Claude

Claude Mythosとは?何がすごいか、Fableとの違いと使える条件を解説

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.15

この記事でわかること

  • Claude Mythosの位置づけと、読み方・名前の由来
  • Mythos Preview・Mythos 5・Mythos 5.1までの流れ
  • セキュリティの分野で何がすごいと言われているのか
  • 一般公開されない理由と、Fable 5.1との違い
  • Mythosを使える組織の条件と申し込みの流れ
  • 中小企業にとっての影響と、いまできる備え
目次
  1. Claude Mythosとは
  2. Anthropicの最上位クラスのモデル
  3. Claudeのモデルの並び
  4. 読み方と名前の意味
  5. FableとMythosは同じモデル
  6. 誤解されやすい点
  7. Previewから5.1までの流れ
  8. 2026年4月:Mythos PreviewとProject Glasswing
  9. 2026年6月:Fable 5とMythos 5
  10. 2026年9月:Fable 5.1とMythos 5.1
  11. 2026年10月:Cyber Verification Programの拡大
  12. 何がすごいのか
  13. ソフトウェアの弱点を見つける力
  14. 科学研究での力
  15. プログラミングの力
  16. 長い作業をやり切る力
  17. 一般公開されない理由
  18. 攻撃にも使えてしまう
  19. Fableに入っている安全対策
  20. Anthropicが目指していること
  21. 安全性の評価で分かっていること
  22. データの扱い
  23. Mythosを使える組織と申し込み方
  24. Cyber Verification Program(CVP)
  25. 使い方によって申し込み方が違う
  26. 申し込む前に考えておきたいこと
  27. Life Sciences Verification Program(LSVP)
  28. 対象は、いまは一部の米国の組織
  29. Claude Security
  30. 一般の会社はFable 5.1を使う
  31. Fable 5.1はMythos 5.1と同じモデル
  32. 公式発表で紹介された使われ方
  33. 業務での使いどころ
  34. プランごとの使い方
  35. Fable 5.1で安くなった点
  36. AIが書いた文章に入る「透かし」
  37. Opus 5.5との使い分け
  38. 中小企業への影響と、いまできる備え
  39. 古いソフトの弱点が見つかりやすくなる
  40. ホームページ・WordPressの更新を止めない
  41. 社内のパソコンとクラウドの基本対策
  42. 社員に伝えておきたいこと
  43. 社内でAIを使うときのルールも見直す
  44. 自社のシステムをAIで点検する
  45. 公的な資料・相談窓口を使う
  46. AIに点検を頼むときの進め方
  47. 制作会社・開発会社に確認したいこと
  48. 対策の担当と頻度を決める
  49. よくある質問
  50. まとめ

「Claude Mythos(ミトス)がすごいらしい」「ソフトの弱点を何千件も見つけたAIがある」というニュースを見て、何がそんなにすごいのか、自分の会社でも使えるのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。FableとMythosという2つの名前が出てきて、違いが分からないという声もよく聞きます。

先に結論を書くと、Claude MythosはAnthropicの審査を通った組織だけが使える、最上位クラスのAIモデルです。最新版のMythos 5.1は、一般向けに公開されているClaude Fable 5.1と中身は同じモデルで、違うのは安全対策(セーフガード)の強さだけです。一般の会社がClaudeのアプリやAPIで使うのは、Fable 5.1やOpus 5.5になります。

この記事では、Mythosの位置づけ、2026年4月のPreviewから5.1までの流れ、何がすごいのか、一般公開されない理由、使える組織の条件、そして中小企業にとっての影響と、いまできる備えまでを順に解説します。内容は2026年10月時点のAnthropicの公式発表とドキュメントをもとにしています。提供範囲は短い期間で変わってきたので、最新の状況は公式ページもあわせて確認してください。

Claude Mythosとは

セキュリティ担当者がノートPCで分析結果を確認している様子を、肩越しに見る構図

Anthropicの最上位クラスのモデル

Claude Mythosは、ClaudeをつくっているAnthropic社のAIモデルのうち、最も能力が高いクラスのモデルです。Anthropicは、OpusやSonnetよりさらに上のクラスを「Mythosクラス」と呼んでいて、一般向けのFableも同じクラスのモデルという位置づけです。

2026年10月時点の最新版は、2026年9月1日に公開されたClaude Mythos 5.1です。Anthropicの発表では、Fable 5.1とMythos 5.1を「コーディングと知的作業で世界で最も進んだモデル」と紹介しています。

Claudeのモデルの並び

Claudeには、能力と料金の違う複数のモデルがあります。2026年10月時点で一般に使える現行のモデルは、Haiku 5.5・Sonnet 5.5・Opus 5.5・Fable 5.1の4つで、Mythos 5.1はその外側に、審査を通った組織向けとして置かれています。

クラス現行のモデル位置づけ(公式の説明をもとに要約)使える人
MythosMythos 5.1Fable 5.1と同じモデル。セキュリティ防御・生命科学向けに一部の安全対策をゆるめたもの認証プログラムの参加組織
FableFable 5.1難しい推論や、長い時間をかける自律的な作業向け誰でも
OpusOpus 5.5長いプログラミング作業や知的作業向け。迷ったらこれ誰でも
SonnetSonnet 5.5速さと賢さのバランス型誰でも
HaikuHaiku 5.5大量の分類や抜き出しなど、速さが大事な作業向け誰でも

上のクラスほど賢い反面、回答に時間がかかり、料金も高くなります。どの仕事にも最上位のモデルが必要なわけではなく、仕事の難しさに合わせて選ぶのが基本です。

読み方と名前の意味

Mythosには、公式の日本語表記はありません。日本語の記事やSNSでは「ミトス」「ミュトス」などと書かれています。英語のmythosは、ギリシャ語で「語られるもの」「物語・神話」といった意味の言葉です。

一般向けモデルの名前「Fable」についても、Anthropicは発表の注記で、ラテン語のfabula(語られるもの)から来ていて、ギリシャ語のmythosに近い意味だと説明しています。つまり2つは、ほぼ同じ意味の言葉を選んで名づけられたモデルです。名前を分けた理由も同じ注記に書かれていて、「安全対策の違いが2つのモデルを分けるものであり、そのために別の名前をつけた」とされています。

FableとMythosは同じモデル

ここがいちばん混乱しやすい点です。Anthropicの発表では、Fable 5.1とMythos 5.1は同じモデルで、安全対策の強さが違うとはっきり書かれています。

  • Fable 5.1:誰でも使える一般向け。サイバー攻撃や生物・化学の分野で悪用されないよう、強めの安全対策が入っている
  • Mythos 5.1:審査を通った組織だけが使える。セキュリティ防御や生命科学の専門的な仕事に合わせて、一部の安全対策がゆるめてある

