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日俳連が音声の生成AIガイドライン|会社の動画・案内でAI音声を使うときの注意点

INTERCREATE JAPAN 編集部公開 2026.10.20

この記事でわかること

  • 日本俳優連合が公表した音声の生成AIガイドラインの位置づけ
  • 段階ごとの書面の同意、有効期間、対価、表示などの主な中身
  • 既製のAI音声と、実在の人の声を使う場合の違い
  • 会社の動画・広告・電話案内でAI音声を使うときの確認点
  • 法律との関係など、まだ決まっていないこと
目次
  1. 日本俳優連合が「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を公表
  2. ガイドラインの主な中身
  3. 会社でAI音声を使うときに関係するところ
  4. 日本の会社ではどう備えるか
  5. 注意点・まだ分からないこと
  6. まとめ

俳優や声優でつくる協同組合 日本俳優連合(日俳連)は、2026年10月15日に「音声に関する生成AI利用ガイドライン」(Ver 1.0)を公表しました。
実演家(俳優・声優など)の声を、AIに学習させたり、AIで似た声を作って使ったりするときのルールをまとめたものです。

声優やアニメの業界の話に見えますが、ガイドラインは、AIを使って事業を行う人を、法人か個人かを問わず「事業者」と呼んでいます。
会社の紹介動画、広告、電話の自動案内などでAI音声を使う会社にとっても、知っておきたい内容です。
この記事では、日俳連の公式ページとガイドラインの全文(PDF)をもとに、主な中身と、会社でAI音声を使うときの注意点を整理します。
内容は2026年10月20日時点の情報です。

日本俳優連合が「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を公表

日本俳優連合が「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を公表

日俳連の公式ページによると、日俳連には約2,600人の俳優・声優が加盟しています。
ガイドラインは10月15日に公表され、同じ日に記者会見も開かれました。

つくった理由として、公式ページは次の点を挙げています。

  • 放送や配信などから声を無断で集め(スクレイピング)、AIの学習に使う例が出ている
  • 本人に似た合成音声が、本人の知らないところで作られ、使われている
  • 日本には、個人の「声」をまとめて守る、はっきりした法律がない

ガイドラインの前文では、今の著作権法の「実演の録音・録画権」は、実演そのものの複製を前提にしていて、声の特徴を学んで新しい声を作るAIには十分に対応できていない、と説明しています。
公式ページはこのガイドラインを「自主的な基準」と位置づけ、業界のルールとして定着させることを目指すとしています。
あわせて、「声の権利」を法律で定めるよう、国への働きかけも強めるとしています。

ガイドラインの主な中身

ガイドラインの主な中身

ガイドラインは全22条です。
会社が知っておきたい主な決まりを、全文から抜き出して整理します(当社による要約)。

項目主な内容条
段階ごとの同意声の「学習」「AIの声の生成」「作品などでの利用」の3つの段階ごとに、本人から別々に書面で同意をもらう。広告に使うときは、商品やキャンペーンごとにも同意をもらう第8条
まとめての同意は無効先の利用までまとめて許可させる契約(いわゆる買い取り)や、口頭・暗黙・あとからの承諾は無効として扱う第8条
事前の知らせ利用の目的・期間・技術・使う場面などを、書面で前もって知らせる(新しく学習させるときは7日前、同意済みのモデルで声を出すときは48時間前まで)第7条
同意の有効期間原則として最長1年。続けるときは条件を話し合い、改めて書面で同意をもらう第12条
対価通常の出演料とは別に、学習・開発料、生成AI使用料、広告での追加使用料、多言語化使用料を決める第16条
表示AIで作った声であること、使ったAIのサービス名、元の声の実演家名を表示する(名前は本人の希望で出さないこともできる)第10条
禁止すること無断での収集と学習、許可の範囲を超えた利用や第三者への提供、収録済みの声をこっそりAIの声に差し替えること など第13条
亡くなった人の声原則として使わない。続編など限られた場合だけ、遺族などの書面の同意と対価が必要。新しい作品や広告での利用は認めない第6条

ほかに、AIで多言語の吹き替えを作るときは言語ごとに同意をもらうこと(第15条)、同意を取り消したら30日以内に声のデータを消すこと(第17条)、違反したときに配信の停止やAIモデルの廃棄を求められること(第20条)なども定めています。

会社でAI音声を使うときに関係するところ

会社でAI音声を使うときに関係するところ

ここからは当社の見立てです。
会社が使うAI音声は、大きく分けて次の3つです。
どれに当たるかで、気をつける度合いが変わります。

使い方例気をつける度合い
特定の人の声に似せる有名な声優やナレーターの声をまねたAI音声を作る、名前を指定して似た声を出させる高い。ガイドラインの中心的な対象。本人の書面の同意と対価が前提
声の権利がはっきりした製品を使う声の提供者が分かっていて、商用での使い方や表示のしかたが決まっているAI音声の製品中くらい。製品の利用規約と、指定された表示のしかたを守る
一般的な読み上げ機能を使う特定の人をまねない、広く普及した読み上げの機能で、電話案内や社内向けの動画を作る低め。ただし、使う製品の規約で商用利用が認められているかは確かめる

