Sakana Aquariumとは?会社の判断の前提をAIに持たせる基盤と、中小企業が真似できること
この記事でわかること
- Sakana Aquariumで何が発表されたか
- オントロジー・ガバナンス・実行基盤の3つの仕組み
- どんな会社向けか、料金は分かるか
- 中小企業が真似できる「判断の前提を整理する」やり方
- 公式にまだ書かれていないこと
日本のAI企業Sakana AIは2026年10月23日、組織の意思決定と、その実行を支援するAIエージェントの基盤「Sakana Aquarium(サカナ・アクアリウム)」を発表しました。
社内に散らばる情報を共通の定義に整理し、その上で、承認つきのAIエージェントを動かす、という仕組みです。
大きな組織向けの基盤とみられ、中小企業がすぐに導入できる話ではありません。
ただ、「AIに会社の判断の前提を持たせる」という考え方は、規模に関係なく参考になります。
この記事では、公式の発表をもとに、仕組みを整理し、中小企業が手順書やルールの整理として取り入れられるところをまとめます。
内容は2026年10月26日時点の情報です。
Sakana Aquariumの発表内容

Sakana AIは、AIの研究開発を行う日本の会社です。
発表では、Aquariumを「組織に合わせたAIエージェントを効率的に作り、安全に運用し続けるためのプラットフォーム」と説明しています。
| 項目 | 公式の発表の内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年10月23日 |
| 名前 | Sakana Aquarium |
| 何をするものか | 組織の判断の前提を、AIが扱える形に整理し、その上でAIエージェントを動かす基盤 |
| 導入のしかた | 導入・活用の相談を受け付ける。Sakana AIのFDE(現場に入って構築を支援する技術者)が、お客様とともに構築と検証を行う |
| 料金・申し込み | 発表には書かれていない(プラットフォーム紹介ページから問い合わせ) |
名前の由来は、多くの魚が1つの水槽で整えられた環境の中を泳ぐ姿に、AIエージェントが重なるからとされています。
1つの基盤で、いくつものAIエージェントをまとめて管理するイメージです。
3つの仕組み

公式は、Aquariumの中核を3つの仕組みで説明しています。
| 仕組み | 公式の説明 | かみ砕くと |
|---|---|---|
| Ontology(オントロジー) | 組織の判断を支える知識・ルール・データを、意味や相互の関係とともに体系化する。表や文書など形式の違う情報を、既存の保存先から移さずにつなぎ、更新も反映する | 社内用語や判断の基準を、AIが理解できる共通の辞書にする |
| Governance(ガバナンス) | データ・オントロジー・エージェントを統制する。アクセス権限や実行前の承認を設定し、判断の根拠から実行結果までを記録する | AIに見せる範囲と、実行してよいことを決め、あとから確かめられるようにする |
| Managed Agents(エージェント実行基盤) | オントロジー上の情報をもとにAIエージェントがタスクを実行する。情報の参照、AIの判断、関数の実行、人の承認をワークフローとして書くとデプロイできる | AIに仕事をさせる手順を書いて動かし、全体の状態を管理する |
「オントロジー」は聞き慣れない言葉ですが、ここでは「用語と、その関係を決めた辞書」と考えれば足ります。
たとえば「納期遅れ」が、受注日と出荷日のどちらを基準に、何日超えたら言うのかを決めておく、という整理です。
この定義がないままAIに「納期遅れの案件をまとめて」と頼むと、AIは自分なりの解釈で答えてしまいます。
どんな会社向けか

発表の中で、Sakana AIは、これまで精度と説明責任が求められる分野でAIの実装を重ねてきたと説明しています。
例として、三菱UFJ銀行とのAI融資エキスパート、SMBCグループとの提案書の自動生成、大和証券グループとの共同開発を挙げています。
それぞれの案件で、技術者が現場のデータや手順を理解し、設計から評価、精度の改善までを担ってきたそうです。
その中で「データの接続や、用語・判断の基準の整理を、案件ごとに一から繰り返している」という課題が見えたため、共通して使える基盤にまとめたのがAquariumだと説明されています。
この経緯から、当社は次のように見ています。
- 想定されているのは、金融のように、複数のデータや部署をまたぐ大きな組織
- 導入は、製品を買って終わりではなく、技術者が入って構築する形が前提とみられる
- 料金は公開されておらず、中小企業が自分で試せる形ではない
つまり、中小企業がいますぐ導入する対象ではありません。
一方で、この考え方は、小さな会社にも当てはまる部分があります。
中小企業が真似できること