「Mythosの方が賢い別のモデル」と思われがちですが、中身の能力は同じです。違いは「どこまでの依頼に答えるか」の線引きにあります。

項目Claude Mythos 5.1
公開日2026年9月1日
モデルID(Claude API)claude-mythos-5-1
一度に扱える長さ100万トークン(出力は最大12.8万トークン)
API料金入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドル(Fable 5.1と同じ)
使える場所Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundry
使える人Anthropicの認証プログラム(Cyber Verification Programなど)で審査を通った組織だけ

誤解されやすい点

Mythosについては、SNSや古い記事の情報から、次のような誤解がよく見られます。

よくある誤解実際(2026年10月時点の公式情報)
MythosはFableより賢い別のモデルMythos 5.1とFable 5.1は同じモデル。違うのは安全対策の強さ
お金を払えば誰でも使える認証プログラムの審査を通った組織だけ。いまは一部の米国の組織に限られる
Mythosの料金はとても高い入力25ドル・出力125ドル(100万トークンあたり)だったのはPreviewの参加組織向け。Mythos 5.1はFable 5.1と同じ10ドル・50ドル
一般向けのモデルはセキュリティの仕事に使えない自社のコードの脆弱性探しやセキュリティレビューは、一般向けのモデルでもできる
攻撃に使うためのAIAnthropicは防御のために提供している。審査や利用規約で、使い道を防御の仕事に限っている

トークンは、AIが文章を処理するときの単位です。公式ドキュメントでは、100万トークンはおよそ250万文字に相当すると説明されています。

Previewから5.1までの流れ

会社員がノートPCでAIのニュースを時系列で読み比べている様子を、肩越しに見る構図

Mythosは、2026年4月の発表から半年ほどの間に、名前や提供範囲が何度か変わっています。検索して出てくる記事がどの時点の情報なのかを見分けられるよう、流れを整理します。

2026年4月:Mythos PreviewとProject Glasswing

最初に登場したのは、2026年4月7日に発表されたClaude Mythos Previewです。Anthropicはこのモデルについて、「ソフトウェアの弱点(脆弱性)を見つけて悪用する能力で、ごく一部の熟練者を除いて人間を上回る水準に達した」と説明しました。

そのうえで、このモデルを攻撃ではなく防御のために使う取り組みとしてProject Glasswingを立ち上げました。参加したのは、Amazon Web Services、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networks、Anthropicの12組織です。さらに、重要なソフトウェアを作ったり保守したりしている40以上の組織にも提供されました。

Anthropicは、Mythos Previewの利用に最大1億ドル分の利用クレジットを出し、オープンソースのセキュリティ団体に合計400万ドルを寄付すると発表しています。一方で、「Mythos Previewを一般公開する予定はない」と明言しました。

寄付の内訳は、Linux Foundationを通じたAlpha-OmegaとOpenSSFへの250万ドルと、Apache Software Foundationへの150万ドルです。オープンソースのソフトは多くの会社のシステムの土台になっていますが、保守を少人数のボランティアが担っていることも多く、見つかった脆弱性に対応する人手を支える目的とされています。

見つかった脆弱性の扱い方にも特徴があります。Anthropicは、すでに修正された一部の脆弱性だけ技術的な詳細を公開し、まだ修正されていないものについては、内容を暗号化した「ハッシュ値」だけを先に公開しました。修正が終わった後で中身を明かす、という方法です。直す前に詳細を広めると攻撃に使われてしまうため、こうした段取りがとられています。

参加組織向けの料金は、クレジットの期間が終わった後、入力100万トークンあたり25ドル、出力100万トークンあたり125ドルとされていました。

2026年6月:Fable 5とMythos 5

2026年6月9日には、Claude Fable 5とClaude Mythos 5が同時に発表されました。Fable 5は「一般に使えるよう安全にしたMythosクラスのモデル」、Mythos 5は「同じモデルで、一部の分野の安全対策を外したもの」です。Mythos 5はまずProject Glasswingの参加組織に、Mythos Previewの後継として提供されました。

料金は、2つとも入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルで、Mythos Previewの半分以下に下がりました。

このときFable 5の安全対策は、安全に早く公開することを優先して、かなり慎重に調整されていました。Anthropicは、無害な依頼まで止めてしまうことがあるものの、止まるのは平均で全体の5%未満の利用だと説明しています。生物・化学に関する依頼の多くは、Fableではなく、ひとつ下のOpus 4.8が答える形でした。

Mythos Previewを使っていた組織は、そのままMythos 5に切り替えられるようになりました。Anthropicは、Mythos 5はほとんどの場面でPreviewと同等か少し強く、料金は大幅に安いと説明しています。

あわせて、生命科学の研究者向けに、生物・化学の安全対策を外したモデルを使える仕組みを作る計画も発表されています。これが、のちのLife Sciences Verification Programにつながります。

Claudeの有料プランでの扱いは段階的でした。発表時の案内では、6月22日まではPro・Max・Team・席単位のEnterpriseで追加料金なしで使え、6月23日以降は使用量クレジットが必要になる予定とされていました。APIと従量課金のEnterpriseでは、発表の日から制限なく使えました。

ただし発表から3日後の6月12日、AnthropicはFable 5とMythos 5の提供を一時停止しました。7月1日に提供が再開されています。停止の理由は、公式の発表ページには書かれていません。

2026年9月:Fable 5.1とMythos 5.1

2026年9月1日に公開されたのが、現在の最新版であるFable 5.1とMythos 5.1です。Fable 5.1はAWS・Google Cloud・Microsoft Azureを含むすべての提供先で公開され、Mythos 5.1は信頼できる組織向けのアクセスプログラム(認証プログラム)を通じてだけ提供されています。

Fable 5.1では、キャッシュ(一度読み込んだ内容の再利用)の料金が75%下がり、Anthropicは一般的な使い方でFable 5より約25%安くなると説明しています。また、安全対策の誤判定を減らし、サイバーセキュリティの分野では誤判定が60%少なくなったとしています。

2026年10月:Cyber Verification Programの拡大

2026年10月6日には、セキュリティの専門家向けの認証プログラムCyber Verification Program(CVP)が拡大されました。Defense Access・Red Team Access・Specialized Accessの3段階になり、どの段階でもOpus 5.5・Sonnet 5.5・Mythos 5.1などの最新モデルが使えます。Project Glasswingの参加組織は、いちばん上のSpecialized Accessに移ると発表されています。

時期出来事Mythosを使える人
2026年4月7日Mythos PreviewとProject Glasswingを発表Glasswingの参加12組織と、40以上の組織
2026年6月9日Fable 5(一般向け)とMythos 5を発表Glasswingの参加組織(Previewからの切り替え)
2026年6月12日Fable 5・Mythos 5の提供を一時停止—
2026年7月1日提供を再開Glasswingの参加組織
2026年9月1日Fable 5.1とMythos 5.1を公開認証プログラムの参加組織(現在は一部の米国の組織)
2026年10月6日CVPを3段階に拡大。Mythos 5.1を対象にCVPで審査を通った組織

