製品を選ぶ導入するITツールとして、クラウド製品を選定する
インボイス制度対応製品を選ぶ導入するITツールとして、インボイス制度に対応した製品を選定する
お助け隊サービスを選ぶ導入するITツールとして、サイバーセキュリティお助け隊サービスを選定する
IT戦略ナビwith、またはIT経営サポートセンターを利用するIT戦略ナビwithは交付申請前に実施し、実施結果(IT戦略マップ)を添付する。IT経営サポートセンターは、2026年8月1日以降に利用を申し込む。個人事業主は「企業名」欄に代表者の氏名を入力する。両方利用しても、加点はどちらか一方
省力化ナビを活用する交付申請の締切日までに、「解決策」のPDFをダウンロードする。活用時には、申請に使うGビズIDプライムを入力する
成長加速マッチングサービスに登録する会員登録をして、挑戦課題を登録する(ステータスが「掲載中」のもの)
デジタル化セカンドオピニオンを実施する交付申請の時点までに実施し、確認者との面談を終えてから申請する
賃金引上げ計画を立てる補助額150万円未満の申請者が、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることなどの計画を立て、従業員に表明する

このほか、「健康経営優良法人2026」の認定を受けていることや、えるぼし・くるみんの認定を受けていることも加点の対象です。インボイス枠には、前述のインボイス登録の約束など、枠ごとの加点項目があります。

加点を受けたのに達成できないと、減点がある

加点を受けて採択されたのに、申請した加点の要件を達成できなかった場合は、効果報告で未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金(小規模事業者持続化補助金など)への申請で、大幅に減点されます。加点のための取り組みは、確実に実行できるものを選んでください。

締切から逆算する

通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の直近の締切は、次のとおりです(2026年10月時点の事務局サイトの記載)。

回締切交付決定(予定)
6次締切分2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)
7次締切分2026年12月1日(火)17:002027年1月19日(火)

7次以降は、第7回公募からの制度変更(1年後の1人当たり給与支給総額の要件の追加など)が適用されます。締切と制度変更の詳しい内容は「デジタル化・AI導入補助金2026のスケジュールと変更点」にまとめています。

7次の締切(12月1日)に間に合わせるための、準備の目安は次のとおりです。ここでの日数は、事務局やGビズIDの案内にある日数をもとにした当社の計算で、状況によって前後します。

やることかかる日数の目安目安の時期
GビズIDプライムの申込み(書類申請の場合)最大1か月(事務局の案内ではおおむね2週間)10月中に申込み
GビズIDプライムの申込み(マイナンバーカードの場合)最短即日10月下旬〜11月上旬
SECURITY ACTIONの宣言GビズID取得後。宣言IDの発行はおおむね2〜3日GビズID取得の直後
納税証明書・確定申告書の控えなど、4種類の書類を準備税務署への請求の日数による11月上旬まで
IT導入支援事業者・ITツールの選定、申請内容の確認公式に目安の記載なし11月中旬〜下旬

6次の締切(10月30日)は、申請者の側の準備が済んでいなければ間に合いません。書類申請でGビズIDを取る場合は、締切までに発行されない可能性があります。無理に6次に合わせず、7次を目標にしても構いません。不採択になった場合も、次回以降に再申請できます。

申請から入金まで・申請後の義務

IT導入支援事業者の担当者とオンラインで打ち合わせ、申請内容を画面で確認する個人事業主(画面は本人の側を向いている)

申請してから補助金が入金されるまでには、いくつかの手順があります。個人事業主が特に気をつけたい点と、補助金を受け取ったあとの義務を整理します。

申請から入金までの流れ

  1. 公募要領を読み、使う枠を決める導入したいツールが、会計・請求・決済なのか、業務全般なのかで、枠が変わります。
  2. GビズIDプライムを取得し、SECURITY ACTIONを宣言する書類(4種類)の準備もこの段階で進めます。
  3. IT導入支援事業者とITツールを選ぶこの段階では、まだ契約ではありません。
  4. 申請マイページを開設するIT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、代表者名などの申請者情報を入力します。
  5. 交付申請を作成して提出する書類を添付し、IT導入支援事業者が入力したツール情報や事業計画の数値を確認して、宣誓したうえで事務局に提出します。
  6. 交付決定を受ける審査のあと、結果が申請マイページで通知されます。
  7. 契約・導入・支払いをする交付決定のあとに、IT導入支援事業者とITツールを契約し、導入して、代金を支払います。事業の実施期間は、交付決定日から6か月程度です。
  8. 実績報告を提出する契約書、請求書、支払いの証拠などを添えて、IT導入支援事業者と一緒に報告します。
  9. 補助金が交付される補助額が確定したあと、事務局から補助事業者に直接支払われます。
  10. 効果報告をする導入したツールの活用状況などを、数年にわたり報告します。