ここからは当社の見立てです。
Aquariumの3つの仕組みは、中小企業なら、手順書やルールの整理に置き換えて取り入れられます。
| Aquariumの仕組み | 中小企業なら |
|---|---|
| オントロジー(判断の前提の整理) | 用語の意味と判断の基準を、1枚のメモにまとめる。「納期遅れ」「優良顧客」など、人によって解釈が違う言葉から始める |
| ガバナンス(権限・承認・記録) | AIに見せる資料の範囲を決める。お金や外部への送信が絡む操作は、人が確認してから実行する |
| 実行基盤(手順を書いて動かす) | 手順書を書き、ClaudeやChatGPTに読ませて使う。繰り返す仕事は、スキルやカスタムの指示にしておく |
- 人によって解釈が違う言葉を3つ選ぶ:納期遅れ、新規顧客、クレーム、など、数字や報告で使う言葉
- それぞれ、判断の基準を1〜2行で決める:何を基準に、どの数字を超えたらそう呼ぶか
- AIに読ませる手順書の先頭に置く:「この会社ではこう呼ぶ」という前提として渡す
- AIに任せる範囲と、人が確認する場面を書く:送信・支払い・削除は人が確認する、など
- 結果を見て、基準を直す:AIの答えが想定と違ったら、基準が曖昧だったことが多い
この整理は、AIのためだけでなく、新しく入った人への説明にもそのまま使えます。
基盤を入れるかどうかに関係なく、判断の前提を言葉にしておく価値は変わりません。
注意点・まだ分からないこと

発表の中で、公式に書かれていないことを整理します。
- 料金と、導入までの期間や条件(問い合わせとだけ案内されています)
- 中小企業向けのプランがあるか
- 導入した会社の具体的な事例。発表では「活用事例も順次ご紹介する予定」とされています
- どのAIモデルを使うか、データを保管する場所はどこか
発表と、実際に動く姿は別
今回の内容は、Sakana AI自身の発表です。
どのくらい早く、どのくらい正確に動くかを示す具体的な数字や事例は、まだ公開されていません。
導入を検討する会社は、自社の業務でどこまで動くかを、相談の中で確かめてください。
なお、Aquariumは、今後も機能を広げていくとされています。
運用の中で生まれる修正や判断を取り込んで、オントロジーとエージェントを更新し続ける仕組みや、エージェントを作る作業をAIが支援する仕組みを開発中と書かれています。
これらは予定で、いつ使えるようになるかは書かれていません。
まとめ
この記事のまとめ
- Sakana AIは2026年10月23日、組織の意思決定と実行を支援するAIエージェント基盤「Sakana Aquarium」を発表した
- 中核は、判断の前提を整理する「オントロジー」、権限・承認・記録を扱う「ガバナンス」、AIに仕事をさせる「実行基盤」の3つ
- 金融などの大きな組織での実装経験から作られたもので、導入は問い合わせ。料金や中小企業向けの提供は公開されていない
- 中小企業は、用語と判断の基準を1枚のメモにし、AIに任せる範囲と人が確認する場面を決めるところから、同じ考え方を取り入れられる
- 活用事例や性能の数字はこれから。導入を考えるときは自社の業務で確かめる
AIに仕事を任せるうえで一番手間がかかるのは、実は、会社の判断の前提を言葉にすることです。
INTERCREATE JAPANでは、手順書の整理やAIに任せる範囲の設計など、AIを業務に入れるための準備の相談も受けています。
参考・出典
INTERCREATE JAPAN