記事の日付とバージョン名を確かめる

「Claude Mythos」で検索すると、2026年4月のMythos Preview発表時点の記事もまだ多く出てきます。PreviewとMythos 5.1では、料金も提供範囲も違います。情報を参考にするときは、記事の日付と、どのバージョンの話なのかを確かめてください。

何がすごいのか

エンジニアと担当者が並んでPCの画面を見ながら、プログラムの弱点の一覧を確認している

Mythosが大きな話題になった理由は、主に3つあります。ここでは、Anthropicが公式に発表した内容だけを紹介します。

ソフトウェアの弱点を見つける力

いちばん注目されたのは、ソフトウェアの脆弱性(攻撃に使われるおそれのある弱点)を見つける力です。Anthropicの発表によると、Mythos Previewは数週間のうちに、主要なOSと主要なWebブラウザのすべてで、開発元も知らなかった深刻な脆弱性を数千件見つけました。公式に紹介されている例は次のとおりです。

  • セキュリティが堅いことで知られるOS「OpenBSD」で、27年間見つかっていなかった脆弱性。接続するだけで相手のマシンを停止させられるものだった
  • 動画の変換に広く使われているソフト「FFmpeg」で、16年間見つかっていなかった脆弱性。自動テストのツールが該当の行を500万回実行しても見つけられなかった
  • 多くのサーバーで動いているLinuxのカーネルで、複数の脆弱性を組み合わせて、一般ユーザーの権限から機械を完全に乗っ取れることを見つけた

これらはすべて開発元に報告され、修正済みとされています。ほぼすべてを人の手助けなしに見つけた、という点も強調されていました。

どれも、ふだん意識することのない「土台のソフト」です。FFmpegは動画を扱う多くのアプリやWebサービスの中で使われていますし、Linuxは会社のホームページを置いているサーバーや、クラウドサービスの裏側でも広く動いています。こうした土台のソフトに弱点があると、その上で動くたくさんのサービスに影響が広がります。Mythosの発見が大きく報じられたのは、このためです。

こうした「開発元もまだ知らない脆弱性」は、ゼロデイ脆弱性と呼ばれます。修正版がまだないため、見つけた人が悪用すれば防ぎようがありません。これまでは、ゼロデイ脆弱性を見つけるには、ごく限られた専門家が長い時間をかける必要がありました。Anthropicは、最新のAIによって、脆弱性を見つけて悪用するために必要な費用・手間・専門知識が大きく下がったと説明しています。

科学研究での力

Mythosの力はセキュリティだけではありません。Fable 5・Mythos 5の発表では、生命科学の研究での成果も紹介されています。

  • 社内のタンパク質設計の専門家がMythos 5を使ったところ、医薬品の設計工程の一部が約10倍速くなった
  • 分子生物学の新しい仮説をMythos 5とOpusクラスのモデルに出させ、どちらのモデルの案か分からない状態で比べたところ、研究者は約80%の場合でMythosの仮説を選んだ
  • 1週間以上ほぼ自律的に作業し、138種の動物の数百万個の細胞のデータをまとめて、独自の機械学習モデルを作った

2026年9月のMythos 5.1・Fable 5.1の発表でも、研究での例が紹介されています。

  • Mythos 5.1に公開されているタンパク質設計の道具を使わせたところ、薬の候補となる「標的にくっつくタンパク質」を設計でき、12の標的で、設計したもののうち使えるものの割合が50%近くに達した。発表では、一般的には10〜15%程度とされている
  • Mythos 5.1は、生物学の研究で使われる7つの公開の機械学習モデルを、結果を変えずに最大2.5倍速くした。通常は専門の技術者のチームが数週間かける作業を、数日で終えたとされている
  • Fable 5.1は、30年以上前の探査機のレーダー画像などをもとに、金星の3分の1の範囲の詳しい地形図を作った

こうした力は、新しい治療法の研究を速める一方で、使い方によっては危険なウイルスの設計などにもつながりかねません。生物・化学の分野でも安全対策が分けられているのは、このためです。

プログラミングの力

脆弱性を見つける力は、プログラムを読んで理解し、書く力の高さから来ています。Mythos Previewの発表では、プログラミングの課題をどれだけ解けたかを測るテスト(ベンチマーク)で、それまでの最上位モデルだったOpus 4.6を大きく上回る数字が示されました。

長い作業をやり切る力

Fable 5とMythos 5の発表では、「これまでのClaudeのどのモデルよりも長く、自律的に作業できる」と説明されています。作業が長く複雑になるほど、ほかのモデルとの差が大きくなるとされています。Mythos 5.1の発表でも、ターミナル(文字で操作する画面)での長いプログラミング作業を測るテストで、最も高い数字が示されています。

テストの内容Mythosの結果比べた相手発表
実際のソフトの不具合を直す課題(SWE-bench Verified)93.9%(Mythos Preview)80.8%(Opus 4.6)2026年4月
より難しい不具合修正の課題(SWE-bench Pro)77.8%(Mythos Preview)53.4%(Opus 4.6)2026年4月
既知の脆弱性を再現する課題(CyberGym)83.1%(Mythos Preview)66.6%(Opus 4.6)2026年4月
ターミナルでの長い作業(Terminal-Bench 4.0)60.9%(Mythos 5.1)55.8%(Fable 5.1)、52.3%(Opus 5)、42.0%(Fable 5)2026年9月

このほかにもMythos Previewの発表では、大学院レベルの科学の問題(GPQA Diamond)で94.6%(Opus 4.6は91.3%)、さまざまな分野の非常に難しい問題を集めたテスト(Humanity's Last Exam)で、道具なしで56.8%(Opus 4.6は40.0%)といった数字が示されています。ただしHumanity's Last Examについては、Anthropic自身が「思考を浅くしても成績がよく、問題を覚えている可能性がある」と注記しています。

Terminal-Bench 4.0でMythos 5.1とFable 5.1の数字が違うのは、モデルの能力の差ではありません。Anthropicは、同じモデルなので、差はFableの安全対策が作業を止めた課題の分だと説明しています。安全対策の改善によって、この差はもっと小さくなる見込みだとしています。

ベンチマークは条件つきの比較

ベンチマークの数字は、決まった課題・決まった条件で測ったものです。Anthropic自身も、一部の課題には学習データとして見たことがある問題が含まれる可能性を注記しています。数字が高いからといって、自社の業務でそのまま同じだけ役に立つとは限りません。実際の仕事で使えるかどうかは、自社の作業で試して判断してください。