審査・結果の通知

提出した申請は、事務局が審査したうえで、学識経験者などの専門家で構成される外部審査委員会の意見を聴いて、採択が決まります。審査は、原則として提出された書類で行われます。

審査の項目として、公募要領には次のような点が挙げられています。

  • 自社の経営課題を理解し、改善に向けた問題意識を持っているか
  • 改善したい業務と、導入するITツールの機能による効果が合っているか
  • セキュリティ対策を進めているか
  • 労働生産性の向上率の目標が、実現可能で合理的か
  • 国の推進する関連事業やセキュリティサービスを選んでいるか、賃金引上げに取り組んでいるか

申請内容に不備があった場合は、事務局から訂正を求められ、速やかに再提出する必要があります。審査の内容や、不採択になった理由は、事務局から通知される事項以外は開示されません。

結果は、申請マイページで通知されます。交付決定を受けた事業者は、事務局のサイトで名称や所在地が公表されます。公表される所在地は、法人は市区町村まで、個人事業主は都道府県までと公募要領に書かれています。

支払い方法の決まり

支払い方法は、支払いの事実が客観的に確かめられるよう、決まりがあります。公募要領では、原則として銀行振込とクレジットカードの1回払いだけが認められています。

方法個人事業主が気をつけること
銀行振込補助事業者(本人)の口座から、IT導入支援事業者の口座へ振り込む。窓口やATMでの現金払いは認められない。口座振替も可だが、通帳など支払いが分かる書類が必要
クレジットカード1回払いのみ。分割払いやリボ払いは不可。個人事業主本人名義のカードで支払う
現金・その他原則として認められず、補助金を受けられない

支払元の口座は、補助事業者の口座でなければならず、補助事業者名義でない口座から支払うと、補助金を受けられません。家族名義の口座やカードで支払わないように注意してください。また、IT導入支援事業者から請求書が発行される前に代金を支払うと、交付決定が取り消されることがあります。

実績報告で必要な書類

ITツールの導入と支払いが済んだら、実績報告を行います。報告のときに提出する書類は、導入の途中から意識して保管しておくと、探す手間が省けます。

書類内容と注意点
請求書・請求明細書IT導入支援事業者から補助事業者に発行されたもの。請求内容が「一式」で詳細が分からない場合は、請求明細書もあわせて提出する
支払いの証拠(銀行振込)補助事業者名義の口座から、IT導入支援事業者名義の口座へ支払った証拠。振込明細書、振込受付書、インターネットバンキングの取引完了画面、通帳の表紙と取引のページなど。IT導入支援事業者側の取引明細や領収証は認められない
支払いの証拠(クレジットカード)クレジットカード会社が発行した利用明細。支払日、支払元名、支払先名、支払金額、利用内容、引き落とし口座が分かること
補助金を受ける口座の情報通帳の表紙と、その裏面など。日本国内の口座に限る。キャッシュカードの提出は認められない
ITツールの利用を示す資料導入したソフトウェアの名前が分かる画面のキャプチャ。利用者が補助事業者であることが分かるもの
ハードウェアの購入に関する資料(インボイス枠)納品書、導入・設置の状況が分かる現物の写真、ラベルを貼った状況の写真
従業員一覧(小規模事業者の場合)事務局が指定する様式に、従業員の氏名や雇入れ年月日などを入力する

公募要領では、契約日・契約内容・金額に相違がないかを確認するよう求められています。見積書や契約書、請求書の金額や日付が食い違っていると、手続きが止まることがあります。

補助金は後払い

補助金は、実績報告の確認が済んだあとに入金されます。つまり、導入にかかる代金は、いったん全額を自分で支払う必要があります。たとえば30万円(税抜)のツールを入れる場合、消費税10%を含めて33万円を先に支払い、補助金が入るまでは立て替えることになります。