ガイドラインには、特定の人の声をまねない一般的な読み上げソフトを、個人が自分の表現活動の範囲で使う場合は、事前の協議や賠償の対象から外すという決まりがあります(第20条)。
ただ、これは「一般利用者の個人的な表現活動」の場合の決まりで、会社の宣伝や商品での利用について同じように扱うとまでは書かれていません。

また、架空の名前を付けたAIの声でも、作る過程で実演家の声が少しでも使われていて、本人の同意がなければ、無断のAI音声とみなすとしています(第3条)。
つまり、「名前を変えているから大丈夫」とは言えない、というのがガイドラインの考え方です。

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日本の会社ではどう備えるか

日本の会社ではどう備えるか

AI音声は、動画のナレーションや電話の自動案内を安く早く作れる便利な道具です。
使うのをやめる必要はありませんが、次の点を社内で決めておくと、あとから困りにくくなります。

  1. 特定の声優・俳優・有名人の声に似せたAI音声は作らない、名前を指定して声を出させない、と社内ルールに書く
  2. AI音声の製品を選ぶときは、声の提供者の許諾がどうなっているか、商用で使えるか、表示のしかたの決まりがあるかを、利用規約で確かめる
  3. 動画や広告でAI音声を使ったら、AIで作った声であることを分かる形で書く
  4. ナレーターや声優に収録を頼むときは、その声をAIの学習に使うかどうかを契約書に書き、使わないならそうはっきり書く
  5. 制作会社に動画を頼むときも、AI音声を使うか、使うならどの製品かを確認する

特に4つ目は、見落としがちです。
ガイドラインでは、収録した声をあとからAIの学習に回したり、収録済みの声をこっそりAIの声に差し替えたりすることを、はっきり禁止しています。
契約で決めておけば、頼む側にも頼まれる側にも安心です。

社内ルールに足すなら

生成AIの社内ルールを作っている会社は、「画像」「文章」と並べて「音声」の項目を足すのがおすすめです。
「実在の人の声をまねない」「使ってよい製品の一覧」「AI音声を使ったときの表示」の3点を決めておくだけでも、現場は迷いにくくなります。

注意点・まだ分からないこと

注意点・まだ分からないこと

このガイドラインは、日俳連が定めた自主的な基準で、法律ではありません。
事業者が守らなかったときにどこまで効力があるかは、公式ページに書かれていません(未確認)。
一方で、今後「声の権利」が法律で定められたり、業界の契約の標準になったりすれば、会社の実務にも影響が出る可能性があります。

ガイドラインの中には、すべての事業者に同じように当てはめるのが難しそうな決まりもあります。
たとえば、完全に人工的に作った声で人の仕事を代わりにさせる場合は、「音声AI取引適正化委員会」(仮称)に前もって協議して承認を得ることとしていますが、この委員会はまだ仮称の段階です(第20条)。

公式に書かれていないこと(未確認)

企業が一般的な読み上げ機能を、宣伝や電話案内などの業務で使う場合の扱いは、ガイドラインにははっきり書かれていません。
AI音声の製品を提供している会社が、このガイドラインにどう対応するかも、今のところ分かりません。
実在の人の声を使う動画や広告を作るときは、契約の内容を専門家に確認することをおすすめします。

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まとめ

この記事のまとめ

  • 日本俳優連合が2026年10月15日に「音声に関する生成AI利用ガイドライン」(Ver 1.0、全22条)を公表した
  • 声の学習・生成・利用の段階ごとに書面の同意、同意は原則最長1年、出演料とは別の対価、AI音声である旨の表示などを定めている
  • 法人か個人かを問わず、AIを使って事業を行う人を「事業者」としている。法律ではなく自主的な基準
  • 会社では、特定の人の声をまねない、製品の規約を確かめる、AI音声だと表示する、収録の契約にAI利用の扱いを書く、が備えになる
  • 一般的な読み上げ機能の業務での扱いや、法律との関係は未確認

AI音声は便利な一方で、声は人の人格そのものだという考え方が、業界のルールとして形になりはじめています。
動画や電話案内でAI音声を使っている会社は、この機会に、使い方と表示のしかたを見直してみましょう。

INTERCREATE JAPANでは、生成AIの社内ルールづくりや、動画・Webサイトでの安全なAIの使い方の相談を受けています。

この記事を書いた人

INTERCREATE JAPAN 編集部

Web制作、業務システムの開発、Claude Code・Codex の導入支援を行う INTERCREATE JAPAN の編集部です。実際の制作や導入の現場で確かめた手順をもとに、AIツールの使い方やホームページの運用について解説しています。

参考・出典