一般公開されない理由

会議室で担当者がノートPCの資料を見ながら、セキュリティのルールを上司に説明している

攻撃にも使えてしまう

Mythosが一般公開されない最大の理由は、脆弱性を見つける力が、そのまま攻撃にも使えてしまうことです。弱点を見つけて直すのは防御ですが、同じ弱点を見つけて悪用すれば攻撃になります。

AnthropicはProject Glasswingの発表で、AIの進歩の速さを考えると、こうした能力が安全に使う意思のない人たちにも広がるまで長くはかからないと述べています。だからこそ、まずは防御側に先に使ってもらい、重要なソフトウェアの弱点を先回りして直す、という順番をとっています。

Fableに入っている安全対策

一般向けのFableには、危険な依頼を判定する仕組み(分類器)が入っています。判定に引っかかった依頼には、Fableではなく、ひとつ下のクラスのOpusモデルが答えます。Fable 5.1の発表によると、安全対策の主な内容は次のとおりです。

  • サイバーセキュリティ:Fable 5.1では、ソフトウェアの脆弱性を見つける作業(防御のための仕事)には使えるようになった。ただし、攻撃コード(エクスプロイト)の作成、侵入テスト、実行ファイルからの脆弱性探しなど、良くも悪くも使える作業はOpusモデルに回される
  • 生物・化学:基礎的な生物や医療の質問は答えるようになったが、生命科学の研究開発に関する依頼はOpusモデルに回される
  • 蒸留(モデルの能力を抜き出す行為):Fableの能力を不正に抜き出そうとする使い方を防ぐ仕組みが強化された

蒸留への対策として、Fable 5.1の公開日以降に作られた新しいAPIアカウントでは、会話の途中でClaudeの過去の発言を書き換えつつ、Claudeの考えた過程(思考の記録)を残したまま続ける、という使い方ができなくなりました。既存のアカウントには今のところ影響がないものの、今後のモデルではすべての利用者に適用されると発表されています。自社でAPIを使った仕組みを作っている場合は、開発の担当者に影響がないか確認しておくと安心です。

Mythosは、こうした安全対策のうち、セキュリティ防御や生命科学の専門的な仕事に関わる部分をゆるめたものです。ほかの安全対策は残っていて、利用規約(Usage Policy)もすべて適用されます。

Anthropicが目指していること

AnthropicはProject Glasswingの発表で、Mythos Previewを一般公開する予定はないとしたうえで、「最終的な目標は、Mythosクラスのモデルを多くの利用者が安全に使えるようにすること」だと書いています。そのためには、モデルの最も危険な使い方を見つけて止める安全対策を、さらに進める必要があるという考えです。

実際に、Mythos Preview(一般公開なし)→Fable 5(強い安全対策つきで一般公開)→Fable 5.1(安全対策の誤判定を減らし、脆弱性探しにも使えるように)と、一般の人が使える範囲は少しずつ広がってきました。今後も、安全対策が改善されるにつれて、FableでできることとMythosでできることの差は小さくなっていく可能性があります。

安全性の評価で分かっていること

Mythos 5.1の発表では、モデルの安全性の評価結果も公開されています。悪意のある依頼やプロンプトインジェクション(AIが読み込む文章の中に仕込まれた、だますための指示)への強さについては、悪意のあるプログラミング作業やパソコン操作の依頼を断る割合は以前のモデルと同程度で、外部のプロンプトインジェクションのテストではこれまでで最も強いモデルだったとされています。

一方で、承認の仕組みや、自動で安全を確かめる仕組み(オートモードの分類器)を、まれにすり抜けることがあるとも書かれています。AIに作業を任せるときは、モデルが賢くなっても、人が確認する工程や、触れてよい範囲の制限を残しておくことが大切です。

データの扱い

Anthropicは2026年6月のFable 5・Mythos 5の発表で、Mythosクラスのモデルを業務で使う通信について、30日間のデータ保存を必須にすると発表しました。新しい攻撃手口を見つけたり、誤判定を減らしたりするためで、このデータはモデルの学習には使わないと説明されています。

その後、Fable 5.1の発表では、企業の顧客が自社のクラウドにデータを保存したまま悪用対策を受けられる「Enterprise Frontier Safeguards(EFS)」を、2026年秋から段階的に提供すると発表しています。EFSが使えるようになるまでは、対象の顧客はデータを保存しない契約(ゼロデータ保持)でFable 5.1を使えるとされています。

EFSは、金融・医療・製造・通信・法律・小売・公共などの業界の100社以上の顧客や、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureと協力して作られたと説明されています。Claude Code、Claude Enterprise、Claude Platform、Amazon Bedrock、Microsoft Foundryなどで使えるようになる予定です。人によるデータの確認も、基本的にはAnthropicではなく顧客自身が行う仕組みとされています。

Fable 5.1Mythos 5.1
モデルの中身同じモデル
使える人誰でも(Claudeのアプリ・API・各クラウド)認証プログラムで審査を通った組織だけ
安全対策サイバー・生物・化学の分野で強め。引っかかった依頼はOpusが答えるセキュリティ防御・生命科学の仕事に合わせて一部をゆるめている
API料金入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドル
Claudeのアプリでの利用Pro・Max・Team・Enterpriseで利用できる(条件はプランごとに違う)認証プログラムの対象になった組織のみ
使える場所Claude API、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなどすべての提供先Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundry

Mythosを使える組織と申し込み方

担当者がノートPCで申請フォームに会社の情報を入力している様子を、肩越しに見る構図

Mythos 5.1は、Anthropicの認証プログラムを通じて提供されています。2026年10月時点で公式に案内されているプログラムは次の2つです。

Cyber Verification Program(CVP)

CVPは、防御のためのセキュリティの仕事をしている専門家向けのプログラムです。一般向けのモデルでも、自社のソースコードの脆弱性探し、コードのセキュリティレビュー、既知の問題の修正、セキュリティの警告の仕分けなどはできます。一方で、マルウェアの解析や、攻撃が本当に成立するかの検証といった仕事は、安全対策で止められることがあります。こうした仕事をしている人が申し込むのがCVPです。

一般向けのモデルでできること、止められることがあること、CVPの対象になる仕事を、公式の説明をもとに整理すると次のようになります。

セキュリティの仕事一般向けのモデル(Fable 5.1など)
自社のソースコードの脆弱性探しできる
コードのセキュリティレビューできる
脅威の洗い出し(どんな攻撃が考えられるかの整理)できる
既知の問題の修正、セキュリティの警告の仕分けできる
マルウェアの解析、攻撃が成立するかの検証安全対策で止められることがある
侵入テスト、攻撃コードの作成、実行ファイルからの脆弱性探しFable 5.1ではOpusモデルに回される