実施期間が交付決定日から6か月程度と短いため、契約からお金を払うまでの段取りも、事前に決めておきましょう。事業の資金繰りに余裕があるかを、申請前に確認しておくと安心です。

申請後の義務

補助金を受けたあとにも、守る義務があります。申請の前に、次の内容を確認しておいてください。

義務内容
経理を区別する補助対象事業の経理は、他の経理と明確に区別し、会計帳簿で収支が分かるようにしておく
書類の保管契約書、請求書、振込の記録など補助事業に係る書類を、事業完了の日の属する年度の終了後5年間保管する
効果報告ITツールを継続的に活用していることを証する書類などを、効果報告期間内に報告する。通常枠では、営業利益や人件費、総労働時間などの数値も報告する
辞退の手続き導入したITツールを解約・利用停止したときや、廃業・事業廃止などで補助事業を取りやめたときは、辞退の手続きが必要
変更の届出住所や代表者名などが変わったときは、申請マイページから変更申請を行う

通常枠では、労働生産性(営業利益・人件費・減価償却費の合計を、年間の総労働時間で割った値)を、1年後に3%以上、事業計画の期間中は年平均3%以上向上させる計画が条件です。過去にIT導入補助金(2023〜2025の通常枠など)の交付決定を受けた事業者は、この数値が4%になります。

賃上げに関する要件は、補助額が150万円以上の場合や、2022〜2025年のIT導入補助金で交付決定を受けた場合に必須になります。たとえば150万円以上の申請者は、1年後に1人当たり給与支給総額を3%以上、事業計画期間中は年平均3%以上伸ばすこと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすることなどが求められます。未達のときは、補助金の全部または一部を返還することがあります。

従業員がいない個人事業主の数値の扱いは、事前に確認する

公募要領には、従業員を雇用していない「法人」の場合に、1人当たり給与支給総額を役員の報酬と人数で計算する、という読み替えの記載があります。従業員がいない「個人事業主」の場合の扱いは、公募要領に個別の記載を確認できませんでした。賃上げや労働生産性の数値をどう入力するかは、IT導入支援事業者や事務局に、申請前に確認してください。

労働生産性の計算の考え方

通常枠では、労働生産性を3年間の事業計画で向上させることが条件です。公募要領の計算式は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 年間の事業者当たり総労働時間」で、基準になるのは、交付申請日の属する事業年度の前の事業年度です。

数字のイメージをつかむために、仮の数値で計算してみます。基準年度の営業利益・人件費・減価償却費の合計が600万円、年間の総労働時間が2,400時間なら、労働生産性は1時間あたり2,500円です。年平均3%ずつ向上させる場合の、目標の目安は次のとおりです。

年度労働生産性(1時間あたり)考え方
基準年度2,500円交付申請日の属する事業年度の前の事業年度
1年度目2,575円以上1年後に3%以上向上させる
2年度目約2,652円以上年平均で3%以上向上させる
3年度目約2,732円以上3年間の年平均で3%以上

実際の目標値は、決算書の数字をもとに、IT導入支援事業者と一緒に入力します。公募要領には、目標が「実現可能かつ合理的であること」が求められると書かれています。効果報告では、数値の根拠となる決算書などの書類を提出します。

営業利益や人件費を、確定申告書や青色申告決算書のどの項目から取るかは、公募要領に個人事業主向けの記載を確認できませんでした。数値を入力する前に、IT導入支援事業者に確認しておくと、あとの報告で食い違いが起きにくくなります。

不正と見なされる行為

公募要領は、補助金の目的に反する行為を、具体例を挙げて禁止しています。IT導入支援事業者から持ちかけられた場合でも、補助事業者の責任になることがあるため、次の例を知っておいてください。

  • ポイントやクーポンの発行・利用によって、ITツールの購入額を減額したり、無償にしたりする
  • 購入額の全部または一部を、口座振込や現金で申請者に払い戻す(キャッシュバックを含む)
  • 第三者から資金提供を受け、紹介料やコンサル料などの名目で資金を還流させる
  • 補助対象経費で取得したソフトウェアを、他者に供与する。使用権(アカウント・ライセンス)を他者に有償で供与することも認められない
  • 申請マイページの開設や申請の手続きを、申請者本人以外が行う(なりすまし)
  • 同じ費用を複数の枠に二重に計上する

こうした行為が疑われると、立入調査が行われることがあります。不正と判断された場合は、交付決定の取り消しや補助金の返還のほか、IT導入支援事業者の登録取消しなどの措置が取られます。補助事業者には、補助事業に係る書類を事業完了の日の属する年度の終了後5年間保管し、検査に協力することが求められています。「実質無料になります」といった提案を受けたときは、その仕組みを必ず確認してください。

調査・事例公開への協力

補助金を受けると、事務局や中小企業基盤整備機構から、次のような協力を求められることがあります。公募要領に書かれている内容です。

  • 事例の調査への協力(特段の事情がない限り、協力する。公開の内容と範囲は、個別に合意を得る)
  • 導入したITツールの導入実態や効果についての、現地確認やヒアリング。得られた情報が公開されることがある
  • 補助事業の適切な遂行を確かめるための、予告のない立入調査。書類の閲覧や、導入したITツールの現物の確認を求められることがある

立入調査に協力しないと、交付決定の取り消しや補助金の返還になることがあります。また、導入後に廃業・事業譲渡などで、交付決定を受けた内容に変更が生じた場合は、速やかにIT導入支援事業者へ共有し、事務局への報告も必要です。

提供した情報の取り扱い

申請のときに同意する事項として、申請時・利用時・事業報告時などに提供した情報の取り扱いがあります。公募要領によると、提供された情報は、中小企業庁関連事業データ利活用ポリシーにもとづいて、次のように使われます。

  • 中小企業庁・経済産業省などの行政機関や、その業務委託先、独立行政法人、大学その他の研究機関などに、政策の立案や経営支援のために提供・利用される
  • 支援機関(よろず支援拠点や認定経営革新等支援機関など)からのデータ開示の依頼には、申請者の承認があれば、その支援機関にも提供される
  • 研究者などに提供されるデータには、個人事業主の場合、企業名、住所、代表者名、電話番号などが含まれる
  • 中小企業庁所管の他の補助金の事務局とのあいだで、申請や交付に関する情報が共有される

この同意は申請の要件になっています。情報の取り扱いに不安がある場合は、公募要領の別紙(中小企業庁関連事業データ利活用ポリシー)を読んだうえで、申請するかどうかを判断してください。

税務・会計は専門家に確認する

補助金を受けたあとの会計や税金の扱い(収入に計上する時期、圧縮記帳が使えるかなど)は、事業の内容や申告の方法によって変わります。事務局のよくあるご質問にも「圧縮記帳は適用されるか」という項目があるほど、よく聞かれる点です。

この記事では、税務の判断は書いていません。インボイスの登録、青色申告や白色申告の違い、補助金の収入計上など、税金に関わることは、顧問の税理士や認定経営革新等支援機関に相談して決めてください。申請できるかどうかの最終的な判断も、公募要領と事務局の案内を確認したうえで、専門家に相談すると確実です。

あわせて読みたいデジタル化・AI導入補助金の申請方法とは?流れ・必要書類・マイページ入力の手順デジタル化・AI導入補助金の申請方法を、申請者の手順に沿って解説します。IT導入支援事業者との共同申請、事前準備、必要書類、申請マイページの入力、提出後の審査、交付決定後の契約から入金までを、2026年10月時点の公式資料で整理しました。

よくある質問

開業したばかりでも申請できますか。

公募要領には、開業からの年数に関する条件は確認できませんでした。ただし、個人事業主の申請には、確定申告書の控え、所得税の納税証明書、青色申告決算書または収支内訳書が必要で、代替書類は認められません。確定申告書は令和7年(2025年)分が原則です。直近の確定申告をまだしていない場合の扱いは、事務局のコールセンター(0570-666-376)に確認してください。

従業員がいない、一人の事業でも申請できますか。

申請できます。公募要領では、個人事業主本人は「常時使用する従業員」に数えないとされており、従業員0人でも、従業員数が上限以下という条件を満たします。小規模事業者にも当たります。ただし、賃上げや労働生産性の数値の入力方法は、従業員がいる場合と異なる可能性があります。公募要領に個別の記載を確認できなかったため、IT導入支援事業者や事務局に確認してください。

副業やフリーランスでも対象ですか。

公募要領に、副業やフリーランスに関する個別の記載は確認できませんでした。公募要領が求めているのは、日本国内で事業を営んでいることと、必要書類を提出できることです。確定申告の内容などによって書類がそろうかどうかが変わるため、不安な場合は事務局に確認してください。