中小企業が自社のサイトやシステムを守るための点検は、表の上半分で足りることがほとんどです。CVPは、セキュリティ会社や、社内に専門のセキュリティチームを持つ組織向けのプログラムと考えてよいでしょう。

公式ヘルプによると、申し込みのポイントは次のとおりです。

  • Defense Access・Red Team Access・Specialized Accessの3段階がある。申し込みは1回で、審査の内容に応じていちばん高い段階に割り当てられる
  • 組織で1回だけ申し込む。社員が個別に申し込む必要はなく、組織の管理者が対象の席を割り当てる
  • 独立した研究者、オープンソースの保守担当者、バグ報奨金の参加者は個人として申し込める。ただし、個人で申し込めるのはDefense Accessだけ
  • 審査の結果は、7営業日以内を目安にメールで連絡される
  • 承認後も利用規約はすべて適用され、Anthropicは許可を見直したり、取り消したりすることがある

また、CVPで得た利用の許可は、自社のコード・製品・インフラのセキュリティの仕事に使うものとされています。お客様のコードやシステムを調べるサービスに使うなど、他社向けの製品やサービスにする場合は、別の申請と承認が必要です。

使い方によって申し込み方が違う

CVPは、Claudeをどこから使っているかによって、申し込みと有効化の手順が少しずつ違います。公式ヘルプの内容をまとめると次のとおりです。

Claudeの使い方申し込み承認後の作業
Claude.ai・Claude Code・Anthropic APIAnthropicのアカウントで認証ポータルから申し込むAPIはワークスペースに、Enterpriseは役割に割り当てる。Team・Max・Proは作業なし
Claude Platform on AWS・Google Cloud・Microsoft Foundry認証ポータルでクラウドのアカウントをつないでから申し込むつないだアカウントに反映される。AWSではMythosの利用開始は承認からおよそ5営業日後
Amazon BedrockEnterprise Frontier Safeguardsを使っている顧客のみつないだアカウントで、承認された段階を有効にする
Claudeを使ったほかのツールそのツールの提供元から登録用のリンクをもらう(対応しているツールのみ)Defense AccessとRed Team Accessだけ。Specialized Accessは使えない

また、段階ごとにセキュリティの要件が決められています。たとえばDefense Accessでは、2026年12月15日までに、フィッシングに強い多要素認証に切り替え、APIキーの利用をやめる必要があるとされています。それまでの間は何らかの多要素認証が必須で、APIキーは7日ごとに期限が切れます。

申し込む前に考えておきたいこと

CVPは、日々セキュリティの専門的な仕事をしていて、一般向けのモデルでは作業が止まってしまう組織のためのものです。申し込むには、セキュリティの仕事の内容を説明し、段階ごとのセキュリティ管理の要件を守ることを誓約する必要があります。承認後も、許可が見直されたり取り消されたりすることがあります。

自社のサイトや社内システムの安全を確かめたい、という目的であれば、まず一般向けのモデルでの点検や、専門の会社によるセキュリティ診断を検討するのが現実的です。「Mythosを使うこと」そのものを目的にせず、何を守りたいのか、どの作業で困っているのかから考えましょう。

Life Sciences Verification Program(LSVP)

LSVPは、生命科学の研究開発をしている専門家向けのプログラムです。米国政府と連携して始まり、最初の参加者の受け入れが始まっています。Anthropicは、今後、生命科学の分野に広く参加を広げる予定だとしています。研究者向けの受け付けをいつ始めるかは、公式には「まもなく」とされているだけです。

対象は、いまは一部の米国の組織

Mythos 5.1の発表では、現在は一部の米国の組織にだけ提供されていると書かれています。米国政府と調整しながら、国内外のより多くの組織に広げていくとされていますが、時期は示されていません。日本の組織が対象になる時期についても、公式の案内はありません。

Claude Security

Mythosを直接使わなくても、Mythosクラスの力をセキュリティ診断に使える製品があります。Claude Securityは、GitHubのリポジトリをつなぐと、コード全体の脆弱性を調べ、見つかった問題を検証したうえで、修正案を出してくれる製品です。製品ページによると、診断はMythos 5.1で行われます。

2026年10月時点では、Claude Enterprise向けの公開ベータ版で、管理者が管理画面から有効にして使います。修正案は自動で反映されず、必ず人が確認して承認する仕組みです。製品ページのよくある質問では、メモリの不正な書き換え、外部からの不正な命令の入り込み(インジェクション)、認証のすり抜け、複雑な処理の誤りなど、深刻度の高い脆弱性を重点的に探すと説明されています。結果はSlackやJiraに送ったり、定期的な診断を予約したりすることもできます。Claude Code向けのプラグイン版もベータで公開されていますが、こちらはMythosではなく、そのアカウントで使えるモデルで動くと説明されています。

あわせて読みたいClaude Codeのセキュリティ対策|権限・サンドボックス・学習設定を解説Claude Codeは手元のファイルを書き換え、コマンドを実行できるため、使い方を決めずに導入すると誤操作や情報漏えいが心配です。標準の安全機能、権限モードと権限ルール、サンドボックス、データの扱いと学習設定、脆弱性やMCPへの備え、会社で決めるルールを公式情報でまとめました。

CVPに申し込む場合の、おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 用途がプログラムに合うか確かめる自社のコードやシステムを守るためのセキュリティの仕事で、一般向けのモデルでは止められてしまう作業があるかを整理します。
  2. 組織の管理者が申し込むAnthropicのアカウントで認証ポータル(Verification Portal)にログインし、「Programs」から「Cyber Verification Program」を選んで申し込みます。AWSやGoogle Cloud、Microsoft Foundry経由で使う場合は、先にそのアカウントをつなぎます。
  3. 必要な情報を出す組織と申し込む人の情報、セキュリティの仕事の内容、希望する段階で求められるセキュリティ管理への誓約を提出します。
  4. 審査を待つ7営業日以内を目安に、結果か追加の質問がメールで届きます。
  5. メンバーに割り当てる承認されたら、組織の管理者がワークスペースや役割にプログラムを割り当てます。Team・Max・Proでは組織単位で自動的に付きます。

「Mythosが使える」とうたうサービスに注意

Mythosは審査を通った組織だけが使えるモデルです。公式の提供先は、Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryなどに限られています。「誰でもMythosが使える」とうたう非公式のサービスや、APIの利用権の転売には注意してください。ほかのツールからCVPを使う場合も、そのツールがCVPに対応していて、Anthropicの案内する手順で登録する必要があります。

一般の会社はFable 5.1を使う

会社員がノートPCでClaudeのモデル選択メニューを開いて選んでいる様子を、肩越しに見る構図

Mythosを使えない一般の会社でも、同じモデルであるFable 5.1は使えます。セキュリティの専門的な仕事でなければ、ふだんの業務でMythosとの差を感じる場面はほとんどないはずです。