白色申告でも申請できますか。

公募要領は、財務状況を確認する書類として「青色申告決算書または収支内訳書」を挙げており、青色申告に限るとは書かれていません。一般に、収支内訳書は白色申告で使う書類です。どの書類が自分に当てはまるかは、確定申告書の控えとあわせて確認してください。

屋号で申請できますか。

申請書類は個人事業主本人の名義で出します。屋号は、事務局に問い合わせるときに「補助事業者名」として伝える情報です。クレジットカードで支払う場合も、個人事業主本人名義のカードが必要です。

申請を代行してもらえますか。

申請は、申請者とIT導入支援事業者が共同で作成します。申請の代行にかかる費用は、補助の対象外です。申請マイページのログインIDとパスワードは、IT導入支援事業者にも渡してはいけないと公募要領に書かれています。

不採択になったら、もう申請できませんか。

通常枠では、各締切回の採択結果で不採択になった場合、次回以降の締切までに再び交付申請ができると公募要領に書かれています。申請内容を見直して、次の回に出し直すことができます。

導入したツールを途中で解約したら、どうなりますか。

導入したITツールを解約・利用停止した場合や、廃業などで補助事業を取りやめた場合は、辞退の手続きが必要です。一部のツールだけを解約する場合でも、辞退とみなされることがあります。ツールを入れ替えたい、解約したいというときは、先に事務局やIT導入支援事業者に確認してください。

電子申告で確定申告をしました。控えに受付番号が見当たらない場合はどうしますか。

公募要領は、税務署が受領したことが分かる書類として、(1) 第一表の控えに受付番号と受付日時が印字されているもの、(2) 第一表の控えと受信通知(メール詳細)の両方、のどちらかを求めています。どちらも用意できない場合は、第一表の控えと、同じ年分の納税証明書(その2 所得金額用)を提出すれば、必要な書類を満たせます。

ITツールの契約は、いつ行えばよいですか。

交付決定の通知を受けたあとです。ツールの選定、商談、見積りの依頼は、交付申請の前に行ってかまいませんが、契約・発注・納品・支払いを交付決定の前に行うと、補助金を受けられません。

申請したあとに、住所や代表者名が変わったらどうしますか。

交付申請の情報(住所や代表者名など)が変わったときは、速やかに申請マイページから変更申請を行います。事務局から指示があった場合は、その指示に従います。廃業など、交付決定を受けた内容が変わる場合は、IT導入支援事業者へ共有し、事務局へ報告します。

受け取った補助金には税金がかかりますか。

この記事では、税務の判断は書いていません。補助金の収入計上や圧縮記帳の可否などは、顧問の税理士や認定経営革新等支援機関に確認してください。

将来、法人にする予定です。影響はありますか。

公募要領のみなし同一法人の規定に、「過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人についても、同様の取扱いとする」という記載があります。法人化の予定があるときは、申請の前に事務局へ確認しておくと安心です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 個人事業主は、公募要領に「会社及び個人事業主」と書かれており、条件を満たせば申請できる。補助率・補助額の上限は法人と同じ
  • 個人事業主は従業員数で規模を判断し、個人事業主本人は従業員に数えない。従業員0人でも対象で、小規模事業者に当たる
  • 必要書類は4種類。運転免許証など、所得税の納税証明書、税務署が受領した確定申告書の控え(令和7年分)、青色申告決算書または収支内訳書
  • 先にGビズIDプライムを取得し、そのGビズIDでSECURITY ACTIONを宣言する。2026年3月以前の宣言は使えない
  • 補助金は後払いで、支払いは本人名義の口座またはカードの1回払い。交付決定の前の契約は対象外
  • 公募要領に書かれていない点や、税務・インボイスの判断は、事務局・税理士などの専門家に確認する

補助金は、対象かどうかより先に、書類と準備が整っているかが結果を左右します。制度の全体像は「デジタル化・AI導入補助金とは」、締切の最新情報は「デジタル化・AI導入補助金2026」で確認できます。

INTERCREATE JAPANはIT導入支援事業者ではないため、この補助金の申請手続きはお手伝いしていません。補助金の対象になりにくいホームページの制作や、補助金に頼らずに始められる小さな業務の効率化については、ご相談を承っています。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典