Fable 5.1はMythos 5.1と同じモデル

Fable 5.1は、Claudeのアプリ(claude.ai)・Claude Code・Claude API に加えて、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureなど、すべての提供先で使えます。APIのモデルIDはclaude-fable-5-1です。Anthropicは、Fable 5.1をコーディング、資料づくりなどの知的作業、長い時間をかける問題解決で、新しい基準になるモデルだと説明しています。

なお、思考の深さ(effort)の初期設定は使う場所で違い、Claude Codeでは「High」、Claude CoworkとClaude.aiでは「Medium」になっていると発表されています。Anthropicは、Fable 5.1の思考の深さを「Low」や「Medium」にしても、Fable 5と同じかそれ以上の結果を、ずっと少ない費用で出せると説明しています。簡単な作業では思考の深さを下げる、という調整も費用を抑える方法のひとつです。

公式のモデル一覧によると、Fable 5.1が知識として持っている情報は2026年6月までで、提供の終了は2027年9月1日より前にはならないとされています。社内の仕組みに組み込む場合は、こうした提供期間も確認しておくと、あとで慌てずに済みます。

公式発表で紹介された使われ方

Fable 5.1の発表では、先行して試した企業のコメントが紹介されています。いくつか例を挙げます(いずれもAnthropicの発表ページに掲載された各社のコメントの要約です)。

  • Millennium(投資会社):100万回に1回ほどしか起きない、4〜5年原因が分からなかったシステムの停止について、Fable 5.1が初めて原因を突き止めた。外部の部品を分解して調べ、その部品の不具合だと特定した
  • Red Hat:Claude Codeで使ったところ、試したすべての「ビルドが通らない問題」の根本原因を正しく見つけた。経過の報告も簡潔で分かりやすくなった
  • MongoDB:社内のサービスのコードと資料を調べたうえで設計をまとめ、何時間も人の手を借りずに試作品を作り上げた
  • Hebbia:PowerPointの資料づくりの評価で、これまで試したモデルの中で最もよい資料を作った

どれも大企業の開発や分析の現場での例ですが、「原因がなかなか分からない不具合の調査」「資料をまとめて形にする作業」「長い時間をかける試作」など、Fable 5.1が得意とする仕事の傾向は読み取れます。

業務での使いどころ

中小企業の業務で考えると、Fable 5.1とほかのモデルの使い分けは、次のような目安になります。

仕事の例向いているモデル理由
メールの下書き、文章の言い換え、短い要約Sonnet 5.5速く、使用量も少ない。最上位のモデルを使うほどの難しさはない
資料づくり、データの集計、社内ツールの修正Opus 5.5公式も「迷ったらこれ」としている。多くの業務はここで足りる
原因の分からない不具合の調査、大きなプログラムの作り直しFable 5.1難しい推論や、長い時間をかける作業で差が出やすい
大量の問い合わせの分類、書類からの項目の抜き出しHaiku 5.5件数が多い作業では、速さと料金の安さが効く

Fable 5.1は、回答に時間がかかり、使用量も多く消費します。まずOpus 5.5で試して、うまくいかない仕事だけFable 5.1に切り替える、という順番にすると無駄がありません。

プランごとの使い方

Claudeの料金ページでは、Fableの扱いはプランによって次のようになっています。

  • Free:使えない
  • Pro:使用量クレジット(追加で購入する使用量)で使う
  • Max 5x・Max 20x:週の利用上限の50%まで使える
  • Team:プレミアムシートで、週の利用上限の50%まで使える
  • Enterprise:使える

Fable 5のときは、公開直後の一定期間だけ有料プランで追加料金なしで使える形がとられ、その後は条件が変わりました。プランでの扱いは変わりやすいので、契約や切り替えの前に料金ページで最新の条件を確認してください。

Fable 5.1で安くなった点

Fable 5.1は、入力・出力の料金はFable 5と同じですが、キャッシュの読み込み料金が75%下がり、100万トークンあたり0.25ドルになりました。キャッシュは、同じ資料や会話の前半など、一度読み込んだ内容を再利用する仕組みです。AIに長い作業を任せると、同じ内容を何度も読み直すため、キャッシュの読み込みが料金の多くを占めます。

Anthropicは、2026年8月の実際の利用データをもとに、一般的な使い方でFable 5より約25%、道具を多く使う長い作業では最大で約45%安くなると試算しています。これは使用量に応じて料金がかかるAPIなどでの話で、月額のプランの料金が変わるわけではありません。

AIが書いた文章に入る「透かし」

Fable 5.1の発表では、EUのAI法に関連する対応も説明されています。Anthropicは2026年7月に、AIが作った文章の透明性に関する行動規範に署名し、2026年8月2日より後に公開したモデルの出力に、目に見えない透かし(ウォーターマーク)を入れることになりました。

この透かしは、検出用の仕組みを持っている人以外には見えず、文章の質や内容には実質的に影響しないとされています。利用者や組織、会話の内容に関する情報も含まれていません。検出の仕組みは、規制当局や報道機関、研究者など、EUの法律で求められる組織を対象に限定公開が始まっています。

Opus 5.5との使い分け

公式のモデル一覧では、「どれを使うか迷ったら、まずOpus 5.5から」と案内されています。そのうえで、難しい推論や長時間の自律的な作業、Opus 5.5で思考を深くしても足りないときにFable 5.1を使う、という考え方です。

モデル向いている仕事API料金(入力/出力、100万トークンあたり)個人向けプランでの扱い
Fable 5.1難しい推論、長時間の自律的な作業10ドル/50ドルProは使用量クレジット、Maxは週の上限の50%まで
Opus 5.5長いプログラミング作業や知的作業。迷ったらこれ4ドル/20ドルPro・Maxで使える
Sonnet 5.5速さと賢さのバランスがよい日常の作業2ドル/10ドルFree・Pro・Maxで使える
Haiku 5.5大量の分類・抜き出しなど、速さが大事な作業0.10ドル/0.50ドルからFree・Pro・Maxで使える

たとえば、入力10万トークン・出力1万トークンの作業を1回APIで頼むと、公式の基本料金で計算した場合、Fable 5.1では1.5ドル、Opus 5.5では0.6ドル、Sonnet 5.5では0.3ドルになります(キャッシュや一括処理の割引は含めていません)。APIの料金は、同じ作業でもモデルによって数倍の差があります。社内の仕組みにAIを組み込む場合は、まずSonnetやOpusで試し、それで足りない工程だけFableを使う、という組み合わせにすると費用を抑えやすくなります。

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中小企業への影響と、いまできる備え

小さな会社の事務所で、担当者がノートPCで自社サイトの更新状況を確認している

「Mythosは大企業やセキュリティ会社の話で、うちには関係ない」と思うかもしれません。しかし、AIで脆弱性が見つかる速さが上がることは、中小企業のサイトや社内のパソコンにも関係します。

古いソフトの弱点が見つかりやすくなる

Mythos Previewが見つけた脆弱性の中には、27年前や16年前から残っていたものがありました。長い間だれにも気づかれなかった弱点が、AIによって短い期間で次々と見つかるようになっている、ということです。

見つかった弱点は、開発元が修正版(アップデート)を出して直します。逆に言えば、修正版が出ているのに更新していないソフトは、弱点が知られた状態のままになります。Project Glasswingに参加したPalo Alto Networksは、公式ページに寄せたコメントで「攻撃する側も、より多くの未知の脆弱性を見つけ、より速く攻撃方法をつくれるようになる」と指摘しています。更新を後回しにすることの危うさは、これまでより大きくなると考えておいた方がよいでしょう。

ホームページ・WordPressの更新を止めない

中小企業でいちばん身近なのが、自社のホームページです。WordPressなどのCMS(ホームページを更新するための仕組み)を使っている場合は、次の点を確認しておきましょう。

  • WordPress本体、テーマ、プラグインを最新の状態にしているか
  • 使っていないプラグインやテーマが入ったままになっていないか(使わないものは削除する)
  • 管理画面のパスワードが使い回しになっていないか。可能なら二段階認証を設定しているか
  • 制作会社に任せている場合、保守の契約に更新作業が含まれているか

「数年前に作ってもらって、それから一度も触っていない」というサイトは、更新が止まっている可能性があります。まずは、誰が更新の担当なのかをはっきりさせることから始めてください。

社内のパソコンとクラウドの基本対策

社内のパソコンやクラウドサービスでも、基本の対策で防げることは多くあります。

  • WindowsやmacOS、Webブラウザの自動更新をオンにしておく
  • メールやクラウドストレージ、会計ソフトなどのクラウドサービスで、多要素認証(パスワードに加えてスマホの確認などを使う仕組み)を設定する
  • 退職者や使っていないアカウントを、決まったタイミングで止める
  • 大事なデータのバックアップを、普段使う環境とは別の場所にとっておく

社員に伝えておきたいこと

対策は、担当者だけでなく社員一人ひとりの行動にも左右されます。難しい話をする必要はなく、次の3つを全員に伝えておくだけでも効果があります。

  • パソコンやスマホの更新の通知が出たら、後回しにせず早めに適用する
  • 心当たりのないメールの添付ファイルやリンクは開かない。取引先を名乗るメールでも、いつもと違う依頼は電話などで確かめる
  • 「おかしい」と思ったら、自分で何とかしようとせず、すぐに担当者へ知らせる

社内でAIを使うときのルールも見直す

AIが賢くなるほど、社内でAIを使う場面も増えます。AIそのものが原因の事故を防ぐために、次のようなルールも決めておきましょう。

  • パスワード、APIキー、顧客の個人情報をAIに入力しない
  • 会社の業務では、社員の個人契約ではなく、会社で管理できるプラン(TeamやEnterpriseなど)を使う
  • AIに作業を任せるときは、触れてよいフォルダやシステムの範囲を絞る
  • AIが作った文書やプログラムは、人が確認してから社外に出したり、本番に反映したりする
  • 「AIが使える」とうたう見慣れないツールやサービスは、導入前に提供元と利用規約を確認する

自社のシステムをAIで点検する

自社でシステムや業務ツールを開発している場合は、AIを使って点検する選択肢もあります。CVPのページでも、一般向けのモデルで自社のソースコードの脆弱性探しやセキュリティレビューができると案内されています。Claude CodeやClaude Securityのような道具を使えば、専門のセキュリティ担当者がいない会社でも、まず自社のコードに問題がないかを調べてもらうことができます。

ただし、AIの指摘や修正案は間違っていることもあります。Claude Securityの製品ページでも、特に重要なシステムでは修正案を必ず確認してから反映するよう注意書きがあります。指摘を鵜呑みにせず、開発を担当した人や外部の専門家と一緒に確認する体制を作っておきましょう。

公的な資料・相談窓口を使う

何から手をつければよいか分からない場合は、IPA(情報処理推進機構)が公開している資料や窓口が参考になります。

  • 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン:中小企業向けに、取り組むべき対策をまとめた資料です。2026年3月27日に第4.0版が公開されています
  • SECURITY ACTION:中小企業が、情報セキュリティ対策に取り組むことを自分で宣言する制度です。取り組みの段階に応じて「一つ星」「二つ星」があり、2026年4月から申し込みの仕組みが新しくなっています。対策の目標を決めるきっかけとして使えます
  • 企業・組織向けのサイバーセキュリティ相談窓口:ウイルス感染や不正アクセスなどの技術的な相談ができる窓口です

IPAは2026年10月9日にも、不正アクセスによる情報漏えいの公表が相次いでいることを受けて、すぐに実施すべき対策の注意喚起を出しています。AIの話題とは別に、こうした最新の注意喚起にも目を通しておきましょう。

AIに点検を頼むときの進め方

自社のプログラムをAIで点検するときは、いきなり本番の環境で直させるのではなく、次の順で進めると安全です。

  1. 点検する範囲を決める社外に公開しているWebサイトや、顧客の情報を扱う部分など、問題があったときの影響が大きいところから優先します。
  2. コピーで点検する本番のサーバーではなく、ソースコードのコピーや検証用の環境で点検させます。パスワードやAPIキーなどの秘密の情報は、AIに渡す前に取り除いておきます。
  3. 指摘を一覧にしてもらう「深刻度・場所・なぜ問題か・直し方の案」を一覧で出してもらい、すぐに直させずに中身を確認します。
  4. 人が確認して直す開発の担当者が指摘の内容を確かめ、本当に問題があるものから修正します。修正後は、動作に影響がないかをテストします。
  5. 定期的に繰り返す大きな変更をしたときや、使っている部品(ライブラリ)を更新したときに、同じ流れで点検します。

制作会社・開発会社に確認したいこと

ホームページや業務システムを外部に任せている場合は、次の点を一度確認しておくと安心です。

  • 保守の契約に、ソフトや部品の更新作業が含まれているか。含まれていない場合、誰がいつ更新するのか
  • 脆弱性が公表されたとき、どのくらいの期間で対応してもらえるのか
  • サーバーや管理画面のアカウントを、誰が持っているか(退職した担当者のアカウントが残っていないか)
  • バックアップはどこに、どのくらいの期間分とってあるか。戻す手順は決まっているか
  • AIを使った開発や点検をしている場合、自社のコードや情報をどのように扱っているか

対策の担当と頻度を決める

対策は、一度やって終わりではなく、続けることが大切です。誰が、どのくらいの頻度で行うのかを決めておきましょう。

いまできる対策担当の例頻度の例
パソコンのOS・ブラウザの更新各社員(自動更新をオン)常時
ホームページ(WordPress本体・プラグイン)の更新サイトの担当者、または保守を任せている制作会社月1回以上
使っていないプラグイン・アカウントの整理サイトの担当者・総務四半期に1回
クラウドサービスの多要素認証の確認総務・情報システムの担当導入時と、半年に1回の見直し
バックアップが取れているかの確認情報システムの担当月1回
自社開発のプログラムの点検開発の担当者、外部の開発会社大きな変更のたび

頻度はあくまで目安です。自社の規模や、扱っている情報の重要さに合わせて決めてください。

最先端のAIがなくても守れる範囲は大きい

Mythosのようなモデルを使えなくても、ソフトを最新に保つ、使わないものを消す、多要素認証を使う、という基本の対策で防げる攻撃は多くあります。新しいAIのニュースに振り回されるより、まずは更新の担当と頻度を決めて、続けられる形にすることが大切です。

よくある質問

Claude Mythosは個人や中小企業でも使えますか?

2026年10月時点では、Anthropicの認証プログラムで審査を通った組織だけが使えます。現在の提供先は一部の米国の組織とされています。一般の会社や個人は、同じモデルであるFable 5.1を使うことになります。

読み方は「ミトス」と「ミュトス」のどちらですか?

公式の日本語表記はありません。英語のmythosはギリシャ語由来の言葉で、日本語の記事では「ミトス」「ミュトス」のどちらも使われています。

Mythos PreviewとMythos 5.1は何が違いますか?

Mythos Previewは2026年4月に発表された最初のモデルで、Project Glasswingの参加組織に限定して提供されました。Mythos 5.1は2026年9月に公開された最新版で、一般向けのFable 5.1と同じモデルです。API料金も、Previewの参加組織向けの料金(入力100万トークンあたり25ドル、出力125ドル)から、Fable 5.1と同じ10ドル・50ドルに下がっています。

ClaudeのアプリでMythosを選べますか?

一般のプランでは選べません。Claudeのアプリで使える最上位のモデルはFable 5.1です。Proでは使用量クレジット、MaxとTeamのプレミアムシートでは週の上限の50%まで、Enterpriseでは利用できます。

Mythosの料金はいくらですか?

Mythos 5.1のAPI料金は、Fable 5.1と同じく入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルです。ただし、使うには認証プログラムの審査に通る必要があります。

日本の会社が申し込める予定はありますか?

Anthropicは、米国政府と調整しながら国内外のより多くの組織に広げていくとしていますが、時期は示されていません。日本の組織が対象になる時期について、公式の案内はありません(2026年10月時点)。

Fable 5.1でもセキュリティの仕事に使えますか?

使えます。自社のソースコードの脆弱性探し、コードのセキュリティレビュー、既知の問題の修正、脅威の洗い出しなどは、一般向けのモデルでもできると公式ヘルプに書かれています。攻撃コードの作成や侵入テストなど、悪用にもつながる作業は、安全対策でOpusモデルに回されます。

Fableで依頼が止められたり、別のモデルが答えたりするのはなぜですか?

Fableには、サイバー攻撃や生物・化学の分野で悪用されないよう、危険な依頼を判定する仕組みが入っています。判定に引っかかった依頼には、Fableの代わりにOpusモデルが答えます。Anthropicは誤判定を減らす改善を続けていて、Fable 5.1ではサイバーセキュリティの分野の誤判定が60%減ったと発表しています。

Mythosに入力したデータは学習に使われますか?

Anthropicは、Mythosクラスのモデルの業務利用で保存するデータについて、新しいモデルの学習には使わず、安全対策以外の目的にも使わないと説明しています。ほとんどの場合、30日後に削除されるとしています。

Fable 5.1は無料プランでも使えますか?

使えません。Claudeの料金ページでは、FreeプランではFableは「なし」となっています。無料プランで使えるのはSonnetとHaikuです。Fable 5.1を試すなら、Proの使用量クレジットか、Max以上のプランが必要です。

Fable 5.1やMythos 5.1が書いた文章には透かしが入りますか?

Anthropicは、EUの行動規範にもとづき、2026年8月2日より後に公開したモデルの出力に目に見えない透かしを入れると発表しています。2026年9月公開のFable 5.1・Mythos 5.1はこれにあたります。透かしは検出用の仕組みがなければ見えず、文章の内容や利用者の情報には影響しないとされています。

Project Glasswingとは何ですか?

2026年4月にAnthropicが立ち上げた、AIの力を重要なソフトウェアの防御に使う取り組みです。AWS・Apple・Google・Microsoftなど12組織が参加し、さらに40以上の組織がMythos Previewを使って、自社やオープンソースのソフトの脆弱性を調べて直しています。2026年10月からは、参加組織はCVPのSpecialized Accessに移ると発表されています。

Claude Securityは中小企業でも使えますか?

2026年10月時点では、Claude Enterpriseの契約者向けの公開ベータ版です。Enterpriseを契約していない場合は使えません。Claude Code向けのプラグイン版はベータで公開されていますが、Mythosではなく、そのアカウントで使えるモデルで動きます。

中小企業がまずやるべきことは何ですか?

ホームページ・パソコン・クラウドサービスを最新の状態に保ち、多要素認証を設定することです。あわせて、更新を誰がいつ行うのかを決めておくと、対策が続きやすくなります。

まとめ

この記事のまとめ

  • Claude Mythosは、Anthropicの最上位クラスのモデル。最新版は2026年9月公開のMythos 5.1
  • Mythos 5.1と一般向けのFable 5.1は同じモデルで、違うのは安全対策の強さだけ
  • 主要なOSやブラウザで未知の脆弱性を数千件見つけた力が、防御にも攻撃にも使えるため、一般公開されていない
  • 使えるのはCyber Verification Programなどの認証プログラムで審査を通った組織だけ。いまは一部の米国の組織に限られる
  • 一般の会社が使うのはFable 5.1やOpus 5.5。迷ったらOpus 5.5、難しい長い作業はFable 5.1
  • 中小企業は、ソフトの更新・多要素認証・使わないものの整理といった基本の対策を、担当と頻度を決めて続けることが大切

Mythosは、AIがソフトウェアの弱点を見つける力が一段上がったことを示すモデルです。直接使えなくても、更新を止めないことや、AIを使った自社システムの点検など、いまのうちにできる準備はあります。

AIを業務に取り入れる際の使い方や、社内のルールづくり、自社サイト・システムの点検の進め方で迷ったときは、INTERCREATE JAPANにご相談ください。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典